徹底分析中古車相場
更新日:2018.12.02 / 掲載日:2018.04.27
【スズキ ジムニー】フルチェン間近! 今ジムニーを買うのってアリ?
いまだにジムニーが人気の秘密とは?
いま、巷では次期型ジムニーの情報がちらほら出始めている。現行型ジムニーは、登場から今年(2018年)で20年という節目。おそらく、近々新情報が出ると思われる。となると、気になるのは現行型ジムニーの動向だ。ジムニーというクルマは軽自動車のなかでも特殊な存在で、20年という歳月を経ても中古車相場では高値をキープし続けている。そんな状況下、今あえて現行型をねらうのはアリかナシか。今回は、現行型の相場動向を徹底分析し、答えを模索していきたい。
そもそもジムニーはなぜこんなに高値なのか。その理由は、軽自動車ながらもラダーフレームを採用した、唯一無二の本格派のクロスカントリーだからである。かつてジムニーのライバルとしてパジェロミニなどが存在したが、こちらはモノコックにラダーフレームを組み合わせた構造。ジムニーよりもカジュアルで街乗りに適しているが、オフローダーとしての資質はジムニーに軍配が上がる。
実際、ジムニーの乗り味は目から鱗だ。頑強なシャシーのおかげで軽自動車とは思えない重厚な乗り味を実現している。また、2WDと4WDを切り替えるトランスファーを採用するのも大きな特徴。オンロードでの快適性は一般的なSUVに一歩譲るが、それでも2WDに切り替えれば騒音や振動を抑え、不満なく走ってくれる。一方4WDに切り替えれば、ジープ ラングラー、メルセデス Gクラス顔負けのオフローダーに早変わり。ジムニーは、その小柄なボディを活かして林道や山道をスイスイと走れるのだから、格上のクロカンよりも使い勝手が優れるシーンも多いほど。
また、アフターパーツも豊富で安価。カスタムの幅が広く、自分好みのジムニーに仕立てるのもひとつの楽しみ方。実際、中古車市場にはたくさんのカスタム車が流通しており、自分好みの1台を探すのもあり。また、安価な個体を買ってコツコツとチューニングするのも楽しい。走行距離が多少伸びていても、ラダーフレームという特殊な構造ゆえ、しっかりと走る個体が多いから、どの年式のジムニーも大きな値崩れをせず、価格がキープされ続けているのだ。
ライバルと中古車相場を比較すると…?
ジムニーの真のライバルとなるモデルは存在しない。しかし、同じ軽自動車のSUVやコンパクトSUVと比較されるケースもある。ここでは、競合車と思しきモデルとともに、中古車平均価格をチェックしてみたい。
モデル名 | 中古車平均価格 |
スズキ ジムニー(現行型) | 98万円 |
三菱 パジェロミニ(最終型) | 51万円 |
トヨタ ラッシュ | 87万円 |
ホンダ ヴェゼル | 216万円 |
軽自動車のパジェロミニは、デビュー年もジムニーと同じく1998年。ちょうど軽自動車の規格が変わり、新型車ラッシュが続いた年である。生産終了は2012年だから高年式の車両は少なく、ジムニーよりも相場はかなり低め。物件数はジムニーの3分の1程度となっており、高年式かつコンディション良好な物件はかなり少なくなった印象を受ける。
トヨタ ラッシュは1.5LのコンパクトSUV。パジェロミニと同じくビルトインラダーフレームを採用し、昨今登場したコンパクトSUVと比べると骨太なシャシー構造を持つ。駆動方式も後輪駆動または4WDと珍しいタイプ。そんなラッシュの中古車平均価格は87万円と、かなり下がってきている。軽自動車のジムニーよりも安価なので、選択肢のひとつに入れておくのはアリかもしれない。
一方、ホンダ ヴェゼルの相場は別格だ。デビューは2013年12月と新しく、いま人気絶頂のコンパクトSUVゆえ、相場は高め。また、本格クロカンのジムニーと比較して買うユーザーも少ないだろうから、あくまで参考価格と考えていただきたい。ちなみにヴェゼルに限らずこのジャンルは、どのモデルも高値で、お買い得感は高くない。
三菱 パジェロミニ(1998年10月発売)
トヨタ ラッシュ(2006年1月発売)
ホンダ ヴェゼル(2013年12月発売)
年式別中古車平均価格
