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更新日:2018.12.02 / 掲載日:2017.12.04

検証! アルファード2.4Lエンジンの動力性能・走行性能

優れた乗り心地とトレードオフとなったのか、やはりロールは大きく感じる。このへんは好き好きかもしれないが

優れた乗り心地とトレードオフとなったのか、やはりロールは大きく感じる。このへんは好き好きかもしれないが

【本記事は2008年7月にベストカーに掲載された記事となります。】開発時には社内呼称で「皇帝」と呼ばれていたアルファード。しかし皇帝を名乗るならば、性能も万全でしかるべきだ。そこで気になるのが走行性能。用意される2つのエンジンのうち、3.5Lエンジン搭載モデル(338万円~)なら、まあ問題なかろうが、気になるのは実際の売れ筋、2.4Lエンジン搭載モデルのほうだ。圧縮比アップやフリクションの低減などで、従来のエンジンより11psアップの170psを達成しているとはいえ、なんせ2t弱。どうにも疑問が残るところだ。そこで気になるその動力性能を検証すべく、加速性能やハンドリング、制動性能などをテストしてみた。比較したのは、コンパクト人気No.1のフィット。果たしてどうなるか?

関連記事:【トヨタ】アルファードのスペック・仕様(排気量・ガソリン種類・タイヤサイズ)

アルファード2.4Lエンジン TEST1 発進加速(0~60km/h)

計測は両車とも5回行ない、最速タイムと最遅タイムを除外。残った3回ぶんを平均することで数値を出した。比較のために用意したのはフィットの1.3Lモデルの“L”グレード。最高出力=100ps、最大トルク=13.0kgmは、アルファード2.4Lの170ps、22.8kgmに遠く及ばないが、車重はアルファード1900kgに対し、わずか1030kg。パワーウェイトレシオ、トルクウェイトレシオともフィット有利で、楽勝でアルファードに勝つだろうと推測したのだが、結果は逆。フィットの最速タイムをもってしても、アルファードの最遅タイムにおよばないという結果が出た。アルファードは左足ブレーキを使ってタイヤをロック、右足で踏み込んでロケットスタートを狙っても、エンジン回転が3000回転より上には上がらず、出足は至極平和的なのだが、そこからの加速はなかなか。典型的な気づけばスピードが出ている、というタイプだ。フィットの加速感はアルファード以上にあり、ドライバーは気持ちがいいのだが、タイムには結びつかなかった。むろん1.5Lモデルならば結果はわからないが、少なくとも1.3L車相手なら、いかに重量級モデルといえどアルファードが出足で遅れをとることはないだろう。まずは皇帝の面目躍如といったところだ。ただ加速時の室内騒音はあまリフィットと大差なく、ここいらへんに4気筒エンジンの限界を感じさせられる。ちなみに参考としてクラウンシリーズのクラウンHVも計測してみたが、こちらは平均3.8秒と段違いの速さであった。両車を運転した直後だと一瞬アクセルを緩めたくなるほど。システム出力=345psはダテではなかったようだ。

アルファード2.4Lエンジン TEST2 中間加速(40~80km/h 60~100km/h)

伸びやかに加速していくアルファード。ただエンジン音はやや耳につく

伸びやかに加速していくアルファード。ただエンジン音はやや耳につく

お次は追い越しを想定した中間加速を計測してみた。周りを威圧するような皇帝は迷惑以外の何ものでもないが、時には皇帝も時間に追われることがあるだろう。そんな時、重要となるのが、この中間加速だ。計測速度域は40~80km/hと60~100km/hの2種。計測方法は先ほどと同じ、5本走って最速と最遅を除いた3本の平均を出す方法で行なったが、中間加速に関してはドライバー以外に、計測係とカメラマンのふたりを乗せて行なった。3人合わせて、約210kgのウェイトとなる。で、結果からいってしまえばこの中間加速もアルファードが余裕の勝利。アルファードは0~60km/h加速も、40~80km/h加速も、60km/h~100km/h加速もだいたい6秒台の中頃と、同じようなタイムを連発した。つまり少なくとも100km/hまでは加速に頭打ち感がなくスムーズに伸びていくといえるだろう。これはなかなか気持ちがいい。加速感も上質といっていいものだった。面白いのがフィットの結果。40~80km/h加速ではアルファードに遅れること0.7秒でついていくのだが、60~100km/hになると、とたんに2秒以上の差をつけられてしまう。小排気量車の宿命といえなくもないが、40~80km/hでは大排気量のアルファードについていけることを考えると、このクルマのキャラクターづけとして高速域よりも、中速域を得意とするクルマだということがわかる。あたり前のことなのだが、こうも数字でハッキリ現われるというのは興味深かった。1.3Lのフィットオーナーの方は、アルファードにケンカを売るなら、高速ではなく街中で勝負するようにしよう。タイムでは圧倒的勝利に終わったアルファードだが、やはり加速時の室内騒音は、気になる。フィットよりうるさいということはないが、ちょっと静かとはいいがたい。むしろ巡航時が静かであるために、逆に加速時のノイズが目立ってしまう。この点が少々惜しい。ちなみにこの勝負でもクラウンHVを参考計測してみたが、いずれの速度域でも3秒台半ばという結果。やはりこのクルマ、とんでもなく速い。静粛性もアルファードを上回るが、それでも室内にモーターやエンジン音は入ってくる。だが、その音がけっこう気持ちいいので、「案外スポーティじゃん!」となるぶん、得をしている印象。

