新車試乗レポート
更新日:2018.11.05 / 掲載日:2018.01.18

ジープ コンパス 試乗レポート

ジープ コンパス

フルモデルチェンジしてコンパスが生まれ変わった。ジープの最上級モデルであるグランドチェロキーを思わせる顔つきは高級感をアピールし、コンパクトながら室内も広くて実用的だ。

新世代のジープはコンパクトで上級な仕立て

 先代、というか初代コンパスのデビューは衝撃的だった。本国デビューは2006年1月(日本では後期モデルとなった2012年3月から)。コンパクトクロスオーバーSUVが世界的にもてはやされることになるずっと前のことである。

 ジープブランドにとっては初のコンパクトモデル、さらに初のFF乗用車系プラットフォームを採用したモデル、初のCVT、そして、はじめて本格的な悪路の走行を考えていないモデル・・・。とにかく「ジープとして初」が満載のチャレンジングなモデルだったからだ。

 それから約10年の時が流れ、心機一転した2代目コンパスがついに日本にも上陸した。いまではFFプラットフォームで本格的な悪路走行を考えていないモデルもジープとしては珍しくなくなり、コンパスより小さなモデルさえもラインアップしている。そんな状況でコンパスの存在感を高めるにはどうすればいいのか?ジープとしての答えは「質感の向上」だった。

 スタイリングは、先代後期モデルに続いてジープのフラッグシップであるグランドチェロキーを思わせるデザイン。サイズの小さなプレミアムSUVをねらっていることがひしひしと伝わってくる。

 全長は先代よりも75mm短くなり、都市部での取りまわしやすさを重視。プラットフォームは弟分のレネゲード用を改良したもので、マルチエアエンジンを投入するなどフィアット系の技術が投入されている。

 インテリアは時代の変化にあわせてラグジュアリー感が増した。インパネ中央には「スポーツ」に7インチ、中間グレード「ロンギチュード」と上級グレード「リミテッド」には8.4インチのディスプレイが組み込まれ、後者はカーナビも標準装備。普及価格帯のアメ車もずいぶん親切になったと実感する。

 意外なのは後席。ジープといえば後席はあまり広くないのが定説だったが、新型コンパスなら、乗り込もうとした瞬間に気が付くほど足元が広い。レネゲードの後席にはゆとりがないが、コンパスならファミリーユースとのマッチングが抜群にいい。

ジープ コンパス

 さて、試乗したのは「ロンギチュード」。上級の「リミテッド」はレザーシートなど、装備も充実し駆動方式は4WD。いっぽうで「ロンギチュード」はファブリックシートでFFだが、価格が68万円も安いので一気に身近な存在となるだろう。

 走りの印象は、高速巡航を重視した欧州車らしい感覚。メカニズムにフィアット側のテクノロジーが多く入っている影響を感じると同時に、ジープも変わりつつあるからだと思うが、サスペンションは適度に締めあげてあり高速領域でもビシッと安定。オフローダーらしいフワフワした感覚は微塵もない。多くのコンパクトSUVがそうであるように、背の高いステーションワゴンといった感覚だ。これなら数百キロを一気に駆け抜けても疲労は最小限だろう。いっぽうで今回は悪路走行を試せなかったが、試乗前に資料として掲示された写真を見る限りは、オンデマンド式の4WDとは思えないほどの悪路走破性を備えているようだ。悪路を無視した都市型SUVとは一線を画しているというわけだ。

 気が付けば、世の中には都市型SUVが急速に増えている。10年前に、会社の常識を超えてそれを市販したジープには先見の明があったということだろう。新型コンパスの生産はアメリカの工場では行われず、すべて国外となる。日本仕様は、そのなかで精度の高いインド工場で生産されるというので期待したい。

文●工藤貴宏 写真●グーワールド
問い合わせ ジープコール TEL:0120-712-812

Detail Check

ジープ コンパス

フロントマスクはグランドチェロキーと同じテイストだが、ボディ後半はレネゲードと似た印象だ。Aピラーはかなり寝ている。

  • コックピット

    ジープ コンパス(コックピット)

  • コックピット

    ジープらしく繊細な肌触りのレザーを巻いた太いグリップのステアリングを採用。プリクラッシュブレーキなど先進装備も組み込んでいる。4WDはモードの切り替えが可能で、「AUTO」「SNOW」「SAND」そして駆動力を最大にする「MUD」も選べる。

  • インテリア

    ジープ コンパス(インテリア)

  • インテリア

    最上級グレード「リミテッド」には、運転席電動調整機能や前席シートヒーター付きのレザーシートを標準採用。フロントシートは左右幅がゆったりしつつサイドサポートは大きい。座り心地は硬めだ。

  • エンジン

    ジープ コンパス(エンジン)

  • エンジン

    エンジンはスロットルバルブではなく吸気バルブのタイミングとリフト量で回転数をコントロールする「マルチエア」を採用する。

  • ラゲッジスペース

    ジープ コンパス(ラゲッジスペース)

  • ラゲッジスペース

    後席使用時の床の奥行は約840mmとコンパクトなステーションワゴンに近い広さ。後席背もたれは中央部分だけを貫通可能だ。

ジープ コンパス ロンギチュード(6速AT)

全長×全幅×全高4400×1810×1640mm
ホイールベース2635mm
トレッド前/後1550/1540mm
車両重量1490kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量2359cc
最高出力175ps/6400rpm
最大トルク23.4kg m/3900rpm
サスペンション前後ストラット
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後225/60R17

全国メーカー希望小売価格(発売 2017年12月)

コンパス スポーツ(6速AT)323万円
コンパス ロンギチュード(6速AT)351万円
コンパス リミテッド(9速AT)419万円

Body Color

 エグゾティカレッド
 □ヴォーカルホワイト
 ハイドロブルー
 ブリリアントブラッククリスタル
 ミニマルグレーメタリック
 ブロンズメタリック

デザインのルーツはマッハ3で飛ぶ戦略偵察機!?

  • デザインのルーツはマッハ3で飛ぶ戦略偵察機!?

  •  エクステリアデザイン責任者のクリス・ピシテリ氏によると、最初のスケッチを描く際にインスピレーションを受けたのはアメリカが冷戦時代に採用していた超音速の戦略偵察機「SR71 ブラックバード」。マッハ3で飛行する機体から機能的な美を感じつつ、モダンとプレミアムをバランスさせたという。

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