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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.02

今年年末に発売!! 日産リーフにもう乗った!! リーフ裏も表も徹底研究!!

今回はテストコースで走行。電気自動車らしくトルクフルな加速を見せ、ハンドリングはクイックで走行安定性も高い

今回はテストコースで走行。電気自動車らしくトルクフルな加速を見せ、ハンドリングはクイックで走行安定性も高い

【本記事は2010年7月にベストカーに掲載された記事となります。】6月第三週、日産はTVや一般紙、自動車専門誌などのメディアを大々的にテストコースに招聘し、この年末に発売される電気自動車リーフの試乗会を開催した。本誌ではそのレポートを、すでにリーフに注文を入れた国沢光宏氏にお願いしたぞ。すでに販売目標台数を終える予約(現在はキャンセル待ちの予約)を受けているリーフながら、多くの技術内容がいまだ明らかになっていない。例えば車重。TVや新聞はもちろん、自動車雑誌でも伝えていない。そもそもバッテリー寿命だって不明である。また、本誌ベストカーはリーフが100V電源から充電できないことを早い時点で指摘していたが、皆さんi-MiEVと同じく、普通の100Vから充電できると思っているようだ。それ以外にも今回の取材会で判明したことは多い。以下、挨拶代わりに「解っていそうで解らないリーフの秘密」を紹介したい。

解っていそうで解らないリーフの秘密

全体的にわかりやすく「未来」を感じさせるインパネ。すっきりとして機能的かつ美しいぞ!

全体的にわかりやすく「未来」を感じさせるインパネ。すっきりとして機能的かつ美しいぞ!

◆バッテリー寿命/日産の公式発表では「5年で容量の80%になる」と言っている。多くの人は「なんだよ! 5年で交換かい!」と理解してしまうだろう。今回、開発担当者に聞いてみると「5年で80%の性能です」。同じ答え。聴き方がクルマ知識のない記者さんと同じでした。「走行距離にしてどのくらいですか?」。「20万以上だと思います」。仮に100km走って充電したとすれば、2000回である。いっぽう時間的な寿命を聞いてみた。この点に関する明確な返答はなし。日産側も使い方による差など考えるとハッキリ言えないらしい。ただ10年間は何ら問題ないそうな。メーカーの人がこういう時は、1.5倍くらいのマージンを考えている。おそらく12年/20万kmなら確実。もしかするとアメリカでの要求レベルである15年/24万kmに限りなく近いかもしれません。普通の人なら無交換だ。◆車重/トップシークレットのようだ。バッテリーは300kgを少し切る程度の重量で確定したようだ。問題は車体側。電気自動車といえども軽量化は重要である。開発の末期に差しかかっているのに、ドンドン軽くなっていく状況らしい。さまざまな情報から推定すると、現状1.5tを少し超える程度。市販モデルは1.5tを切るか切らないかくらいになるだろう。このクラスの電気自動車としては軽いと思う。◆日本仕様の装備/補助金を使っての実質価格299万円はベースグレード。とはいえナビやLEDのヘッドライトなどすべて標準で装備されるようだ。上級グレード用の装備としてクルーズコントロールなどを考えているらしい。頭の古い国内販売部門は「クルコン=高級装備」と考えているのだろう。リーフのクルコン、スイッチを付けるだけで機能するのに。姑息な考え方に少しガックリ。◆空気抵抗係数/ECOカーは空気抵抗を少しでも低くしたいところ。プリウスなど0.26という量販車じゃ最も小さい空気抵抗を実現している。リーフはといえば0.29になるらしい。目標値は0.28だったものの、最終的に車高を確保するため(バッテリーと路面のクリアランスを確保した)リアサスのアームがフロアから下にハミ出てしまった。そこに空気が当たって乱れるため空力は落ちたという。また「激しく盛り上がったヘッドライト」はドアミラーに当たる空気の流れをコントロールするための「ウイング」で、風切り音を大幅に落とすことに成功したそうな。ルーフエンドのアンテナも何と5角形をしている。先端の形状も新幹線の先頭車両のような微妙なカタチなってます。普通のアンテナだと風切り音が気になるというから電気自動車は静かだってこと。◆低速走行音/本誌連載「クルマの達人」コラムでも何度か取り上げた「ステルスカーの走行音」を、日産はリーフから採用する。学者や役人からは「エンジン音にしてほしい」。電気自動車を理解しようとしないアホンダラからは「フェラーリのエンジンがいい」などという意見も出ていたようだけれど、私の希望通りインバーター音になった。電車の「クォーン」という音をイメージしていただければいい。こいつをスピーカーで大きくしてます。この音、日産の資料などを見ると「ハリウッドの映画音響専門家に開発してもらった」と書いてあるけど、これは間違い。開発は依頼したけれど、最終的に落選した。採用されたのは日産のオリジナル。国交省の理解も得たようだ。そうそう。京浜急行のドレミ電車(インバーター音が音階になっている)も検討したとのこと。アメリカで「なんだこりゃ!」と大笑いされ却下されたとの由。◆バッテリーの故障/リチウムイオンバッテリーはひとつのセル(電池の最小単位)が壊れただけで全体に影響を与えてしまう。リーフの場合、4つのセルでひとつのユニットになっており、こいつを48セット搭載する(全部で192セル)。トラブルが発生したらユニット単位で回路から分離。ユニットを交換するという対応を行なう。バッテリーのトラブルは大半が初期段階で発生するため、保証期間内に対応できると思う。

