徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2018.03.09
【トヨタ ヴォクシー/ノア vs 日産セレナ】人気5ナンバーミニバン、どっちが買い?
トヨタvs日産、新車登録台数は拮抗している
最近はSUVブームと言われており、ひと昔前と比べるとミニバンの存在感は小さくなっているように感じる。しかし実際の新車登録台数を見ると、決してそんなことはない。2017年のデータを見ると、上位10車種中4車種がミニバン。なかでも車高が高い5ナンバーサイズミニバンが好調で、トヨタ ヴォクシー/ノアと日産 セレナは毎月上位にランクインしている。ちなみに、ヴォクシーとノアを比べると、前者のほうが人気があることも興味深い。一方、同じジャンルのホンダ ステップワゴンは、ここ最近はヴォクシー/ノア、セレナの後塵を拝している状況となっており、同じジャンルでも売れ行きに差があるのが現状のようだ。そこで今回は、5ナンバーサイズのミニバンの2強であるトヨタvs日産に注目してみよう。
現行型のトヨタ ヴォクシー/ノアは、2014年1月にデビュー。発売当初は全車2.0L 4気筒エンジン+CVTを搭載し、新開発の低床フロアを採用することで、トールサイズミニバンとしての走りと使い勝手を両立。現行型へのフルモデルチェンジは、まさに先代からの正常進化と言った内容だ。そして、先代までヴォクシーが先進的、ノアが保守的なスタイルをまとっていたが、今回はどちらも押し出し感のあるスタイルとなったことも見逃せない。プレミアムミニバンのアルファード/ヴェルファイアにも負けない存在感というのは、5ナンバークラスにも求められているようだ。
デビュー翌月には、ハイブリッドが登場したのもトピック。こちらには1.8L 4気筒+モーターを搭載し、JC08モード燃費は23.8km/Lと、ミニバンとしては優秀な値を達成している。同年10月には、ヴォクシー/ノア兄弟に、新しいファミリー「エスクァイア」が設定された。こちらは、外装にメッキ加飾を備え、内装もより豪華になった上級モデル。同じ5ナンバーサイズでも、プレミアム性を付加することで、ライバルに差をつけているのが特徴だ。
一方、ライバルの現行型セレナが登場したのは2016年8月のこと。ヴォクシー/ノアよりも2年遅れての登場で得たものは、同一車線自動運転技術「プロパイロット」の実装である。これは高速道路や自動車専用道路において、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御するというもの。将来訪れるであろう完全なる自動運転技術の第一歩として意義あるもので、実際の高速ドライブでもドライバーの負担を大きく軽減してくれる。セレナのエンジンラインアップは、基本的にハイブリッドが中心で、エントリーモデルの「S」以外はすべてモーターが組み合わされている。2018年2月には、ノートで定評のある「eパワー」仕様が追加され、いま注目を集めている。
エクステリア
トヨタ ノア(デビュー時)。先代と比べてグリルが大きくなり、存在感もアップしている。
トヨタ ヴォクシー(デビュー時)。二分割されたヘッドライトが外観上のポイント。
日産 セレナ ハイウェイスター(デビュー時)。クールかつスポーティなスタイルが魅力的だ。
トヨタは、ヴォクシーとノアでデザインの差別化を図っているのに対し、セレナは「ハイウェイスター」と呼ばれるエアロルックのモデルを設定し、標準仕様と差別化される。デザインの方向性は、どちらかと言えば豪華絢爛なヴォクシー/ノアに対し、スポーティなセレナという印象。ボディカラーは、ヴォクシー/ノアがホワイトやブラックなど落ち着いたカラーラインアップとなるのに対し、セレナはベージュやブルーなど、個性的なカラーも選べる。またセレナにはルーフとミラーのカラーが異なる2トーン仕様も設定されるから、選ぶ楽しさはこちらに軍配が上がるかもしれない。ボディサイズはどちらもほぼ同じ程度となっており、ヴォクシー/ノアのほうがやや車高が低め。また、どちらにも車幅が1700mmを超える3ナンバー仕様が設定されているのも注目点。なお、5ナンバーまたは3ナンバー仕様ともに自動車税は変わらないから、この辺りは好みで選んでOKだ。
