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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

スズキ新型ワゴンR最速試乗! 御大三本和彦が日本一のデキを斬る!!

ムーヴのほうが若干スタイリッシュだが、そのぶんワゴンRは使い勝手を重視している。全高が高く、乗り降りもしやすい。どちらを選ぶかは好みの問題

ムーヴのほうが若干スタイリッシュだが、そのぶんワゴンRは使い勝手を重視している。全高が高く、乗り降りもしやすい。どちらを選ぶかは好みの問題

【本記事は2008年11月にベストカーに掲載された記事となります。】車名別の年間販売台数で5年連続トップ。特に昨年~今年はモデル末期にもかかわらず王者を守り抜いたワゴンRがついに4代目へとモデルチェンジした。今回その新型ワゴンRを街中でチェックするのは、自動車ジャーナリズムに従事して半世紀、クルマ界の「御大」である三本和彦氏だ!皆さんこんにちは、三本和彦です。今回はデビュー直後の新型ワゴンRに街中で乗せていただけるということで、やってまいりました。いろいろと厳しいことを語るかもしれませんが、このクルマは日本で一番売れていると聞いております。つまりそれだけ多くのユーザーが手にするということで、責任も大きいのではないかとも考えております。それなら多少厳しすぎるくらいがちょうどいいのではないかな、とも思っていますので、どうかご容赦ください。

スタイルとパッケージング

ムーヴのほうが若干スタイリッシュだが、そのぶんワゴンRは使い勝手を重視している。全高が高く、乗り降りもしやすい。どちらを選ぶかは好みの問題

ムーヴのほうが若干スタイリッシュだが、そのぶんワゴンRは使い勝手を重視している。全高が高く、乗り降りもしやすい。どちらを選ぶかは好みの問題

まず見かけですが、基本フォルムは先代とそれほど変わらないものの、フロントマスクの顔つきや窓の作り方、サイドパネルの造形などはずいぶん変わりましたね。おそらくデザイナーは大変だったんじゃないかと思いますよ。これだけ売れたクルマですから、機能面では進化させたいけれども、コンセプトは変えるわけにはいかない。しかしそれでも新型を欲しいというお客さんには「お、新しくなったね」とわかるようにしなくてはいけませんからね。その苦労が実って、ワゴンRとしての「新味」はあります。けれど軽自動車としては「当たり前」になっちゃったね。これはダイハツだとかホンダだとか三菱だとか、よそのメーカーが「こりゃあ売れる」っていうんで似たような軽自動車をたくさん出したからなんですが、ともかくも、初代ワゴンRが持っていたような「軽自動車としての新味」はない。これは残念だったねえ。ワゴンRの新型というのであれば、ほかのクルマにはない「何か」がほしかった。たとえばそれは画期的スライドルーフでもいいんだけどね。そういう「何か」はなかったね。室内の広さは驚いたね。特に後席のスペースには脱帽です。僕は日本人の平均身長(男性)とほぼ同じくらいなんだけど、前席をマトモに運転できるくらいの位置に合わせても、後席にはレッグスペースで握りこぶし2つぶん、天井は握りこぶしが3つ必要なくらいの余裕があった。これはちょっと気の利いたコンパクトカーくらいの広さですよ。これくらい広ければ家族は納得して乗ってくれるでしょう。チャイルドシートと一緒になって後ろに乗ったお母さんも納得してくれます。今回比較用に持ってきてもらったムーヴよりも格段に広いですね。座り心地もいい。後席を重視してクルマを選ぶ、という家族は最近増えてきているようですが、そうした人にはこれはいいクルマですね。

走り&エンジン

基本フォルムは同じだが、フロントマスクの顔つきやサイドパネルにはかなりの変更があったワゴンR。リアスタイルは変更部分が見分けにくいが、旧型と比較するとバックドアの開口部が大きく、ドアの最低地上高が低いところがポイント。走りはNAの4ATでも必要充分

基本フォルムは同じだが、フロントマスクの顔つきやサイドパネルにはかなりの変更があったワゴンR。リアスタイルは変更部分が見分けにくいが、旧型と比較するとバックドアの開口部が大きく、ドアの最低地上高が低いところがポイント。走りはNAの4ATでも必要充分

続いてちょっと走らせてみましょう。今回は高速道路なしの一般道で試乗です。天候は雨で都心部渋滞込みでした。新型ワゴンRはNA(54ps/6.4kgm)とターボ(64ps/9.7kgm)、NAには4ATとCVT、さらにグレードによっては5MTが組み合わされ、ターボにはCVTのみが組み合わされるようです。今回は売れ筋となるであろうNAの4ATという組み合わせのモデルで試乗しました。これはよくいえば必要充分、悪く言えば可もなく不可もなく、といったところでしょう。加速も減速も悪くない。日本という国ではサーキットでもないかぎり100km/h以上では走れないことになっておりますが、つまり緊急避難時を含めてこれに+20km/hまでをすばやくスムーズに加減速できることが、クルマには求められわけですね。ワゴンRはそれを充分満たしています。けれどまあそれも「必要条件を満たしている」というレベル。特に乗っていて楽しいだとか運転したくなる、というたぐいのクルマではありません。ここらへんもひと工夫ほしかったところではあります。たとえばこのご時世であれば、「このシフトポジションに合わせておけば、徹底的に燃費走行しかできないよう制御される」というような装置があってもいい。もちろんワゴンRというクルマは前述のように、日本で一番売れているクルマです。巨大な代替需要が見込めるわけですから、その4代目となるとなかなか新しいことがやりにくいでしょう。私が経営者だったら「これはとりあえず無難に作って、冒険的な新しい試みは別のクルマでやろう」と言うかもしれません。けれどねえ。どうにも作り手から愛が感じられないんだな。無難に無難にこなそう、という感じしかしない。それがとても残念です。