アルファード2.4Lエンジン TEST3 制動性能(60km/h→0km/h)

加速をしたらお次は減速。クルマは加速性能だけではダメなのだ。というわけで今度は、60km/hからフルブレーキングをかけ、完全に停止するまでの距離を計測した。同様に5回計測したこのテストで勝利したのは、やはり車重の軽いフィット。アルファードより平均約1m手前で制止できることが判明した。ブレーキング時の姿勢も、アルファードが激しいノーズダイブを見せるのに対し、フィットはあまり姿勢変化を起こさないため、心理的にも安心感がある。ただしフィットはフルブレーキング時にちょっとタイヤが鳴く。アルファードはどんなに激しくブレーキペダルを踏みつけてもタイヤ鳴きを発生させず、上品な感じで止まってくれる。また敗れたとはいえ、車重で900kg近く重いにもかかわらず、フィットより1m余分に走っただけで止まれるというのは、むしろ健闘しているといえるのかもしれない。柔らかいサスによる激しいノーズダイブにはどうしても心理的不安をかき立てられるが、それ以外はまあ満足できる性能といえるだろう。

アルファード2.4Lエンジン TEST4 ハンドリング性能

1.3Lモデルとはいえ、ハイペースな走りにも対応してくれる

1.3Lモデルとはいえ、ハイペースな走りにも対応してくれる

今までのテストはすべて直線を利用して行なったものだが、狭い日本では直線のほうが珍しい。となればコーナリング性能も重要となるのはいうまでもない。というわけで検証した。この検証は具体的な数値がでるわけでなく、ドライバーが感じたフィーリングがすべて。そうなると当たり前だが勝つのはフィット。アルファードに比べ低い着座位置、そして過度にロールしないサスペンション。フィットはなかなかコーナリングが楽しめる。さすがは走りのホンダのコンパクトだ。いっぽうのアルファードだが、やはり1BOX型ミニバン特有の高い着座位置に不安を感じる。またブレーキのところでも触れたように、柔らかいサスペンションは乗り心地こそいいが、コーナリングとなると、かなりのロールを発生させる。むろん、横転などという事態にはいたるわけないが、ロールのあとにボディが“ドッコイショ”と戻る感じなど、やはりコーナリングが得意という感じは、正直しない。フィットがドライバーに「もっとイケるよ」と囁くクルマであるとすれば、アルファードは「このへんで止めたほうがいいですよ」と教えてくれるクルマだ。アルファードが得意とするのは高速クルージング。目を三角にしてコーナーを攻めるクルマではない。

総論 アルファード2.4Lの動力性能は主要ミニバンのなかでどれほどか?

これはイメージとして撮影したものだが、はからずも結果はこの写真と同じに。加速感はフィットが上だったが……

これはイメージとして撮影したものだが、はからずも結果はこの写真と同じに。加速感はフィットが上だったが……

TEXT/渡辺陽一郎先代アルファードの2.4Lは、動力性能が低いといわれた。それは多分に4速ATの影響が大きかった。高速道路の登坂路では元気がなくなり、アクセルを踏み込むとキックダウンしてエンジン回転が一気に高まる。効率の悪さと変速の仕方が相まって「走らない」印象を強めた。その点、現行型のミッションはCVT。走行状態やアクセル開度に応じて無段階に最適なギア比へ変速され、エンジンパワーを有効活用できる。急激にエンジン回転が高まることもない。実際の効率と乗員が抱く感覚の両面で、パワー不足をカバーできる。現行アルファードではエンジン性能も高まったが、CVTの貢献度が大きい。ライバル車と動力性能を比べるとどうか。エリシオンはアルファードと同じ、直4の2.4Lを搭載。ATは5速だ。ボディは少し軽いが、最高出力と最大トルクが下まわり、後者の発生回転数は500回転高まる。アルファードに余裕を感じる。エルグランドはV6の2.5Lで出力、トルクともアルファードを上まわり、最大トルクの発生回転数は800回転低い。ミッションもCVTではないが5速を採用。性能面では有利だ。ただし車両重量が100~150kgほど上まわり、実力は伯仲する。それでも粗削りな回転感覚ながらV6だから、直4のアルファードより感覚的に加速が優れている印象。2LのBOX型ミニバンとも比べたい。まず、ステップワゴンは不利。排気量/最大トルク/車両重量は、いずれもアルファードの80%少々で比率は合致するが、ATが4速になる。加えてエンジンも回転志向。排気量に対してボディの重いBOX型ミニバンに適さないパワーユニットだ。ヴォクシーセレナは、アルファードと互角。両車とも実用トルク重視のエンジンで、ミッションもCVT。トルクと車両重量の比率もおおむね合致する。細かく見ればセレナは最大トルクが20.0kgmを超えるが、シートに長いスライドレールを用いたため、車両重量が1600kgを上まわる。したがって動力性能はヴォクシーと同等。両車ともアルファードに近い。いっぽう同じ2.4Lのワゴン型ミニバンと比べたらどうか。ここではアルファードが不利。オデッセイのエンジンはエリシオンと同タイプで性能自体はアルファードを少し下まわるが、車両重量が約300kg軽い。ミッションも主力はCVTで、パワーを有効活用できる。ほかの車種も、おおむね同様の結果だ。ミニバンはボディが重い。特にBOX型はさらに重量が増し、パワーを有効活用できるCVTが有利だ。4速ATはつらく、CVTと5速ATの採用車種が増えている。

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グーネットマガジン編集部

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