中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
今号「世界のクルマ50台」でも選者多数!! シトロC5ってそんなにいいの?
C5はC6に次ぐシトロエンで2番目の高級車。ボディサイズは全長4795×全幅1860×全高1470mm、ホイールベース2815mm(セダン)。今回試乗した2Lは4速ATで17インチ
【本記事は2009年9月にベストカーに掲載された記事となります。】私の脳みそでクルマのことを考えるパートは今、シトロエンC5が大部分を占めている。8/10号の『世界クルマランキング』で、セダンEセグメントとステーションワゴン部門のダブル1位を獲得し、今号の『世界のいいクルマ50台』(P.58~)でも多くの人が名前を挙げているシトロエンC5。これまで触ったことも乗ったこともない私にとって、それは「とっても意外!」なのである。そんなにいいのかC5! キミはいったい、どんなクルマなんですか?そんなこともあって前号の編集後記で「C5が気になる」と書いたところ、(編)が「俺も気になる」と反応。そうしてページが生まれ、私が担当できることとなった。正直嬉しい。シトロエンC5は直4、2L(143ps/20.8kgm)とV6、3l(215ps/28.3kgm)の2つのエンジンを持ち、ボディはセダンとツアラーと呼ばれるステーションワゴンがある。価格はセダン2Lの399万円からツアラー3Lの499万円まで。今回の試乗でベタ惚れすれば、(新古車での)購入すら考えている私だけに、試乗車は最も車両価格が安い2Lセダンをチョイス。 駆動方式は全車FFで、サスペンションはシトロエン伝統の金属バネを使わないハイドラクテイブサスペンションの進化形。この足が「魔法のような乗り心地」(と、誰かが書いていた)を生み出すのだという。魔法ですぜ、魔法! 期待はとことん膨らむのだった。
で、乗って走って感動したか?
エクステリアデザインは日本車にはない魅力がある。2Lセダンは399万円でカーナビとETCは付かないが、ほかはフル装備だ
状況説明が長くなった。こうして前のめり、かつ超真剣な姿勢で試乗に挑んだ私だったが、実は、結論は「そんなにすごいか?」というものだった。これ、かなり勇気を振り絞って書いてます。だって評論家の皆さんがこぞって褒めて、昨年のインポート・カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれているクルマなのだ。それを「そんなにすごいか?」というのは、活躍中のイチローに「もっと頑張れ」というようなものではないか。もしかして、私のクルマに対する感性がおかしいのではないか? とすら思ってくるのだが、正直な感想を書くしかないよねぇ。2Lエンジンは特別なものは何もなく、ただただ普通。というより、最近の国産4気筒に比べるとパワーもスムーズさも劣る印象。その2Lには4速ATが組み合わされるのだが(V6には6速AT)、これも普通。そして注目の乗り心地。もちろん悪いわけはないのだが、期待が大きすぎたのか驚くほどではなかった。だって「魔法の乗り心地」だと思っていたもので。もしかしてV6、3Lだったらかなり印象が変わっていた可能性はある。しかし、2LだってC5はC5。皆さんが大好きなシトロエンC5なのだ。それがこんなもんなのかな? というのが偽らざる感想だ。
もしかして、ヘンなのは俺のほうなのか!?
リアシートは特別広くはないが、充分。後席インプレッター、編集部・浦田は「高速道路の乗り心地はバッチリ」と好印象
と、ここまで書いてフォローを入れるわけではないが、後席インプレッションを担当した編集部・浦田は「スピードが速くなるにつれてフラット感が増して、高速道路では継ぎ目を越える時もぜんぜん揺れを感じませんでした」という。その時運転していた私は高速道路でも印象は変わらなかったのだが、その証言もまた事実。要は「人によって印象は変わるもの」ということなのか。ただ、シトロエンC5には日本車にはない魅力と商品力があるのは確かだろう。センターパッドが動かない不思議なステアリングや場面に応じて車高を変えられるシステムなど、シトロエンらしさが随所に盛り込まれており、個性を発揮。例えばクラウンなどに乗ったほうがなにかとラクではあるだろうが、趣味性という点ではまったくC5には及ばない。これってクルマ好きには重要なことでしょう。だからシトロエンC5が気になって、購入を考えている人には「どうぞどうぞ」とお薦めする。しかし、必ず試乗したほうがいい。それも2Lと3Lの両方を乗り比べたほうがいいだろう。それにしても……、俺ってヘンなのかな?
C5買ってどうだ!? by松下宏
評論家の松下宏さんは実際にC5を購入。買った人の言葉には説得力がある。自身の愛車、3Lセダンの評価はいかに?ここ数年、“ハンドルを握ると優しくなれるクルマ”こそが究極のクルマではないかと思い続けてきた。今でもまだそんなクルマには出合えていないが、シトロエンC5はそれに近い魅力を持つクルマに思えた。昨年C5が発表された後、軽井沢で試乗した時、ゆったりと走らせるのがとても気持ちよく感じられるクルマであることをしっかりと体感できた。さすがにまだ、ハンドルを握ると優しくなれるクルマとまではいかないのだが、C5がそれに近い資質を持ったクルマであることがよくわかった。これがC5を買った理由だ。自分のクルマとして保有してから、まだ1000kmほどの距離を走っただけだが、購入理由となった要素を中心にC5はとても満足度の高いクルマだ。V型6気筒の3Lエンジン搭載車を購入したので、走らせればそれなりに速く走れもするが、別に速く走ろうと思わせないクルマであるのがいいところだ。シトロエンならではの油圧サスペンションによる乗り心地のよさは秀逸だ。ほかのクルマにはないたゆたうような乗り心地には、心を落ち着かせる効果があるように思う。もちろん、C5にも不満な点がないわけではない。特に全幅が1800mmを超えるなど大きすぎるボディは日本の道路交通環境に適しているとはいえず、私の車庫には切り返しなしでは駐車できない。また、大きなボディのわりには収納スペースが充分ではなく、日本車のような使い勝手のよさは望めない。重さも決して軽くはないので燃費も高速で10.0km/L程度にとどまる。でもC5の魅力はそんな不満をはるかに超える。ほかのクルマにはない新しい価値を提示したのがC5だ。