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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

幸せになれるクルマ 3種の神器 NEWアテンザファミリーの真価

清水草一vs片岡英明 二人の評論家がNEWアテンザを評価した

SEDAN

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【本記事は2008年3月にベストカーに掲載された記事となります。】清水草一のひとりデザイン水かけ論 そしてアテンザの本質に迫る清水「前澤さん、最近はどうですか、餓死ですか凍死ですか?」前澤「……(無音)」 あ、今日は前澤さんはいないんだった。ということで、前澤さんを“小日向の飢え死にハウス”に残して、常夏の沖縄に飛んだ不肖清水草一、ニューアテンザを題材に、ひとり水かけ論をやらせていただきます。 スポーツワゴン、スポーツ、そしてセダン、3つのボディを持つニューアテンザ。どれものびやかでおおらかで流麗な、共通のイメージを発信している。清水「うおお、完全に日本人離れしたプロポーションだ!」清水「うむ。日本市場を捨てたデザインとも言えるが……」 ニューアテンザの主戦場はヨーロッパ。今回は北米向けは別ボディになるので、なおさらだ。よって、デザインをはじめとして、すべてがヨーロッパをターゲットに開発されている。 第一印象としては、非常に平べったく、スポーティに見える。ボディのタテヨコ比は先代と大差なく、全高はしっかり1450mmもあるんだけど、ずっとワイドに見えるから、イメージはぐっとスポーティ&ゴージャス。これは、15mm増えた全幅の効果より、鋭いヘッドライトや大胆でシャープなグリルによる、視覚イメージのマジックが大きいだろう。清水「でも、正直、この顔には個性がない。無国籍すぎるなー」(編)「なに? いい顔じゃないか。俺は好きだぞ」 げえっ、前澤さんの代わりに鬼の編集長が! 急いでこの場から離脱!!(中略) ふっ、なんとか巻いたぜ。よし、ひとり水かけ論を再開しよう。

センスがいいし、華やかな印象

空力がとびきり優れた(CD02.7)NEWアテンザを象徴する写真はやっぱりこれでしょう。高速道路でハイスピード走行をしていると、とても静かで、空力のよさを実感することができる。燃費も上々でありました〈写真はセダンの20E〉

空力がとびきり優れた(CD02.7)NEWアテンザを象徴する写真はやっぱりこれでしょう。高速道路でハイスピード走行をしていると、とても静かで、空力のよさを実感することができる。燃費も上々でありました〈写真はセダンの20E〉

清水「それにしてもスポーツワゴンのサイドビューは、アルファ159ワゴンあたりをほうふつとさせる、まさに上質で端正なヨーロピアンデザインですね」清水「……いや、アウディA6アバントだろう」清水「で、前に回ると無国籍でシャープな顔つき。よく言えば国際車、悪く言えば正体不明。決して悪くはないんですけど」清水「……テールがホワイトランプだな」清水「ワゴンとスポーツはね。ちょっと軽薄な印象じゃないですか? その分、セダンの赤いランプがヤケに上品に見える」清水「……そうでもない」 スポーツワゴンのウリは、ラゲッジの左右幅だ。ヨーロッパのC/Dセグメントのライバルたちは、最近やたらとサスペンションに凝って、そのぶん左右幅が狭いモデルが多い。BMW3シリーズのツーリングなんか、その好例。あんなんじゃワゴンの積載性が台無しじゃん! その点アテンザスポーツワゴンは、ゴルフバッグを横に積んで4つも入るんだから、これはあきらかにアドバンテージだ。 リアゲートを開けると、閉じたままのトノボードも一緒に持ち上がって、広大な開口部を確保してくれる。これも非常に便利でイイ。ただ、BMW3シリーズのツーリングは、これに加えてガラス部分のみの開閉も可能で、その際にもトノボードが連動して開閉するんだよね。残念ながらアテンザスポーツワゴンのリアガラスははめ殺し。それだけが心残りだ。「セダン」と「スポーツ」も、ラゲッジの広さは実にスバラシイ。特にスポーツは、ハッチゲートを開けた瞬間「これ、ワゴンより広いんじゃ?」と思うほど。ここまでの積載性を持ったライバルはいない。清水「インテリアはどうですか」清水「……なかなか上質にまとまってるな」清水「うん、センスがいいし、華やかな印象もある。しかもリアシートの足元の広さはすごい! ヨーロッパのライバルたちよりはるかに上ですよ」 同じC/Dセグメントなら、アテンザは欧州の対抗モデルよりはるかに値段が安い。それでこの広さ、そして互角のインテリア。実に健闘している。

