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更新日:2018.01.31 / 掲載日:2018.01.30

高級車の代名詞、新型ロールスロイス ファントムが示す圧倒的な美意識

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

 世界中に「高級車」と呼ばれるクルマは数多くあるが、その代表格となると、やはり「ロールスロイス」を置いてほかにない。1925年に登場して以来、「世界一の高級車」としての圧倒的なプレステージ性を育み続け、各国の王族や富豪、著名人などから厚い信頼を集めている特別なブランドがロールスロイスだ。

 そして、その最上級モデル「ファントム」が今回14年ぶりのフルモデルチェンジを受けて8世代目となった。堂々たるサイズのボディに、ギリシャのパルテノン神殿をモチーフとした伝統のフロントグリル、象徴的なマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」で飾られたフロントマスクが圧倒的な存在感を主張する。

 日本国内向けの発表会が行われた東京上野の法隆寺宝物館は、あいにくの雪空だったがアンヴェールされた新型ファントムは、荘厳さと強烈な華やかさを放っていた。出席したロールスロイス モーターカーズ アジア太平洋のセールス担当ゼネラルマネージャーのパトリック ヴィーク氏は、「ロールスロイス ファントムはおよそ100年にわたり、日本の天皇陛下をはじめ国家元首やアーティスト、映画俳優といった影響力がありパワフルな人びとに選ばれ、歴史の決定的な瞬間に立ち会ってきました」と語り、またエクスクルーシブな存在、エレガントでありながら大胆なデザインや最先端技術、そして手作業により守られてきた品質の高さから、ファントムがロールスロイスのフラッグシップモデルとして自動車業界だけではなく、ラグジュアリーの世界をもリードし続けてきたと説明した。

 世代を超えて受け継がれる、ファントムのプレステージ性を語るロールスロイス モーターカーズ アジア太平洋のセールス担当ゼネラルマネージャーのパトリック ヴィーク氏。

時折雪の降る寒空の下たたずむファントム。

ロールスロイスのフラッグシップらしく、厳かな気品が巨大なボディ全身から放たれている。

 「日本はロールスロイスにとって非常に重要なマーケットで、すでに多くの注文をいただいています」と語るロールスロイス・モーター・カーズ アジア太平洋プロダクト・マネージャーのスヴェン・グルンワルド氏。

アーキテクチャー オブ ラグジュアリー

 新型モデルの大きな目玉のひとつが、ロールスロイス専用のオールアルミ製スペースフレーム「アーキテクチャー オブ ラグジュアリー」だ。将来的にはすべてのロールスロイスに採用されるという新世代のアーキテクチャーが、ほかのモデルに先駆けて採用されているのだ。先代のスペースフレーム アーキテクチャーよりもおよそ30パーセントも剛性が高く、次世代ロールスロイスならではの乗り心地や音響の快適性、座り心地などをさらにレベルアップしている。ロールスロイスではこれを室内空間における非常に重要なテクノロジーと紹介している。そして「より軽く、より強靱に、より静かで、より高度な技術力」によって、進化した「マジック カーペットライド(魔法の絨毯のような乗り心地)」を実現したという。さらに四輪操舵システムが追加されたことで、急なカーブが続く峠道や市街地などさまざまな走行条件であっても、乗員の快適さを妨げないスムーズな走りにも一層磨きがかけられている。

世界で最も快適なクルマ

 130kg以上にもおよぶ遮音材を加えて、静かさを追求したという新型ファントムは、「世界で最も静かなクルマ」というロールスロイスの称号を裏切らない究極の静粛性を誇るが、新型ではさらに車速100km/hでの騒音レベルが先代モデルより約10パーセント低下しているという。スペースフレームのフロアとバルクヘッドに二層式の合金製スキンを採用することで路面からの騒音を遮断し、さらにスキンの間にヘビーフォーム(重さのある発泡素材)とフェルト層を挿入することで、かつてないレベルの遮音性を実現したとしている。すでに静粛性が高いレベルにあったファントムにとって、さらなる静粛性の追求は容易なことではなく、久々のニューモデルに対する意気込みが伝わってくる。

 前席、後席ともに、上質な素材とゆとりのスペースを享受できる。伝統に裏付けされた気品あふれるインテリアが、世界中の眼識あるユーザーを納得させる。

移動するアート空間

 新型ファントムのインテリアは、「新しいラグジュアリーな視点」から解釈され、個性的に仕上げられている。「ユーザーの多くが、アートに深い理解と関心があり、実際に個人のコレクションを所有するひとも少なくない」ということで、新型ファントムのインテリアコンセプトの中心には「アート」が据えられている。ダッシュボード上部のスペースは強化ガラスで覆われ、その下には好みのデザインや装飾などを入れることが可能となっている。ビスポークによるアートのための場所となり、それぞれのユーザーがパーソナライズすることができ、いわゆる「動く美術館」のようになるという。計器類や時計はクロームフレームと数多くのジュエリーに飾られる。もちろん、ドアやセンターコンソール、ダッシュボードなどにも最上級のウッドパネルが使用され、ラグジュアリーな雰囲気は以前にも増して深く感じられる。

 ユーザーのさまざまな要望に、英国グッドウッドのロールスロイスで働く職人やデザイナーが応えていくという。クルマ界のオートクチュールは依然として健在だ。

 

精神的なゆとりをもたらすパフォーマンス

 新型ファントムに搭載されるエンジンは、6.75Lという大排気量のV12ツインターボエンジン。この新開発されたユニットは、最高出力570馬力、最大トルク91.8kgmという尋常ではない力強さで、2.7tを超えるボディを軽々と加速させる。最高速度は250km/h以上とされ、0-100km/hは5.3秒(ロングホイールベースタイプは5.4秒)と、ハイレベルな動力性能を示す。そして、このエンジンは驚異的な振動の少なさを誇るとされている。

 ファントムは内外装だけでなく、エンジンなども熟練の職人による手作業となり、通常のクルマよりもはるかに複雑な工程を経て仕上げられている。

ロールスロイス ファントム エクステンデッド ホイールベース(8速AT)

全長×全幅×全高  5990×2020×1645mm
ホイールベース  3770mm
車両重量  2750kg
エンジン  V型12気筒DOHCターボ
総排気量  6.75L
最高出力  571ps/5000rpm
最大トルク  91.8kgm/1700-4000rpm

販売価格
ファントム:5460万円
ファントム・エクステンデッド・ホイールベース:6540万円

  • ただならぬ存在感を示すフロントグリル。

  • 特徴的な観音開きのドアは、ストレスのない乗り降りを可能にしてくれる。全方向のスペースにゆとりがあり、居住性の高さは比類なきレベルだ。

  • インテリアは上質なウッドやレザーなどがふんだんに用いられた贅沢で快適な空間となっている。

  • 専用の傘がリヤドアに内蔵されている。

  • 車体の大きさと比べてコンパクトに見えるラゲッジだが、548Lという余裕の容量。

  • 1925年に登場したファントムI。

  • イギリス女王エリザベス2世のファントムVI。

  • ジョン レノンが所有していたファントムV。

  • 多くのクルマが機械で行う作業も人の手で行われている。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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