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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.29

ニューヨーク、ロンドン、北京、同時発表コンセプトカーそのままで誕生BMW i3

BMWが手がけるEV、i3が発表

【本記事は2013年9月にベストカーに掲載された記事となります。】約2年前のロサンゼルスショーで公開されたBMWの電気自動車i3コンセプト。量産EVでは日本がリードしてきたが、走る楽しさが魅力のBMWが手がけるEV、i3がいよいよ発表された。日本のEVとはどこが違うのか?

地球温暖化へのアプローチとして、iブランドに第1弾

松井秀喜が1日だけヤンキースに復帰し、引退セレモニーを行なった翌日の7月29日、同じニューヨークではあのBMWが新世代の“乗りもの”であるi3を正式に発表した。このニューヨーク、そしてロンドン、北京の3都市同時という世界規模の発表会で、中継で会場が結ばれる華やかなものだったが、実際にその歴史的な一瞬をこの目で見るためにニューヨークの会場に訪れた。BMWはここ数年、地球温暖化という環境問題へのアプローチとして、iブランドの周知を図っている。環境問題の解決に向けた商品をブランド化するのはさすがにヨーロッパメーカーともいうべきだろうが、その第1弾がこのi3ということだ。

BMWの“本気”が見えた

コンセプトカーを思わせるデザインは魅力的!

コンセプトカーを思わせるデザインは魅力的!

i3は一昨年のロサンゼルスショーにコンセプトモデルが出展された電気自動車、EVである。日本ではi-MiEV、リーフがすでに市販されていたため、BMWのEVに対してもそれほどの驚きはなかった。しかし、発表が近づくにつれ、BMWの“本気”が見えてきた。今回のニューヨークでの発表会は市内の名所である廃線を利用したハイラインの一画の倉庫で行なわれたが、ノルベルト・ライトホーファーBMW会長をはじめ、マイケル・ブルームバーグニューヨーク市長も参加した盛大なもので、i3が北米の政官を巻き込んだ重要な車種であることをうかがわせた。ひとつの理由は、BMWがこのi3の開発の目的であるメガシティビークルとして、ニューヨークなどでの大都市部のモビリティとして商品化されたということ。そのためインフラの整備は行政の協力が必要ということがある。もう1点は、このi3を成立させる重要なパーツ、カーボンファイバー(CFRP)の生産工場、SGL社を北米ワシントン州モーゼスレイクに設立したことによる。このモーゼスレイク近郊には巨大な水力発電所があり、天然エネルギーによる電力で軽量なカーボンパーツを生産するというものだ。カーボンの加工には焼いたりするため多くの電力が必要とされ、それが量産のネックとなっていたわけだが、生産からクルマ本体まで一貫してCO2の排出量を低減させることがBMWのi3ブランドのひとつの目的で、ここがこれまでのクルマ作りから大きく進化した革新的な部分でもある。ちなみに、カーボン素材は日本の三菱レイヨン製で、日本の大津から北米に出荷され、SGL社で製品化された後、これをドイツのライプチヒ工場でi3として組み上げるというグローバルなクルマ作りになる。

i3はどんなEVなのか?

ボディコンストラクションは上側にCFRP、下のシャシー部がアルミになる。モーターはリアに置かれ、リアタイヤが駆動輪となる

ボディコンストラクションは上側にCFRP、下のシャシー部がアルミになる。モーターはリアに置かれ、リアタイヤが駆動輪となる

■i3はどんなEVなのか?i3の基本的な骨格はアルミシャシーにこのCFRPのインナーパネルが乗せられ、エクステリアの表面はプラスチックというものだ。これにより軽量で耐久性のあるボディが可能になる。床下に収納されるリチウムイオン電池は約200kgに達するが、最終的に重量1195kgに抑えられる。