使い勝手

すでに店頭に並んでいるワゴンR。CVTは若干生産が後れており、納車は10月下旬くらいになりそう……とのこと(写真はスティングレー)

すでに店頭に並んでいるワゴンR。CVTは若干生産が後れており、納車は10月下旬くらいになりそう……とのこと(写真はスティングレー)

まずバックドアを開けてみると、フロアの地上高が低くて僕みたいなジジイには荷物の積み降ろしが大変楽です。これはうれしいですね。ムーヴはこの点、よっこいしょと持ち上げなくてはいけないのが厳しい。小さいお子さんを持つ母親はベビーカーを後ろに積むことが多いでしょうが、それを考えるとワゴンRのほうが優しいね。ワゴンRは跳ね上げ式、ムーヴは横開きです。これはそれぞれ利点と欠点があって、雨が降っている時などは跳ね上げ式のほうが便利です。駐車スペースがない場所でドアを開ける機会が多い人は横開きのほうが便利でしょうね。少ししか開けなくても荷物の出し入れができますから。一点気になったのは、ワゴンRのバックドア、閉める時のためにドアに「持ち手」が付いているんですが、これが右側にしかない。なんで左側にも付けないんでしょうね。左利きの人は困っちゃうでしょう。こんなものサプライヤーに作らせたら1円もかかりません。組み付け工賃も変わらない。なのに付けないんですよねえ……。こういうところに「愛がないねえ」と思ってしまうんですね。それからもうひとつ。このワゴンRにも小さなはめ殺しの三角窓が付いています。これがあるとないとでは、巻き込み確認の時にずいぶん勝手が違うそうです。それはいいんですが、これ、開くようになりませんか。ここ最近は減ってきたようですが、いつまでたってもタバコを吸う人間はいますよ。そうした人が「換気をしよう」と思った時に、この三角窓が開くと大変具合がいい。こういったことは「標準装備にせよ」と言うつもりはありません。ただこのクルマは1カ月で1万台も2万台も売れるわけでしょう。だったらスズキは「工房」のようなものを作ってもらいたい。「ここのステップを少し直してほしい」というような要望を聞いてくれるところですね。自動車っていうのは自分の好きなようにカスタマイズできるものだ、という文化を作ってほしいです。現状では、ディーラーばっかりがたくさんある。売るところと直すところはあっても自分の好みに合わせてくれるところっていうのは驚くほど少ない。いま日本では1台のクルマの耐用年数がどんどん延びています。メーカーとしては嫌だろうけども、時代の流れとしてそれはもうどうしようもない。だったら「どう快適に、長く使ってもらうか」を考えましょう。

まとめ/ワゴンRに日本一といえるだけの実力はあるか?

主要諸元

主要諸元

さてではこのクルマが「日本一売れるクルマにふさわしいか?」ということですが、まあ全体的によくまとまっていますから、それくらい売れてもいいんじゃないでしょうか。可もなく不可もなく、というのが売れるというのも、ある意味日本人らしいですね。ただ重ねていいますが、工夫する余地はまだまだたくさんあります。それはマイナーチェンジなどで対応していってほしいですね。新型WAGONR お買い得グレードはこれだ!TEXT/渡辺陽一郎まずは新旧比較だが、3万円程度の価格上昇になる。ホイールベースの拡大を伴うプラットフォームの手直しを含めても、2.5万円程度の値上げだ。原材料費の高騰が影響した。買い得グレードはFXリミテッド。FXに対してキーレスプッシュスタート、エアロパーツ、フロントスタビライザーなどを加え、13インチのスチールホイールが14インチのアルミに変わる。これらの価格換算は少なく見ても約17万円だが、FXに対する価格アップは7万8750円。これは安い。ちなみに軽自動車は値引きが小額で、グレードが違っても値引き額に差がつきにくい。買い得グレードの割安感が支払い総額の違いに直結する。数年後の下取査定でも、エアロパーツを付けたFXリミテッドが有利だ。ターボはどうか。現行型では先代型の低圧ターボをベースに、高回転域の伸びを改善して最高出力を64馬力に高めた。ターボモデルで買い得なのがFTリミテッド。FXリミテッドに対して16.8万円の価格アップだが、装備も上級化して、その価格換算額は約9万円。つまり約8万円でターボが付く。生活圏内に登坂路が多いユーザーは、FTリミテッドも検討したい。スティングレーはどうか。標準シリーズのFTリミテッドに相当するTでは、ディスチャージヘッドランプ、オートライト、エアコンのオート機能などが加わる。これらの装備の価格換算額を差し引くと、外装をスティングレーに変更したことに基づく価格上昇は7000円程度。以上のように、ハイト系軽自動車の主力価格帯に収まる最強の買い得グレードはFXリミテッド。しかしパワーを求めるならFTリミテッドを選ぶ手もあるし、装備を充実させるならスティングレーも割高ではない。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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