試乗記[2017.12.26 UP]

【Dream Cars File】 McLaren P1

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世界最高峰のパフォーマンスをもつ“実用”ハイブリッドスーパーカー

“風を切る”感覚は別次元F1直系の空力は最大の魅力

 マクラーレンは今、最もピュアなスーパーカーブランドだ。なにせミッドシップカーしか造らない。しかも全てがカーボンシャシー。年産数十台規模ならそれも分かる。けれどもマクラーレンの年間生産台数は今や三千台以上。ランボルギーニがSUVの生産に乗り出した今、マクラーレンのスーパーカー純血度だけが突出している。
 とはいえ、彼らのビジネスモデルは、完全にフェラーリに「追いつけ、追い越せ」だった。F1界でも歴史的に凌ぎを削ってきた良きライバル。ロードカーにおいても、ウォーキングの仮想ライバルは常にマラネッロなのだ。
 それゆえ、最初の市販車であった12C(ライバルはフェラーリ458だった)が登場した後、早い段階から、次のモデルは、トップ・オブ・フェラーリと同等のハイパーカーだと言われていた。エンツォ・フェラーリ後継モデル、今では「ラ・フェラーリ」としてその名が知られているモデルの性能を正確に予想したうえで、その対抗馬を計画し、開発したのである。
 ’13年。世界限定375台のP1、ついにデビュー。ハイブリッドシステムを備えるという点でも、パフォーマンススペックにおいても、そして最新のエアロダイナミクスを応用したスタイリングにおいても、それは正真正銘、世界一のスーパーカーであり、フェラーリの牙城を崩す勢いに満ちていた。
 しかも、P1の素晴らしさは、世界最高峰のパフォーマンスを手に入れてなお、12Cで絶賛された「実用スーパーカー」としての性能をきっちり担保していた、という点にもある。その取り扱いは、想像以上にドライバーに優しく、時速160km/hまではEV走行も可能であることと相まって、卓越したロードカー性能を有するマシンに仕上がっていた。
 ドライブフィールで最も特徴的なのは、「風を切る」感覚が他のスーパーカーとは別次元であったこと。まるでドライバーの身体そのものも空力設計されたかのようだ。
 P1最大の魅力。それはF1直系の空力にあるのかも知れない。

●P1主要諸元

全長×全幅×全高(mm):4588×1946×1188、駆動方式:MR、エンジンタイプ:3.8L V8DOHCターボ+モーター、最高出力:737PS/7300pm+179PS、最大トルク:73.4kg・m/4000rpm+26.5kg・m、トランスミッション:7DCT、車両重量:1395kg

カーボン・モノコック構造のモノケージを採用、跳ね上げ式のディヘドラル・ドアを備える。日本での車両価格は9661.5万円だった。

カーボンむき出しのインテリアは軽量化のため吸音材も省かれた。

レースモードでは最大600kgのダウンフォースを生み出す。

V8ツインターボに1基のモーターを組み合わせたハイブリッドパワートレーン。

派手なエクステリアも空力の賜物速く走るための機能だけで成立

 空力のすさまじさに尽きる250km/hオーバーの世界へ、その姿勢を微塵も崩すことなく、極めてスムースに達してしまうのだ。望めば途中で意のままに操ることも可能。なるほど、フォーミュラーカーを造り慣れたブランドだけのことはあって、前輪は常に両腕に抱え込まれているように感じられ、ステアリングホイールを握りしめた指の先でタイヤが動いているような感覚さえある。しかも、それは見事なまでにダイレクトなフィール。派手なエクステリアも空力の賜物。それが証拠に、インテリアは質素で仕事場感覚に満ちている。色気はない。速く走るための機能だけで成立しているのだ。

提供元:月刊自家用車



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