インテリア
写真はトヨタ ノア(デビュー時)。
写真はトヨタ ヴォクシー(デビュー時)。
写真は日産 セレナ ハイウェイスター(デビュー時)。
両側スライドドア+3列シートを備えたミニバンとして、両者とも使い勝手は良好。メーター類は、ヴォクシー/ノアがアナログ式となるのに対し、セレナはデジタル式速度計を採用するのが異なる。どちらもインパネ中央にナビゲーションなどを映すモニターが装着されるが、セレナのほうが新しくて見やすい。室内色はヴォクシーとノアで選べるカラーが異なり、ヴォクシーは男性向けのブラック基調、ノアがファミリー向けという印象。一方、セレナはグレージュ、ブラック、そして合成皮革のプレミアムインテリアが選べ、幅広い層から支持されるラインアップとなっている。
メカニズム&燃費
写真はトヨタ ヴォクシー。
写真は日産 セレナ。
エンジンは、ヴォクシー/ノアが2.0L 4気筒(152馬力/19.7kgm)と、1.8L 4気筒(99馬力/14.5kgm)+モーター(82馬力/21.1kgm)を搭載。セレナは、2.0L 4気筒(150馬力/20.4kgm)を搭載し、マイルドハイブリッド仕様はこれにモーター(2.6馬力/4.9kgm)が組み合わされる。さらに2018年2月には、発電用エンジンを搭載し、そこで得られた電力でモーターを駆動させる「eパワー」も登場した。こちらは、JC08モード燃費が26.2km/Lと、従来のマイルドハイブリッド仕様に比べて大幅にアップ。 ヴォクシー/ノアハイブリッドがJC08モード燃費23.8km/Lだから、トヨタをも凌ぐ高い環境性能を身につけている。
中古車価格を徹底比較
上の表を見ると、基本的に性能や装備内容が同じであるヴォクシーとノアに価格差があるのがわかる。物件数もヴォクシーのほうが6倍以上多いというのも驚きだ。一方セレナは、2年半以上も遅くデビューしているものの、物件数はノアの2倍近く流通している。ただし、その大半は登録済未使用車のようで、基本的に新車と同じくらいの価格帯となっている。
なお、この3モデルのなかで、もっとも低予算で探しやすいのはヴォクシー。物件数が膨大なため、低価格帯の個体も多いのがその理由。それでも150万円以下の物件はごくわずかしか流通しておらず、最低でも180万円程度の予算は必要だろう。いずれにしても、このジャンルは人気が高く、販売店も強気のプライスタグを掲げている。これからはじまる決算セールなど、中古車相場が下がりやすいタイミングで決めてしまうのがよいだろう。
アナザーチョイスのホンダやマツダはどう?
写真はホンダ ステップワゴン スパーダ。
写真はマツダ ビアンテ。
このクラスのミニバンを買うなら、別な選択肢も存在する。ホンダ ステップワゴン(2015年4月発売)とマツダ ビアンテ(2008年7月発売)だ。ビアンテは全車3ナンバー車となるから、ヴォクシー/ノアやセレナと真っ向から対抗するクルマではないものの、トールサイズミニバンとしての実力は決して低くない。まずは、これらの中古車平均価格をチェックしてみたい。
モデル名 | 中古車平均価格 |
ステップワゴン | 235万円 |
ステップワゴンスパーダ | 254万円 |
ビアンテ | 113万円 |
データを見ると、ステップワゴンシリーズは、ヴォクシー/ノアやセレナとほとんど変わらない相場となっている。ただし物件数は少なく、ステップワゴンと同スパーダを合算してもノアと同程度しか流通していない。一方ビアンテも、生産期間のわりに物件数は少ないものの、100万円以下の物件が大半となっている。ただし登場年が古く、走行距離が5万km前後の物件が中心となるから、コンディションにこだわりにくいのが難点だ。
まとめると、このクラスで物件数が多く、もっとも探しやすいのがヴォクシー。ただし値崩れはしておらず、今後のリセールを考えるなら新車という選択肢も考慮すべき。逆に低予算で購入し、しばらく乗り続けるならマツダ ビアンテに注目しておこう。ゆとりある室内空間と走りのよさが美点で、とくにスカイアクティブ搭載車がねらい所。中古車を買うなら、人気車にこだわらず幅広い視点でクルマ選びをするのが大切だ。