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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

ひしめくライバルを蹴散らす! 日産ムラーノVS欧米列強SUV

新型ムラーノは北米や欧州、ロシアやアフリカなど170カ国以上での販売をもくろむ戦略モデル。当然列強のSUVとの激しい販売競争が予想されるが、日本でははたしてどうか?

新型ムラーノは北米や欧州、ロシアやアフリカなど170カ国以上での販売をもくろむ戦略モデル。当然列強のSUVとの激しい販売競争が予想されるが、日本でははたしてどうか?

【本記事は2008年11月にベストカーに掲載された記事となります。】日産ムラーノのユニークなCMをご覧になっただろうか。「現代の名工」である日産デザイン本部の木村誠さんが一生懸命ムラーノのクレイモデルを削り出しているシーンが挟み込まれているもので、ムラーノが何よりデザインを重視して開発されたことが伝わってくる。プレミアムという言葉が日本では氾濫し、SUV自体がプレミアムモデルだと錯覚されている節もあるが、ムラーノのライバルとして挙げた輸入車たち、ランドローバー・レンジローバ、ポルシェ・カイエン、BMW・X5、VW・トゥアレグ、アウディ・Q7、ボルボ・XC70といったモデルをみるとさすが本場のプレミアムの敷居は高いわ、と思ってしまう。しかし、ムラーノはこれらのモデルと一緒にふるいにかけられ、残っていかねばならないのだ。もちろん新型ムラーノは新しくD-プラットフォームを採用し一新。内外装をしっかりと磨きあげてきた。特にデザインに前後フェンダー回りの逞しい造形が躍動感を与え、大きなボディながらもシャープさを失っていない。

2.5LはCVTが組み合わされ11.4km/Lを実現。4WDであることを考えればいい数字だ

2.5LはCVTが組み合わされ11.4km/Lを実現。4WDであることを考えればいい数字だ

旧モデルでもその存在感は国産SUVのなかでも一目置かれるものだったが、ボディがひと回り大きくなって押し出しでは欧米列強モデルたちにも負けていない。(45ページ諸元表を参照)全長4825mmはトゥアレグやレンジローバースポーツ、カイエンよりも大きく、おかげで後席の居住空間はライバルたちに負けない広々としたものになった。特にニールームはこのなかでもトップクラスだ。ベージュとブラックのインテリアはいずれも上品で(XVグレードは本革シートが標準となる)ドアトリムやシフトノブ、センタークラスターなど本アルミが使われている箇所のデザインがいい。輸入車とよく比較されるドアを閉めた時の音も硬質だ。さらにアームレストの位置がセンターアームレスト、ドアアームレストとも同じ高さにあり、後席のリクライニング機構によってゆったりとくつろげる。またホイールハウスの85%を吸音層でカバーし、エンジンマウント数を4点から6点にするなど振動、騒音対策もしっかりととられている。信号待ちのアイドリング時や40km/hほどの市街地走行、100km/hでの高速巡航などいずれの状況でも高い静粛性が感じとれる。エンジンは2.5Lと3.5Lの2つで旧型と変わらないが、3.5Lは231psから260ps、2.5Lも163psから170psとパワーアップするいっぽう、燃費も3.5Lが8.9km/Lから9.3km/L、2.5Lが10.6km/Lから11.4km/Lへと大幅にアップ。特に2.5Lは、旧型が2WDの数字だけに新しく採用したエクストロニックCVTの効果が如実に表われている。レギュラーガソリン仕様というのもこのご時世にはありがたい。電動復帰タイプのリモコン可倒式リアシートやスタイリッシュガラスルーフ、BOSEのサウンドシステム、前席7インチ、後席9インチのツインモニターなど装備のほうも目をみはる。新型ムラーノはしっかりと底上げを図ってきたのは確か。それではプレミアムSUVとしてライバルに追いつき、追い越すことができたのか? 項目ごとにみていこう。

スタイリング 堂々フォルムで車格アップ

匠の技量で世界のスタンダードにのし上がるか? 今度のムラーノはさらにスタイリッシュになって登場!!