ヨーロッパ車に匹敵する性能を手頃な価格で

伸びやかラインで構成されたスポーツワゴン。全長4765mmは余裕の居住性とカーゴスペースを生んでくれる

伸びやかラインで構成されたスポーツワゴン。全長4765mmは余裕の居住性とカーゴスペースを生んでくれる

清水「いよいよ走りの評価に移りますか」清水「……水かけ論ではやったことがないぞ」清水「(無視して)おお、この走りはまさにヨーロッパのトレンド! しなやかでありながら、適度にクィックでスポーティなハンドリングだ。目地段差を乗り越える時のショックはそれなりにあるけれど、ガッチリしたボディのおかげで一発で収束」清水「……ライバルに比べるとどうかな」清水「そうですね、BMWの3とプジョー407の中間マイナス2割って感じでしょうか。高速でのスタビリティは感動モノですよ。空力のよさ、特にリフトが抑えられた張り付く感覚は、メルセデス新型Cクラスに匹敵する。値段を考えたら絶賛するしかない」清水「……動力性能は?」清水「2Lはややトルクが細いかな。速度が乗ればいいんですが。2.5Lは、正直、以前の2.3Lは178馬力あったのが、今度のは2.5Lになりながら170馬力になってて、吹け上がりが鈍い。レギュラーガソリン仕様は嬉しいが、もうちょっとパンチが欲しい」清水「……そのへんは改良を望みたいな」 ということで、全般になかなか魅力的だったニューアテンザ。ライバルは国産ではなくヨーロッパ車だ。向こうじゃ実際、ガチンコなわけだし。 NEWアテンザの幸せポイントは、やっぱり、ヨーロッパ車に匹敵する性能をすごく安く買えることでしょう。

片岡英明のNEWアテンザ3バージョンの魅力はどこか!? そして国産ライバル車比較チェック

デザイナーは「クーペフォルムのセダンを目指しました」と語っていたが、真横から見るとまさにクーペ。それでも居住性に不満はなく、広い。全長で60mm、全幅で15mm、ホイールベースで50mm長くなったが、そんなに大きくなったという感はなく取り回しはいい

デザイナーは「クーペフォルムのセダンを目指しました」と語っていたが、真横から見るとまさにクーペ。それでも居住性に不満はなく、広い。全長で60mm、全幅で15mm、ホイールベースで50mm長くなったが、そんなに大きくなったという感はなく取り回しはいい

「ズームズーム」のキャッチフレーズからわかるように、マツダは操って愉しいクルマ、運転する喜びにみちたクルマを造ることを提唱し続けている。スポーツDNAは、スポーツカーだけでなくセダンにも注入された。その代表が国際戦略車としての使命を帯びて登場したアテンザだ。 日欧だけでなく、北米や中国でもセンセーションを巻き起こしたアテンザは、1月に満を持してモデルチェンジを断行した。環境に優しく、安全性も高い、そして見て乗りたくなり、ワクワクし続けられるクルマ、それが「サスティナブル・ズームズーム」のスローガンから生まれた第2世代のアテンザである。 ボディは3タイプあり、誰が見てもアテンザとわかる明快なデザインだ。ボディはちょっとだけ大きくなった。ホイールベースを50mm伸ばしたこともあり、キャビンは満足できる広さだ。クーペ的なフォルムを売り物にする5ドアの「スポーツ」でも後席は余裕があり、快適だった。 頭上も足元もなかなか広いが、フロントシートの下に足を入れると当たるのが惜しい。レガシィやアコードとは互角の広さだ。最新モデルとしてはもう少し頑張ってほしかった。また、乗降性も今一歩にとどまっている。トランクスペースは充分な広さを確保していた。ワゴンは、かさばる荷物も長尺物も積みやすい。 エンジンは2機種だ。2.3Lをスケールアップした2.5Lの新開発4気筒DOHCと改良を加えた2Lの4気筒DOHCがある。トランスミッションはFF車がアクティブマチックの5速ATと6速MT、4WDがアクティブマチック6速ATとした。 ドライバーズシートに座り、プッシュ式スターターボタンを押す。するとズームズームズームの軽快なメロディが流れてくる。レクサスでも同様の効果音が流れるが、アテンザのほうがスマートだ。インパネはスポーティなデザインで、質感も向上した。レガシィやアコード、スカイラインより新しさを感じさせる。ただし、先代よりメーターは小さく、文字盤の目盛りも細かいからビジーな印象だ。