乗ってみてますます納車が待ち遠しい!

メーターパネルは未来的。速度計はハンドル上部に設置

メーターパネルは未来的。速度計はハンドル上部に設置

さて試乗といく前に少し脱線する。試乗前に行なわれた車両説明を聞いていて少しショックを受けた。日産は日本のメーカーだと思っていたのに、説明に使われる世界地図の中心はヨーロッパ。メーカー名も「日産・ルノー」じゃなく「ルノー・日産」だって。いろんな意味でもはや日産はヨーロッパに軸足を置くグローバルな企業になった、ということなんだろう。当然ながら試乗車も左ハンドルのヨーロッパ仕様でございます。ということで早速リーフに乗り込む。コクピットドリルは簡単。ブレーキ踏んでプッシュボタン押すだけ。電子音とモニター表示による割と長めのスターティングセレモニーが始まる(ユーチューブで「リーフ スタート KUNISAWA」と検索すれば動画でご覧になれます)。Dレンジを選んでアクセル踏むと、当たり前だけれど普通に走り出す。以下、乗った感じは普通の電気自動車です。特に速いワケでもなく、かといって不満を感じるような走りでもなし。本誌208ページで紹介しているVWゴルフブルーeモーションやi-MiEVと同じレベル。普通に流しているときは、プラグインプリウスとも近い。もっと身近に体験できるのは、プリウスです。満充電状態にしておき、EVモードのボタンを押した時の乗り味は“まんま”リーフである。プリウスに乗っている人ならまったくの日常。当然ながら静かで滑らか。数少ない「差」は、アクセルを戻した時の回生ブレーキの強さである。電気自動車の走行可能距離を伸ばそうとすれば、理想を言うと「アクセル戻した時にニュートラル」(空走またはコースティングと呼ぶ)させるのがベスト。プリウスのエコランでも「ソアリング」などと呼ばれる電力消費も回生も行なわないニュートラルモードを多用します。同じく電気自動車もアクセルを戻した時は空走モードにするといい。VWのゴルフブルーeモーションは正しくそうなってます。ブレーキペダルを踏んだら、踏んだぶんだけ回生の強さをコントロールしてやると、走行エネルギーを効率よく回収することが可能。ただブレーキペダルの踏み量で回生の強さをコントロールする技術は非常に難しいのだった。プリウスのようにコンピューターでブレーキ制御しなければならないですから。こいつを回生と油圧のコンビネーションブレーキと呼ぶ。i-MiEVやテスラ、BMWミニの電気自動車のように、主として技術的問題で(信頼性を確保したうえで自然なブレーキペダルの踏力を作り出すのは難しい)コンビネーションブレーキを採用できない電気自動車の場合、回生を行なうとすれば、アクセル戻したぶんだけ回生するしかない。つまり強めのエンジンブレーキのような雰囲気で回生させるワケ。実際i-MiEVでエコランやる時は、アクセル戻すと強い回生を掛ける「Bレンジ」を使う。BMWミニなどアクセル戻しただけで最大0.3Gもの減速Gが出るというから驚く。こらもう80km/hで2速ギアにシフトダウンしたようなもの。スポーツ走行しているなら気にならないかもしれないが、ノンビリ走っているとめちゃ疲れる。ということで本来ならリーフも「エコノミーモード」を選んだら、空走するような制御にするべきだと思う。なのにその逆を選択した。i-MiEVのBレンジと同じく、アクセルオフで回生を強めに掛けているのだ。リーフはすべての点で最先端の電気自動車だと思うけれど、この制御のみ納得できない。リーフの開発担当者も認識しており「そういった意味ではエコランモードじゃないかもしれません」。そいつを除けば100点でしょう。現時点でリーフを予約した同業者は一人もいないそうだけれど、どうして欲しいと思わないのだろうか? 私など新しい技術が気になってしかたない。今回試乗して、ますます納車が楽しみなりましたね。

