いいじゃないインスパイア！！ セダンをここまでやるか？　ハイテクセダン驚きの進化

【本記事は2008年1月にベストカーに掲載された記事となります。】約4年半ぶりにフルモデルチェンジした5代目インスパイア。思い起こせば4代目インスパイアはV型6気筒エンジンのうち、片側バンク3気筒を休止させ3LV6エンジンながら2.4Lエンジン並みの燃費を実現。新たな付加価値を与えた革新的なミドルセダンだった。　今回デビューした新型インスパイアはさらに2気筒の燃焼を休止させる4気筒燃焼モードを追加。6気筒、4気筒、3気筒に切り替えるVCM（バリアブルシリンダーマネージメント）を積んだ新型3.5LV6を搭載。「セダンをここまでやるか」と思わず唸ってしまったほど。

新型エンジンの前にセダンとしての基本的なパッケージングから説明していこう。ボディサイズは先代よりも全長が85mm長い4940mm、全幅が25mmワイドな1845mm、全高が20mm高い1475mmでホイールベースは60mm拡大された2800mm。意外にも現行クラウンロイヤルよりも全長は100mm長く、全幅が65mmワイド、全高が5mm高いのだ。レクサスISやマークXと比べても全長はISよりも365mm長く、マークXよりも210mmも長い。全幅も1800mm以下のクラウンやマークX、ISに対して、新型インスパイアは1845mmとかなりワイドであることがわかる。室内空間はフューエルタンクや排気システムの配置の工夫により、先代よりもフロアを15mm下げ低床化。ボディサイズ、ホイールベースが拡大されたぶん、広々としている。前席は助手席間距離（カップルディスタンス）が25mm拡大、特に後席のニースペースが35mm拡大され、横幅240mmのワイドなセンターアームレストのおかげで余裕の広さを感じる。インパネはすっきりとしたデザインでウッド調パネル、その上のパネルにはこれまでの革シボや本革とは異なり、金属感のあるヘアラインモチーフを採用し新鮮さと高級感を演出。このクラスのサルーンには必要なエクステリアの質感も高い。押し出しの弱かった先代に比べ、アグレッシブなフロントマスク、彫刻刀で彫ったかのようなボディサイドのキャラクターライン、クロームのモール類、張り出したフェンダーなど欧州サルーンに感じる質感の高さがこのインスパイアに感じられるのだ。旧型より格段にスタイリッシュになった！

インスパイアの最大のウリといえる気筒休止システムのVCM。エンジンは、先代の3LV6から3.5LV6に変更。30ps、4.7kgmアップした280ps／34.9kgmを発生、レギュラーガソリン車最大パワーとなった。VCMは、これまでの6気筒、3気筒の切り替えに加え、4気筒燃焼モードを追加。アイドリング時のほか、発進、加速時などのパワーが必要な時には6気筒すべてを作動、緩い減速時、クルーズ時など比較的低い速度で走行する時には片側3気筒状態で走行。4気筒状態はこれまで気筒休止にならなかった比較的高い速度域での緩やかな加速時に作動する。なお、気筒休止時には休止するシリンダーの燃料噴射を停止するほか、休止シリンダー内を密閉状態に保ち、よりいっそうの低燃費化を図っている。ちなみにこのVCMはドライバーのアクセル操作によるスロットル開度の情報を基本に車速やエンジン回転数、ATの状態から瞬時に燃焼気筒数の切り替えを行ない、ドライバーは違和感を感じないという。10・15モード燃費は9.8km／Lの低燃費を実現。ちなみにレクサスIS350の3.5LV6（318ps／38.7kgm）は10.0km／Lだから少し劣る程度だが、新型インスパイアはレギュラー仕様。排出ガスは平成17年排出ガス基準75％低減レベル、4つ★だ。

トランスミッションは、走行状態に応じて知能的なシフト制御を行なうシフトホールド制御付きの5速ATを採用。コーナリングでの不要なシフトアップを抑制し、鋭い立ち上がり加速をするとともにコンピュータ制御によるドライブバイワイヤの自然なアクセルフィールで滑らかに加速する。シャシーの進化も見逃せない。エンジンを10mm低くマウントして低重心したほか、ねじり剛性を約20％、フロント左右剛性で約36％、リア上下剛性で約33％向上、ボディの骨格主要部材の約48％に高張力鋼板を採用したため、ボディ全体にわたって、高剛性化と約26％の軽量化を実現。リアサスには新開発のマルチリンクを採用。ブレーキ時の姿勢変化の低減や旋回時のタイヤ接地性の向上などをはかり、優れた乗り心地と高い操縦安定性を両立。また高速走行では安心感のある操作性、コーナリングでは手応えのあるダイレクトなハンドリング、車庫入れなど低速走行時には軽い操作感の可変ステアリングギアレシオのVGRも装備。

気筒休止時にはエンジンからのこもり音を低減するアクティブノイズコントロールやエンジン振動を打ち消すアクテイブコントロールマウントなど上級車にふさわしい静粛性を実現するなど盤石の態勢！衝突を予測してドライバーに危険を知らせ、さらに追突速度を低減する追突軽減ブレーキ、CMBS（35iLに標準）やCMBSと連動してシートベルトを弱く数回引き込むE-プリテンショナー、車両挙動安定化制御システムのVSA（全車標準）、ホンダの衝突安全ボディ、Gコンなど先進の安全機能、ミリ波レーダーにより車速車間制御機能（アダプティブクルーズコントロール）など先進装備も満載。

HDDインターナビやインテリジェントフルオートエアコン、追突軽減ブレーキCMBS＋E-プリテンショナーなど豪華装備の35iLが390万円、35TLが330万円の2グレード展開。先代の283万円5000円からの3グレードから2グレードになったが、価格は9万～10万2000円のダウン。こんなにハイテク装備満載のセダンはいかがですか？担当は“今度こそ売れる”と踏んだんですが……。

Powered by ベストカー