匠の技量で世界のスタンダードにのし上がるか? 今度のムラーノはさらにスタイリッシュになって登場!!

今年1月に北米で発表された時のムラーノの印象は異形だな、というもの。旧モデルも好みの分かれるスタイリングだったが新型はさらに個性が強くなったなと思った。しかし、実際に実物を見て、手に触れてみて印象は変わってきた。強面のカオに慣れてきたこともあるが戸惑いはなくなり、むしろ好感をもってきた。特にフロントバンパーからボディサイドへのラインやシャープなスリークォーターのデザインがもたらす効果だろう、横から見た時にもペタッとせず躍動感を感じるのがいい。235/65R18のタイヤをすっきりおさめたフェンダーのアーチもなかなか美しい。トゥアレグ、X5、Q7などが走るドイツの町並みでも色あせて見えることはないと思う。特にリアスタイルは目立った造形のないライバルたちを凌いでいるといってもいいのではないかと思う。(編集部)

インテリア 肌でわかる高い質感

ドアの閉めた音やパッド類の肌触り、本アルミを使った加飾など質感は大きくアップした

ドアの閉めた音やパッド類の肌触り、本アルミを使った加飾など質感は大きくアップした

先代型の外観は、宇宙船を想わせる斬新なデザイン。車内も広かったが、内装の質感はイマイチでミドルサイズ並みだった。それが現行型では大幅に向上。特にインパネの中央部分は立体感が強く、メタル調パネルの使い方も巧みだ。上質な内装といえばレンジローバー。スポーツは軽快なデザインだが、作り込みもていねいだ。それでもムラーノの価格は半額以下。「価格対質感」ではかなり頑張った。ムラーノの注意点を挙げるなら、ウィンドウの下端が高めでボンネットが見にくいこと。車内の開放感と取りまわし性はレンジローバーが勝る。大柄なわりに運転しやすい。BMW・X5の内装にも目を向けたい。インパネはセダンと同様のデザイン。「内装はこれがベスト」と決めたら、ボディタイプにかかわらず主張を貫く。質感も満足できるが、それ以上に「筋を通すクルマ作り」に好感がもてる。「価格対質感」で勝負するムラーノとは志向性が違う。そのぶんムラーノは不利だが、上質感は味わえる。(渡辺陽一郎)

走りのパフォーマンス V6相手なら互角の性能だ

V6相手なら互角の性能だ パワーよりも静粛性が目を見張る

V6相手なら互角の性能だ パワーよりも静粛性が目を見張る

新型ムラーノは、先代型に比べてボディ剛性が高まり走行安定性が向上。乗り心地の重厚感も増した。先代ムラーノの乗り味は内装と同じくミドルサイズ的だったが、新型は名実ともにLサイズへ成長した。そして走りのSUVといえばポルシェカイエン。標準タイプの3.6Lでも動力性能はトゥアレグと同等で充分。タイヤも17インチタイヤで乗り心地も悪くない。カイエンは重厚でツーリング志向、ムラーノは軽快で運転がしやすい。価格も6MTなら650万円とポルシ気量が小さいためパワフルとはいえないが直6が生むスポーティさを味わえる。意外に競合するのがボルボXC70。ワゴンスタイルになるぶんだけ輸入車でも気分がラク。V70よりはハンドリングが鈍めだが、低重心で反応の仕方は自然で走破力も実用上は充分。(渡辺陽一郎)

快適装備 日本人好みの親切装備の数々

今年1月に北米で発表された時のムラーノの印象は異形だな、というもの。旧モデルも好みの分かれるスタイリングだったが新型はさらに個性が強くなったなと思った。しかし、実際に実物を見て、手に触れてみて印象は変わってきた。強面のカオに慣れてきたこともあるが戸惑いはなくなり、むしろ好感をもってきた。特にフロントバンパーからボディサイドへのラインやシャープなスリークォーターのデザインがもたらす効果だろう、横から見た時にもペタッとせず躍動感を感じるのがいい。235/65R18のタイヤをすっきりおさめたフェンダーのアーチもなかなか美しい。 トゥアレグ、X5、Q7などが走るドイツの町並みでも色あせて見えることはないと思う。特にリアスタイルは目立った造形のないライバルたちを凌いでいるといってもいいのではないかと思う。(編集部) 個性的なモデルがそろうSUVのなかでもムラーノはしっかり自己主張をしている