開発主管に直撃! NISSANリーフは『クルマ』を変える

リーフの開発プロジェクトに初期から携わり続け、技術的な側面の開発責任者である車両開発主管の門田英稔氏にリーフの開発プロジェクトの苦労話や気になる「あの電気自動車」について話を伺った。本誌/まずこのクルマをここまで仕上げるにあたり、一番こだわった点、気を遣った点はどこですか?門田英稔氏(以下門田)/やはり電池です。幸いにしてこのクルマには、電池の設計段階から携われたんですけども、ラミネート型のリチウムイオン電池を採用したことでスペースを有効に使えました。そのことがこのクルマのさまざまなところに影響しています。本誌/先日トヨタと提供したステラモータースはパソコン用の「18650型」と呼ばれる電池を大量に使用しています。リーフにもその手法を使う、という選択肢はあったんですか?門田/開発のかなり早い段階から、そのプランは削りました。というのもリーフは4つのセルを1モジュールとして、それが48モジュール、合計192セルのバッテリーが搭載されています。もしこの192セルのうちひとつ調子が悪くなったとしても、その1セルが入ってるモジュールをひとつ交換すればいい仕組みを採用しました。本誌/ふむふむ。門田/いっぽうテスラは1台につき6831セルのバッテリーを搭載しています。このなかで例えば1~2のバッテリーの調子が悪くなった場合、どう制御するのか。もちろんやりようはあるんでしょうが、我々はそういう方法は考えませんでした。本誌/つまり整備性や信頼性を考えて、(パソコン用ではなく)自動車専用バッテリーを使うことにしたわけですね。門田/そうです。本誌/航続距離が思うように伸びず開発が苦戦している、という話を小耳に挟みましたが。門田/今回公表したように、電気自動車は使い方によって航続距離がかなり変わりますが(前ページコラム参照)、それでも僕個人としては、JC08モードで200km、つまり現状の性能であれば充分だと思っています。本誌/リーフの走行フィーリングはとてもよかったです。ただ一点、同クラスの国産車と比べると、ブレーキがかなりカチッと効くセッティングだと感じました。これはまだ発売前の開発段階だからですか?門田/まだまだ開発は詰めていきますが、ブレーキについてはこれがほぼ最終仕様です。このカチッとしたフィーリングは狙って設定したものです。固すぎますかね?本誌/以前このテストコースを別の日産車で走ったことがありますが、それと比べるとずいぶん固いです。(回生ブレーキを採用している)プリウスや(電気自動車の)i-MiEVと比べても固い。これは回生の特性の違いでしょうか?門田/そうではなく、リーフの特徴として街中をキビキビと走らせたかったので、キュッと止まれるブレーキにしたんです。本誌/あ、言われてみればドイツ車、ゴルフのようなブレーキではありました。なるほど。もう一点、今回リーフは5ドアHBでしたが、このほかのセグメント、例えばミニバンやSUVでも電気自動車は広がっていくと思いますか?門田/できるかできないかで言えば、SUVでもミニバンでも、あるいは我々が以前から「発売する」と言っている商用車でも、EVを用意することはできます。ただディーゼルも進化するでしょうし燃料電池も実用化されるでしょう。最終的にはお客様の需要があるかどうか、買っていただけるかどうかがポイントになるでしょうね。本誌/ライバルはやはり先行して発売したi-MiEVですか?門田/いやいや、一緒に成長していくお仲間だと思ってます。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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