新車試乗レポート
更新日:2018.11.11 / 掲載日:2018.06.21

ボルボ XC40 試乗レポート

ボルボ XC40

ボルボSUVであるXCシリーズに、もっともコンパクトなXC40が登場。日本でも扱いやすいボディサイズに、ボルボならではの安全性を凝縮。躍動感のあるデザインも魅力的だ。

若々しさ漂うデザインで新たな魅力を提案

 いい意味での裏切りとはまさにこのことだろう。新型XC40の実車を目の前にして、すぐにそう思えた。

 “裏切り”とはデザインの話。XC90、XC60と兄弟であることをアピールするスタイリングから、このXC40は別路線を歩んだ。普通に考えれば縮尺違いのXC60となるところが、そうはならなかったのである。

 もちろん、ヘッドライトやテールライトユニットのLED、フロントグリルはその流れを汲むし、ダッシュボードのインターフェースも大きくは違わない。新世代ボルボのデザインエッセンスはしっかり根付く。

 ところが、2トーンに塗りわけられたボディとルーフや、リヤピラーの形はこのクルマのオリジナル。XC90やXC60とは完全に別の個性をアピールしている。SUVというよりもスポーツハッチといった印象だ。

 ではなぜそうなったのか。物理的にはベースのプラットフォームが兄たちと異なることが関係する。XC 90とXC60に使われるのはSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)と呼ばれるもので、リヤサスを横置きリーフにするなど、モーターを置く場所にも工夫が施されている。

 それに対し、XC40はさらに新しいCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を採用。スペース効率と機敏さをモットーに作られ、フロントにマクファーソン式ストラット、リヤにマルチリンク式コイルスプリングという組み合わせだ。

ボルボ XC40

 また、こうしたプラットフォームの違いから生まれるキャラクターでデザインがそのままスケールダウンされなかったのも、フラッグシップのXC90は当然落ち着きのあるデザインをテーマにするが、XC40のカテゴリーではもっと躍動的で若々しさが必要との判断からだ。

 ただ断っておくと、写真のモデルは、XC40のスポーティさと登場のインパクトを強めた限定車「T5 AWD Rデザインファーストエディション」。電動式テールゲートやガラスサンルーフ、20インチのロープロファイルタイヤを装着するなどかなり派手め。インテリアもナッパレザーを使ったシートなど豪華に仕上げられる。言うなれば“全部載せ!”ってところだ。

 スリーサイズは全長4425mm、全幅1875mm、全高1660mmとなる。XC60のT5と比べ長さは265mm短くなるものの、幅はたった25mmしか狭くなっていない。つまり、運動性能を高めながらルーミィなキャビンを作り上げたわけだ。が、裏を返せば、この幅はコンパクトとは呼べない。そこをどう評価するかはユーザー次第といったところだろう。

 では、実際に走らせた印象はというと、見た目以上にスポーティで速い。“全部載せ”のファーストエディションなのでエンジンは2L直4ターボの高出力版。最高出力は252馬力を発揮する。それをXC60よりも100kg以上軽いボディに載せているのだから、加速感などは自然に増す。出だしから異様に速く感じたのはそのためだろう。

 それとボディ剛性の高さを強く感じたことも付け加えよう。ロールを抑えた足のセッティングにも負けないガッチリした上物の堅牢さはこの上ない。ただロープロタイヤのため、ところどころで乗り心地の硬さが伝わった。もちろん、許容範囲だが、17、18インチも走らせてみたくなった。それほどスポーティさを求めない方にはそちらがオススメだ。

 すでにファーストエディションは完売。だが、XC40のスタートプライスは389万円。定評あるT4もなかなかの仕上がりに違いない。

文●九島辰也 写真●グーワールド
問い合わせ ボルボお客様相談室 TEL:0120-922-662

Detail Check

ボルボ XC40

全長を抑えながら前後のオーバーハングを短くして長いホイールベースを確保したディメンション。これでキャビンを広く使えるという考えだ。

  • コックピット

    ボルボ XC40(コックピット)

  • コックピット

    最低限の視線移動で操作できるのがボルボの考え方。タッチスクリーン、ステアリング上スイッチ、ヘッドアップディスプレイなどを充実。

  • インテリア

    ボルボ XC40(インテリア)

  • インテリア

    日本仕様はグレード問わず、すべて右ハンドルという設定。乗車定員は5名。ただし、シート素材やトリムはグレードで異なるので要チェック。限定車にはご覧の真っ赤なトリムが用意されていた。

  • エンジン

    ボルボ XC40(エンジン)

  • エンジン

    エンジンは2L直4ターボが搭載される。今回乗ったのは高出力バージョンの252馬力。この他にT4と呼ばれる190馬力ユニットもある。

  • ラゲッジスペース

    ボルボ XC40(ラゲッジスペース)

  • ラゲッジスペース

    ボルボらしくカーゴの使い勝手も手を抜かない。フルフラットになるのはもちろん、フロア下のスペースまでしっかり実用性を高めているのはさすがだ。

  • タイヤ・ホイール

    ボルボ XC40(タイヤ・ホイール)

  • タイヤ・ホイール

    写真はかなり凝ったデザインの限定車用20インチホイール。通常のラインアップではグレード別に17、18、19インチが標準設定になるようだ。

ボルボ XC40 T5 AWD Rデザイン(8速AT)

全長×全幅×全高4425×1875×1660mm
ホイールベース2700mm
トレッド前/後1600/1625mm
車両重量1690kg
エンジン直4気筒DOHCターボ
総排気量1968cc
最高出力252ps/5500rpm
最大トルク35.7kg m/1800-4800rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前後Vディスク
タイヤサイズ前・後235/50R19

全国メーカー希望小売価格(発売 2018年3月)

XC40 T4(8速AT)389万円
XC40 T4 モメンタム(8速AT)439万円
XC40 T4 AWD モメンタム(8速AT)459万円
XC40 T4 AWD Rデザイン(8速AT)489万円
XC40 T4 AWD インスクリプション(8速AT)499万円
XC40 T5 AWD Rデザイン(8速AT)539万円
XC40 T5 AWD インスクリプション(8速AT)549万円

Body Color

※ほか7色。

 ブラック
 オスミウムグレーM
 □アイスホワイト
 アマゾンブルー
 ブライトシルバーM
 オニキスブラックM

あると嬉しいスマホ用の非接触充電もオプションで用意

  • あると嬉しいスマホ用の非接触充電もオプションで用意

  •  先進性を題目とするボルボはスマートフォンとのマッチングも進んでいる。写真はセンターコンソールにある充電システムで、スマートフォンをケーブルで接続することなくポンと置くだけで充電を開始してくれる。「あるといいな」がちゃんと用意されるのはさすが。当然ペアリング機能も充実している。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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