BCテストで実燃費は22.8km／L！！　三菱ミラージュ走りも燃費も本物だ

【本記事は2012年10月にベストカーに掲載された記事となります。】室内空間、走り、実燃費をチェック！！ “買い“の一台だ新型ミラージュ、Bセグメントの激戦区に三菱が送り出した世界戦略車だ。8月末には益子修社長が「来年度にはセダンを追加し、EVやPHV車の投入も検討している」と語るなど気合いの入れ方が違う。ミラージュのトピックはなんたって、「ガソリンエンジン登録車トップのJC08モード燃費27.2km／L」。フィットHVの26.4km／Lより優れるビックリものだ。こうなると気になるのが実燃費で、その結果はタイトル上にあるが、22.8km／Lとかなりいい数値。加えて、室内空間や走りも気になる。マーチやパッソ、デミオなどのライバル車と比較しながら、片岡英明氏にミラージュの魅力を存分に語ってもらった。

小さいが狭くないのか？世界戦略車であるミラージュだが、ボディサイズは日本の小型車枠のなかに収めている。全長は3710mmと歴代ミラージュのなかで最も短い。パッソに次いで短いサイズで、最大のライバルと目されるマーチと比べてもコンパクトサイズ。全幅は1665mm、全高は1490mmだ。全幅はマーチとパッソと同じで、全高はデミオに次ぐ背の低さだから無理なく立体駐車場を使うことができる。使い勝手のよさを計算しつくしているといえそうだ。その全幅同様ホイールベースもマーチと同じ2450mm。パッケージも似ているから、キャビンは同じくらいの空間だ。前席は両車ともゆったりと座れる。ミラージュはちょっとホールド感が物足りないが、アップライトな姿勢で座ることもあり、見晴らしはいい。

後席もマーチと同等の広さで、デミオとパッソよりは余裕がある。3人掛けの場合、中央席にヘッドレストがなく、シートも平板だからくつろぎ感は正直いま一歩か。だが、ラゲッジルームの広さはミラージュがライバルを圧倒しているといえる。サイズからくる取り回し感も加え、よく考えられたパッケージという印象をもった。

1Lエンジンでちゃんと走るのか？どんな乗り味なのか。乗る前から興味を持たせるのもこのクルマの魅力。というのも、ミラージュが積むのは999ccの3A90型直列3気筒DOHCエンジン。69ps／8.8kgmと、表示スペックはライバルに一歩及ばない。同じ3気筒でもマーチは1.2Lエンジンだから79ps／10.8kgmを発生する。パッソの1Lエンジンは最高出力こそミラージュと同じ69psだが、最大トルクは9.4kgm。だが、ミラージュは徹底して軽量化に努め、これが馬力のハンディを打ち消している。ミラージュGのパワーウエイトレシオは12.6kg／Lで、パッソ1.0＋HANAの13.2kg／psと、形勢は逆転。ミラージュの走行性能でいうと、ジヤトコ製の副変速機付きCVTを採用したこともポイント。奇しくもマーチも同じCVTを採用。だが、最後発だから制御はより緻密になっている。発売前に乗ったミラージュのプロトタイプと比べて、走りの洗練度が大幅に高められていることでわかる。ワイドレシオのCVTと軽量ボディが功を奏し、タウンユース主体の走りでは軽やかな加速と優れたドライバビリティを披露した。発進加速はパッソの1Lモデルより鋭いし、パーシャル域から加速しても気持ちよくスピードを乗せていく。フルスロットルの加速では排気量に勝るマーチやデミオに分がある。だが、街中では互角以上の走りを見せた。3気筒エンジン特有の振動と不快な騒音は、マーチとパッソより低く抑えられているが、“ゴォ～”というロードノイズを少しは感じた。ただ、アスファルトのザラつき音まで拾う感じはなかったのがミラージュの優れている点だ。さらに操縦安定性。これもプロトタイプより進化が認められ、コントロールできる領域が広がった。高めの空気圧を指定するエコタイヤを履いているが、乗り心地は穏やか。荒れた路面を走ってもサスペンションはしなやかな動きを見せた。素直なハンドリングも高く評価できるところだ。スタビライザーを省いていることもあり、コーナリング時のロールは大きめだし、軽めの電動パワーステアリングもやや頼りなく感じる。だが、マーチやパッソよりも挙動は素直で、コントロールしやすく感じた。排気量の違いもありデミオよりスポーティではないが、マーチとパッソよりは地に足がついた走りを見せる。だが、横滑り防止装置がオプション設定にとどまるのは大きな不満だ。

実燃費22.8km／L。看板に偽りなし！さて、ハイブリッドカーと遜色ないミラージュの燃費。JC08モード27.2km／Lはかなりインパクトあるが、実力はどうか！？ BCお馴染みの約250kmの燃費コース（詳細は上コーナーにあり）で実燃費値を計測してみた。一緒に走ったのはフィットHV（JC08モード26.4km／Lはミラージュに次ぐ燃費値）。アルミ合金製の3A90型1L 3気筒エンジンに副変速機付きのCVTを組み合わせ、「AS＆G」と呼ぶアイドリングストップ機能も装着するミラージュが、人気のハイブリッドカーに真っ向勝負を挑んだわけだ。

そのテスト経過や結果は上コーナーにあるが、ミラージュの実燃費は22.8km／Lで、フィットHVの23.0km／Lに肉薄！ JC08モード同様にフィットHVを凌ぐことはできなかったが、ハイブリッド相手にわずか0.2km／Lの差は凄い。そのほかのライバル車の実燃費も左にリストアップしているが、実に天晴れなテスト結果となった！

ミラージュの燃費がいい理由のひとつは、徹底した軽量化と優れたエアロダイナミクスだ。車重は860～870kgと、ライバルより100kg前後は軽い。空気抵抗係数も世界トップレベルで、CD＝0.27を達成した。優れた空力ボディは静粛性の向上にも効果が大きい。また軽量設計で、燃焼効率のいいエンジンとトランスミッションも燃費向上に大きく貢献している。1気筒当たり330cc前後のエンジンは効率がよく、3気筒なら軽量かつコンパクトな設計にしやすい。当然、オルタネーターの減速エネルギー回生制御も盛り込んだ。ワイドレシオのCVTはロックアップ領域の拡大や変速制御の最適化などによって実燃費を向上させたにちがいない。ただし、燃料タンク容量が35Lと小さめで、長距離ドライブの時の航続距離はタンクの大きいマーチやパッソと大差ないのは惜しいところ。いくつか不満はあるもののミラージュはライバルと比べてトータル性能が高い。とくにタウンユースを主体とした日常の運転シーンで高い実力を見せつける。これは大きな魅力だ。

Powered by ベストカー