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更新日:2019.10.25 / 掲載日:2019.10.25

インホイールモーターの仕組みとは?EVの走行性能向上に成功

インホイールモーターの仕組みとは?EVの走行性能向上に成功

グーネット編集チーム

インホイールモーターは、その名のとおり、EV(電気自動車)のホイール内にモーターが搭載された仕組みのことです。実は、1884年に初めて特許が取得されており、基本となる考え方は遥か昔からあった一方で、実用化には至っていなかった技術です。

今回は、そんなインホイールモーターの仕組みやメリット、実用化に向けた動きについて詳しく解説していきます。

インホイールモーターとは

インホイールモーターとは、EVにおける新しい駆動系の仕組みのことを指します。

従来型のEVでは、ガソリンエンジン車の駆動技術をそのまま応用しているので、エンジンの代わりに駆動用モーターを搭載し、そのモーターからドライブシャフトを介してホイールに駆動を伝えています。ただ、ドライブシャフトに力が加わるとねじれができてしまう分、タイヤに力が加わるまでに若干のタイムラグが生じることになります。

一方のインホイールモーターでは、駆動輪のすぐ横にモーターをレイアウトし、短いドライブシャフトを介してホイールを直接駆動させています。結果として、従来型に比べねじれもタイムラグも生じにくくなりました。

また、ガソリンエンジン車のボディやディファレンシャルを含んだ駆動系の仕組みを踏襲していた従来型と比べ、インホイールモーターを採用することでレイアウトの自由度が高くなり、走行性能の向上に加えて、独創的なデザインの車が誕生することも期待されています。

インホイールモーターのメリット

インホイールモーターのメリット

グーネット編集チーム

インホイールモーターはタイヤに組み込まれたモーターで、リチウムイオン電池が供給する電気で駆動します。

現在、日産が開発を進めている車両は、リヤタイヤの左右2輪がインホイールモーターとなるタイプです。つまり後輪駆動方式のインホイールモーター車の研究を進めているのです。

左右の車輪に個別にインホイールモーターを使用することで、車がこれまで以上に思い通りに走るようになる理由が2つあります。

ひとつは、左右の車輪それぞれの駆動力を独立で増減可能かということです。
カーブを走行する際には、左右のタイヤに内輪差が生じます。従来の車はディファレンシャルギヤを用いて左右の回転差を調整していました。しかし、インホイールモーターなら、独立しているので、左カーブなら左後輪の駆動力を減らし、右後輪の駆動力を増やします。左右にあるタイヤの車輪速の差が生み出す力も車の向きで変える力として働くので、前後のタイヤの性能をフルに使い、素早く、安定した姿勢でカーブを曲がることができます。

もうひとつの理由は、先述のように、タイヤに素早く駆動力を伝えられることです。
モーターの特性としてエンジンよりも素早く駆動力を増減できる特性があります。

インホイールモーターはドライブシャフトが非常に短く、モーターの駆動力がすぐにタイヤに伝わり、よりレスポンスの良い走りが期待できます。

電気自動車リーフとインホイールモーター搭載車の違いは?

2017年10月、国内では日産のEV(電気自動車)であるリーフの2代目が登場しました。
リーフもEV(電気自動車)でありながら、素早く駆動力を伝えるモーター等の構造から、鋭い加速を楽しむことができる車両になっています。リーフのモーターはエンジンルーム内にあり、ドライブシャフトでタイヤに駆動力を伝達する従来の仕組みを採用しています。

リーフでは従来の仕組みを採用しているため、駆動力を伝える際に、ドライブシャフトにはねじれが生じます。
それに対して、インホイールモーター搭載車では、ドライブシャフトにねじれが生じない、またはねじれが極めて少なくなるため、リーフのような従来の仕組みを採用している車両よりも駆動力を有効に伝えることが可能になります。

日本電産がインホイールモーターを試作

2019年3月、日本電産がEV用のインホイールモーターの試作品を発表しました。今回開発された試作品は、20インチのホイールに収まるサイズで、100kW(1,800ccクラスのガソリンエンジンに相当)の出力や、FR、FF、4WDいずれの駆動方式にも対応できるとされています。

インホイールモーターの特徴は、モーター・減速機が一体化された油冷式トラクションユニットであることです。また、インホイールモーターはHDD用スピンドルモーターや、日本電産がEVで駆動力を発生させる中核部品トラクションモーターを開発した技術を応用しています。なお、重量は32kg、動作電圧は240V、最高回転数は7,500rpmというスペックとなります。

日本電産は、2023年頃の量産を目標としており、今後、日本電産のインホイールモーター実用化に向けた開発が進んでいけば、EVそのものが大きく変化していく可能性を秘めています。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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