リーフと比較

ボディサイズは日本のリーフを短くした感じ。フロントのキドニーグリルに穴はなくイメージとして付けられる。リアは顔を思わせユニーク

ボディサイズは日本のリーフを短くした感じ。フロントのキドニーグリルに穴はなくイメージとして付けられる。リアは顔を思わせユニーク

サイズ的には全長3999mm、全幅1775mm、全高1578mmと、先行して発表されたリーフの全長を40cmほど短縮した程度で、スチール製のリーフよりも200kgほども軽いことになる。同じようにリーフと比較してみると、モーターの性能面でもi3が大きくリードしているのがわかる。

モーター出力・価格

モーター出力をみるとリーフが109ps、25.9kgm。これに対しi3は出力が170ps、トルクが25.5kgmと、パワーは61psもi3のほうが上。駆動方式はBMWらしく後輪駆動となるから、クルマとしての大きな魅力、ドライビングプレジャーも重要視していることは間違いないところだ。注目の航続距離は130~160kmと説明されていて、これはリーフやi-MiEVのデビュー当時の数字とほぼ同じ。現在はJC08モードでリーフもi-MiEVも延ばしているから日本のEVのほうが走れる距離は長い。この航続距離の問題がEVでひとつのネックになっているのをBMWはもちろん承知している。このi3には発電用のエンジンをオプションというか、グレードとして用意。スクーター用の水平対向2気筒。680ccエンジンと10Lぶんのガソリンタンク付きのレンジエクステンダーモデルもある。価格は3000ユーロ(約40万円)。本体価格は3万4950ユーロ(約450万円)だから、日本円で約490万円ほどの価格となる。これにより航続距離は240km~300kmへと延長され、あるBMW関係者の話によれば、ドイツ国内での購入者の80%程度はこのレンジエクステンダーモデルになると見込んでいるということだ。

新しい取り組み

i3の特徴のひとつは、ボディの大きさに比べタイヤが細いことだ。このタイヤはブリヂストン製でサイズは155/70R19というものだ。オプションで20インチも設定される。カーボンのインナーボディ、アルミ製のシャシーだけでなくすべてで軽量化に向けた努力が行なわれる

i3の特徴のひとつは、ボディの大きさに比べタイヤが細いことだ。このタイヤはブリヂストン製でサイズは155/70R19というものだ。オプションで20インチも設定される。カーボンのインナーボディ、アルミ製のシャシーだけでなくすべてで軽量化に向けた努力が行なわれる

EVとしての燃(電)費は日本のEVと変わらないが、このi3にはいくつもの新しい取り組みが見られるところがこれまでのEVとは異なっていた。例えばタイヤもそのひとつ。ブリヂストン製のエコピアは、今年3月にコンセプトだけ発表されていた新世代の燃費タイヤだ。i3には155/70R19という大径タイヤが装着されるが、この極細の専用タイヤにより、ブリヂストンの発表では205サイズに比べ空気抵抗が3.7%、転がり抵抗は4.5%も減少する。こうしたすべての部分で新しいアイデアを取り入れて作られるのがi3の先進性だった。

ゼロエミッション化という大きな革新性

インテリアの素材は繊維をメインとした天然なものを採用。ここまでビニールのものを少なくしているメーター類リアドアは観音開きの4ドアとなる

インテリアの素材は繊維をメインとした天然なものを採用。ここまでビニールのものを少なくしているメーター類リアドアは観音開きの4ドアとなる

インテリアの素材も繊維を使った天然素材のものを重視し、環境に対し一貫して配慮したものだ。生産から素材、そしてクリーンエネルギーによるゼロエミッション化という大きな革新性がi3を形成する。日本への導入は来年春で価格は500万円以内というところだろう。クリーンエネルギー補助金の上限、85万円は給付されるから実質的に400万円台強で買えることになる。発表会自体は朝9時30分からで、長い説明もあり午後2時までの4時間30分。そのためだけに往復30時間かけて参加したが。その意義は充分あったといっておくべきだろう。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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