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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
ホンダの救世主か? N BOX徹底研究
ホンダは軽自動車で大きくなった自動車会社
N BOXのNはホンダの軽自動車のNがモチーフになっていることはいうまでもない。NEW、NEXT、NIPPON、NORIMONOといろいろ意味はあるが、ベストカーはNICEのNであってほしいと思う
【本記事は2012年1月にベストカーに掲載された記事となります。】ホンダは2012年を巻き返しの年と位置づけ、このN BOXがその大きな柱となる。とにかくN BOXはプラットフォームもエンジンもCVTもすべてが最新のものを使っている。これはいいすぎかもしれないが、ライフやゼストとはものが違うのだ。ホンダは軽自動車で大きくなった自動車会社だ。N360は軽自動車でベストセラーとなり、ホンダという会社を大きくした。その原点に帰り、Nの名を付けてデビューしたのがN BOXだ。これから来年にかけて少なくとも2台の軽自動車が発売されるが、一連のモデルはNシリーズと呼ばれる。
「遅出しじゃんけん」でもその中身は堂々としたN BOX
室内長×室内幅×室内高2180×1350×1400mm
これまでホンダは国内市場軽視といわれてきた。北米での好調で2010年度の決算においては純利益においてトヨタを抜くほどだったが、国内販売は好調とはほど遠い状態で、特に落ち込んだのが軽自動車だ。2011年度の上半期の販売台数ではご覧のとおりシェアはわずかに8.1%とオリジナルモデルをもたない日産に抜かれて4位になっている。さすがに昨年あたりから国内の販売店からの突き上げが強くなっていたところだった。市況的にも国内の自動車販売において軽自動車は40%を超える水準になると予想され、ミライースの人気で予想にも納得がいく。ホンダが投入したN BOXはいわゆるスーパーハイトワゴンというジャンルでホンダがこれまで持っていなかったクラス。「遅出しじゃんけん」と悪口をたたかれているが、その中身は堂々としたものだ。
ライバルはステップワゴン
1人あたりの居住空間ではステップワゴンを凌ぐカップルディスタンス1150mmとステップワゴンと同じ室内高1400mmをもつ。シートは3車で唯一固定
■ライバルはステップワゴンスーパーハイトワゴンというからには室内空間の広さがまずは問われるところ。N BOXはあえてクラスの違うミニバンのステップワゴンを挙げてその前後シート間、つまりカップルディスタンスが、ステップワゴンを上回ることを強調している。実際に座った感じは想像以上に広い。たっぷりのヘッドクリアランスに加え、センタータンクレイアウトが生み出す足元の広々感は、軽自動車であることを忘れさせる。
センタータンクレイアウトならでは
センタータンクレイアウトのおかげでチップアップモードを採用。ベビーカーをたたまずに載せられる
タントやパレットに比べるとシートはスライドしない固定式だが、シートをたたまない状態で18Lのポリタンクが4つ積めるのはN BOXだけだ。片方のシートをたためば、27インチのママチャリがそのまま載せられるほか、センタータンクレイアウトならではのチップアップモードを使えば、ベビーカーをたたまずに収納できる。居住性と積載力という点ではライバル以上といっていいだろう。
アース・ドリームス・テクノロジー
新型エンジンはF1で培った技術をフィードバック。NA、ターボともにスペックはクラスナンバーワン。フラットなトルク特性で車重を苦にしない
■アース・ドリームス・テクノロジーエンジンは新開発の3気筒DOHCでVTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)の採用で吸気効率を大幅に向上させている。NAの出力はクラストップの最高出力58ps、最大トルク6.6kgmを発生。1次減速機構を設け、より伝達効率を高めた新型CVTとハイブリッド車以外では初めてとなるアイドリングストップを組み合わせることで10・15モード燃費24.5km/、JC08モードで22.0km/Lを記録している。またこのCVTによってフラットなトルクを充分に駆動にまわせるためにGグレードで930kgと決して軽くはないボディを快活に走らせることができる。そして注目はターボエンジン。ゼストスパークのターボと比べると最高出力は64ps/6000rpmと変わらないが、最大トルクは10.6kgm/2600rpmとゼストスパークのターボ9.5kgm/4000rpmと比べると1.1kgmもトルクが太くなり最大トルクの発生回転が1400rpmも低くなっている。軽自動車で2600rpmという低回転で最大トルクが発生するユニットは聞いたことがない。フラットで乗りやすいことがわかる。燃費も10・15モード燃費で21.0km/L、JC08モード燃費で18.8km/Lとライバルを引き離す。この走りの楽しさと燃費のよさを両立させる次世代技術をホンダではアース・ドリームス・テクノロジーと呼び、このNBOXから展開していく。シャシーとサスペンションはもちろん新設計、乗り心地にこだわり、4人乗車でも突き上げを感じさせないものだ。
装備のよさも注目だ
全車にVSAとヒルスタートアストを装備
■装備のよさも注目だ軽自動車として初めてVSAとヒルスタートアシスト(HSA)を標準装備。これによって2014年10月から施行される新基準ESC法規を先行して適用している。常時点灯3眼メーターや燃費のいい運転を知らせるコーチング機能、ECONモード、スマートキーシステムなどリッターカーと変わらない装備が標準装備だからコストパフォーマンスはかなりのもの。ホンダは2012年の軽自動車の販売台数を今年の見込み14万台の2倍となる28万台を目ざすとしている。N BOXはそのための確かな狼煙となるはずだ。
あっぱれ! 無限仕様
プレーンなノーマルモデルに対してアクの強いカスタムをラインアップ。こちらには64ps/10.6kgmを発生するターボもラインアップする
あっぱれ! 無限仕様ただでさえ強烈なカスタムをさらに力強くドレスアップするのが無限のパーツ類。フロントスポーツグリルやフロントロアスポイラー、ベンチレーテッドバイザーといったエアロパーツのほかに、スポーツサスペンションやブレーキパッド、スポーツエキゾーストシステムなどがそろう。基準車の走りのよさを無限パーツでさらにパフォーマンスアップできるはずだ。