今年1月に北米で発表された時のムラーノの印象は異形だな、というもの。旧モデルも好みの分かれるスタイリングだったが新型はさらに個性が強くなったなと思った。しかし、実際に実物を見て、手に触れてみて印象は変わってきた。強面のカオに慣れてきたこともあるが戸惑いはなくなり、むしろ好感をもってきた。特にフロントバンパーからボディサイドへのラインやシャープなスリークォーターのデザインがもたらす効果だろう、横から見た時にもペタッとせず躍動感を感じるのがいい。235/65R18のタイヤをすっきりおさめたフェンダーのアーチもなかなか美しい。 トゥアレグ、X5、Q7などが走るドイツの町並みでも色あせて見えることはないと思う。特にリアスタイルは目立った造形のないライバルたちを凌いでいるといってもいいのではないかと思う。(編集部) 個性的なモデルがそろうSUVのなかでもムラーノはしっかり自己主張をしている

ムラーノはベーシックな250/350XL FOURでも装備が充実する。横滑り防止装置・VDC、サイド&カーテンエアバッグ、サイド&バックモニターなどを標準装着。オプションで付けるべきはカーナビ程度だ。上級の250/350XV FOURなら、電動調節の本革シート、ガラスルーフなども備わる。これをVWトゥアレグと比べたらどうか。605万円のトゥアレグV6の装備内容は、ムラーノ350XL-FOURと同等。200万円近く安いムラーノの買い得感が際立つが、トゥアレグには付くヒルスタート&ヒルディセントアシストなどが省かれている。トゥアレグはパリ・ダカで鍛えた走破力や重厚な乗り心地などクルマの質まで含めれば決して高くない。その点、トゥアレグとベースを共通化したアウディQ7の3.6は、725万円と高めの設定。SUVになってもアウディはブランド力で勝負する。(渡辺陽一郎)

買い得感 価値ある315万円

輸入車のSUVと比べるとムラーノの買い得感は際立っている。むしろムラーノのなかでの買い得モデルをさぐりたい。新型ムラーノの場合、2.5Lと3.5Lは装備もタイヤも同じ設定。3.5LのCVTに6速マニュアルモードが付く程度の違いだ。そして双方の価格差は47万2500円。どちらが割安だろうか。参考になるのはトヨタ車のラインアップ。直4、2.4Lと、V6、3.5Lの設定が多い。装備の違いを補正してエンジン価格差を割り出すと、ハリアーが約46万円、ヴァンガードとエスティマが約36万円、アルファード&ヴェルファイアが26万円になる。ムラーノの差はハリアーに近く、他車に比べて大きい。言い換えれば2.5Lが買い得で、3.5Lは利幅を大きく見込んでいて割高だ。価格差はユーザーの意識が車種によって異なるから生まれる。ミニバンは家計を担う奥様が選択権を握るケースが多いが、ムラーノやハリアーは男性ユーザーが中心。「そりゃ買うならV6に決まりだろ」となり、価格が高くても売れる。要はユーザーの足元を見て価格を決めているわけで、ムラーノも2.5Lがおすすめだ。(渡辺陽一郎)

12月ハリアーがレクサスRXとなってデビュー

主要諸元

主要諸元

ムラーノの最大のライバルといえばハリアー。そのハリアーの後継モデルがレクサスブランドからRXの名称で12月に誕生する。ひと回り大きくなりボディサイズはムラーノとほぼ同じ。エンジンは3.5L NA(280ps)と3.5Lハイブリッド(システム出力350psほど)でレクサスにふさわしい質の高い走りをみせるはず。価格は450万~650万円ほどか。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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