新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2018.02.27

MITSUBISHI「エクリプス クロス」雪上テスト

三菱ファン待望の新型SUV「エクリプス クロス」。今回は発売前に真冬の北海道でテストドライブを行った。滑りやすい雪道でも思い通りに走れる安心感は、同社がこれまで培ってきた車両運動統合制御システムの賜物。その見どころもたっぷりお伝えしよう。
●文/山本シンヤ

MITSUBISHI エクリプス クロス Gプラスパッケージ (CVT・4WD)●発売日:2018年3月 ●価格帯:未定 ●販売店:ミツビシ全店 ●問い合わせ先:電話0120-324860

 発売が間近に迫ったエクリプス クロス。今回はクローズドコースながら雪上でのテストだ。路面環境が悪くなればなるほどクルマの本質が露わになるが、その実力はどのようなものだろうか?
 改めて概要をおさらいしよう。登録車としては2012年のミラージュ以来となる新型車で新生三菱第一弾となるモデル。三菱らしいウェッジシェイプのクーペスタイルと高い居住性&積載性を両立させ、パワートレーンは三菱初のダウンサイジングターボとなる新開発1.5LエンジンとCVTの組み合わせ。ボディ&シャシーは、アウトランダーをベースに効果的な補剛や構造用接着剤を採用し体幹を鍛え上げている。さらに、路面状況から最適な駆動力制御を行なうS‐AWCシステムも搭載。オンロード性能とオフロード性能を高次元で両立させた走りが見どころだ。
 試乗コースは北海道の新千歳空港に近い千歳モーターランドの特設コース。圧雪路面のパイロンスラロームからアップダウンのある低中速コーナーを組み合わせたレイアウトで、エクリプス クロスの走りをチェックするにはピッタリなシチュエーションだった。その雪道での走りは舗装路面同様に骨太で安心感が高い。1.5Lターボは、低中速からレスポンスよく立ち上がる上に、トルクもパワーも十分以上のパフォーマンス。また、CVTながらゴムバンドフィールが抑えられたメリハリのある加速なので低μ路でのアクセルコントロールも凄くラクだ。スポーツモードにすれば高回転をキープできるのでパワードリフトにも楽に持ち込めとても楽しい。
 千歳モーターランドは元々ダートコースということもあり圧雪路面でも凸凹が多め。クルマへの負荷も大きいが、エクリプス クロスは剛性の高いボディのためミシリともいわない。実は以前このコースを同クラスのライバル車で走ったことがあるが、その時は短時間でボディ側が音を上げてしまった。ハンドリングは路面μの低い圧雪路でも細かい操作に対してクルマは裏切らずに正確に反応する。足はよく動く上にストロークも十分。4つのタイヤを上手に使っている。路面からの情報もステアリングからシッカリ伝わってくるので、「まだ行ける?」、「もう限界なのか?」といった判断がしやすいのだ。
 驚いたのは4WDシステムだ。ハード自体は電子制御カップリング+ブレーキAYC+ASCと、ライバルモデル達も採用する比較的シンプルなシステム。しかし、ドライバーが安定して走りたい時は無駄な挙動を抑えた正確なライントレース性でシッカリとノーズをインに入れてくれる。一方、ドライバーが遊びたい時は、カウンターステアを許容しながら振り回して走らせることも可能なのだ。
 この懐の深さはまるで人間の心を読んでいるかのような巧みさだ。この辺りはランエボXで培った車両運動統合制御システムのS‐AWCが踏襲されている。つまり、三菱の4WD技術はシステムよりもソフトに独自のレシピがあるのだ。
 S‐AWCのモードはオート/グラベル/スノーの3つが用意されるが、基本的にはオートのままで十分。しかし、コーナー進入時に姿勢を作れる人ならグラベルが脱出時のトラクション性能は高い。ちなみにS‐AWCの制御はメーター内に前後左右のトルク伝達が表示される。しかし、残念ながら走行中に見ることは難しいので、視線移動の少ないヘッドアップディスプレイ内に表示してほしいと思った。また、オフロード走行時に水平が分かりやすいインパネデザインやドア開口部が足元を汚さないよう設計されているなど、細かい部分までシッカリと真面目に作られているのも見逃せない。
 今回エクリプス クロスを雪道で走らせてみて、三菱の本気度が伝わってきたのと同時に、元気だった頃の三菱らしさが戻ってきたように感じた。この走りをみんなが一般道で体感できるまで、あと少しの辛抱である。

安定感だけじゃない!高い運動性も両立させた「意のまま」の走り

  • 中立付近のステアリングの据わりがよく、小さなギャップにもしなやかに反応する足回りと相まってハイスピードでもスタビリティは非常に高い。

  • クルマを振り回してアグレッシブに走りたい時にはS-AWCが瞬時に反応。車両の制御値を変化させ、運動性を高めてドライバーに応えてくれる。

  • ウェッジシェイプの効いたスポーティな外観。ショートオーバーハングによる凝縮感のあるデザインが目を引きつける。

  • リヤウインドウを上下に分割し、優れた後方視界を確保。独自のクーペルックを作り出している。リヤスポイラーもスポーティだ。

  • 三菱初のダウンサイジングターボとなる1.5Lエンジン。クロスレシオに設定された8速ステップシフト制御のCVTと組み合わされる。

  • 水平基調のデザインを採用したインパネ。オーソドックスながら質感の高さも十分。オーディオ操作などを手元で行えるタッチパッドも装備。

  • 収まりの良いシートバックが特徴の前席。

  • 後席は60:40の分割可倒式で200mmのシートスライド機構も備えており、居住性もハイレベル。

ラリードライバー増岡浩氏が語る エクリプス クロスの魅力!

 内外装はとてもスタイリッシュなスタイルに仕上がっていますが、中身は三菱らしさが溢れている一台です。千歳モーターランドはアップダウンが激しく路面もかなり凸凹しているのでノーマル車には厳しいコースですが、ボディもサスペンションも凄くシッカリしているのでビクともしません。S-AWCも初心者には安心感、中・上級者なら振り回して楽しめる懐の深さも持っているので、ほかのクロスオーバーSUVとはちょっと違います。もちろん45度の急坂も軽々上っていきますよ!

自動車研究家、山本シンヤはココが気に入った!

ランエボ譲りのS-AWC!これは走って楽しいSUVだ
 クーペルックや質感がアップされたインテリアもいいが、エクリプス クロスは走りの良さが特徴だ。1.5Lターボ+CVTの組み合わせはパフォーマンスはもちろん、気持ち良さを感じるレベルだし、ボディ&シャシーも骨太に仕上がっている。AWDはシンプルなシステムながら「S-AWC」の考え方により、ドライバーの意志を読み取るかのように、安定方向から大胆な走りまで許容する懐の深さを持つ。久々にランエボDNAが継承されていると感じた。


提供元:月刊自家用車


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