1998年10月に発表された現行型ジムニー。デビュー以降は定期的に改良が行われ、エンジンなどは幾度も小変更を受けた。なかでも2004年10月の改良では、2WDと4WDを切り替える「ドライブアクション4×4」に、押すだけで切り替えを行えるスイッチが採用されたほか、インパネ形状やフロントデザインなどが一新されている。しかし、細かな改良が多いものの、内外装のデザインは発売当初のイメージをほぼ踏襲し続け、どの年式も性能面でそれほど大きな違いはない。これらを踏まえ、まずは年式別中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
1998年式 | 37万円 |
1999年式 | 38万円 |
2000年式 | 37万円 |
2001年式 | 40万円 |
2002年式 | 49万円 |
2003年式 | 51万円 |
2004年式 | 57万円 |
2005年式 | 66万円 |
2006年式 | 78万円 |
2007年式 | 81万円 |
2008年式 | 90万円 |
2009年式 | 98万円 |
2010年式 | 105万円 |
2011年式 | 114万円 |
2012年式 | 122万円 |
2013年式 | 126万円 |
2014年式 | 137万円 |
2015年式 | 143万円 |
2016年式 | 155万円 |
2017年式 | 155万円 |
2018年式 | 159万円 |
ざっと20年間に及ぶ年式別の相場を振り返ると、高年式になるにつれて 価格が順当に上がっている。ちなみに現在の新車価格帯は129万6000円~162万5400円。中古車としてのメリットが出てくるのは、100万円以下の予算で買える2009年式以前あたりだろう。
年式別の物件数に注目すると、もっとも豊富なのが2017年式。また、2018年式の個体も多いことから、登録済未使用車がかなり流通しているのがわかる。新車を検討しているひとは、即納が可能でコンディション抜群の未使用車を探すのも賢い買い方のひとつかもしれない。しかし、それ以外の年式もまんべんなく中古車が流通している。全体のボリュームが多いから、自分の予算に合わせて幅広く選べる。
MT/AT比率はどっちが多い?
ジムニーを購入する上で考慮したいのが、トランスミッション。5速MTと4速ATの比率は1:2。つまり、4速ATは5速MTのおよそ2倍となっている。相場は、5速MTのほうがやや高めとなっているが、その差はわずかだ。
また、ジムニーには過去にいくつかの特別仕様車をリリースしている。なかでも代表的な存在が「ランドベンチャー」と「ワイルドウインド」。前者は本革などの専用シート表皮(登場年によって異なる)を採用し、高級感を高めたモデル。後者は防水加工のシート表皮を採用するなど、専用仕立てとなっている。それらに加え、1.3Lエンジンとワイドボディを採用したジムニーシエラの相場も併せてチェックしてみよう。
「ワイルドウインド」は、発売されたのが10年ほど前ということもあり、相場は低め。一方「ランドベンチャー」は数回発売され、最近では2014年にもリリースされているから相場は高めだ。物件数は「ランドベンチャー」が豊富で、ジムニー全体の3割近くを占めており、こちらのほうが探しやすいはず。
ジムニーシエラは、軽自動車版の本家ジムニーと比べると物件が非常に少ない。全体的に改造車が目立つ傾向にあり、ノーマル状態の良コンディションな個体は高めとなっている。軽自動車のジムニーと比べて、手ごろな価格の良質な物件は少なく、やや探しにくい印象を受ける。
以上を踏まえ、次期型ジムニー登場前に現行型を購入するのはアリかナシかと問われれば、十分にアリだ。次期型の噂があるものの、発売時期はまだ未確定。新車価格が高くなる可能性もあり、次期型の中古車がお買い得になるのは当分先になるはず。一方、値崩れしない現行型は購入後のリセールも有利だし、幅広い予算から選べるので購入の敷居は決して高くない。なにより、プリミティブな乗り味のジムニーは、現行型が最後になるかもしれないのだ。そう考えると、楽しめるうちに乗るのが最適解となるだろう。