軽快なパワーフィールなエンジン

新開発されたMZR2.5L。シーケンシャルバルブタイミングやバリアブルインダクションシステムなどにより中速トルクをアップ。レギュラーガソリンも嬉しい

新開発されたMZR2.5L。シーケンシャルバルブタイミングやバリアブルインダクションシステムなどにより中速トルクをアップ。レギュラーガソリンも嬉しい

 2.5Lエンジンはレギュラーガソリンを指定としているが、プレミアムガソリンを使っているかのような軽快なパワーフィールだ。しかも3000回転前後のトルクが豊かだから、間髪をいれず気持ちいい加速を引き出すことができる。その気になれば6500回転までストレスなく吹き上り、レスポンスも鋭い。 6速MT車のステアリングを握る機会も得られた。6速MTは今までよりシフトフィールがよくなり、軽快なテンポで変速することができる。シンクロが強力で、俊敏なシフト操作でも音を上げることがない。クラッチは軽い踏力だし、全域にわたってトルクは厚みがある。だから混んだ街中でも扱いやすい。 2Lエンジンも不満のない実力を見せつけた。さすがに絶対的な加速や速さでは2.5Lエンジンにはかなわない。が、速い流れをリードすることができる。気になったのは2.5Lエンジンよりノイズが耳につき、振動も大きいことだ。バランスシャフトが欲しいところだ。遮音対策も、もう1ランク引き上げたい。 2Lモデルはレガシィとアコードのほうが軽快な印象だ。常用域で気持ちよく感じる。また、振動やノイズなどを上手に封じ込むなど、質感が高い。新型アテンザは2.5Lモデルに軸足を置いて開発したようだ。2.5Lエンジンの洗練度が高いだけに、2Lエンジンはちょっとガサツに感じた。これが惜しい。

素性のよさを感じるハンドリング

スポーティなデザインのインパネ。質感もなかなかで、このあたりはマツダデザインのセンスの良さを表す

スポーティなデザインのインパネ。質感もなかなかで、このあたりはマツダデザインのセンスの良さを表す

 素性のよさを感じたのはハンドリングである。電動パワーステアリングは、微操舵時から正確に動き、曖昧なゾーンがない。舵を与えた時の軽快感も好ましく感じた。ステアリングを切り込んでいくと、ノーズが狙った方向に軽やかに向きを変える。 フットワークも軽快だ。速いスピードでコーナーに飛び込んでも、路面に吸いついたかのような安定した姿勢でコーナーを駆け抜けていった。初期ロールが上手に抑えられ、スポーティ感覚がわかりやすい。トラクション性能とスタビリティ能力も、この2代目は合格点だ。 操る楽しさと気持ちよさは、アコードやレガシィに勝るとも劣らない。スポーツセダンのベンチマークとされているスカイラインと比べても動きは自然だ。荒れた路面を駆け抜けてもサスペンションはしなやかに動き、乗り心地もかなりよくなっていた。 新型アテンザは、17インチの50タイヤを履く主力モデルのバランスのよさが光る。18インチの45タイヤは引き締まった印象が強いなど、乗り心地の点ではちょっと物足りなく感じた。また、取り回し性も今一歩にとどまっている。オプション設定されている16インチの60タイヤは乗り心地と操縦安定性の妥協点は高いが、スポーティ感覚は希薄だ。2.5Lの17インチタイヤ装着車がおすすめモデルだ。 アテンザの幸せポイントは2LのEと2.5LのEX(ワゴン、スポーツは25EX)に標準装備されたセンスいいカムホワイトの本革シート。幸せな気分になれるはずですよ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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