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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

大ヒットモデルのフルモデルチェンジ! トヨタのノア/ヴォクシーは日本車の救世主となるか?

注目のバルブマチック その走りは?

ノアの箱船のごとく日本車販売の救世主となるか? こちらはノアのエアロバージョン、Si。シリーズ初の3ナンバー仕様となる

ノアの箱船のごとく日本車販売の救世主となるか? こちらはノアのエアロバージョン、Si。シリーズ初の3ナンバー仕様となる

【本記事は2007年8月にベストカーに掲載された記事となります。】ニッポンのミニバンの代表選手ともいえる存在感のノア/ヴォクシーがフルモデルチェンジで3代目となった。トヨタでは2代目といっているが、初代タウンエースノア時代からカウントすれば3代目。FFプラットフォームを使い、兄弟車ヴォクシーが加わってからは2代目、ということになる。新型ノア/ヴォクシーは超キープコンセプトといえるモデルチェンジで登場した。それはそうだ。先代の累計販売台数は80万台を超える超ヒット車として2LクラスのBOX型ミニバンのスタンダードともいえる存在となっているクルマだ。大きくコンセプトチェンジする必然性はない。あくまでもキープコンセプトを貫きつつ、打倒ノア/ヴォクシーを旗頭に台頭してきたライバル車を圧倒する完成度を見せつければいい、というわけだ。

ライバルをとことん研究し、圧倒するユーティリティ

広い荷室は、3分割デッキボードの組み合わせで多彩な使い方ができる。写真はテーブルモードで、デッキボードは補強材が入っていて、このとおり、大人の男性が座ることができる

広い荷室は、3分割デッキボードの組み合わせで多彩な使い方ができる。写真はテーブルモードで、デッキボードは補強材が入っていて、このとおり、大人の男性が座ることができる

・ライバルをとことん研究し、圧倒するユーティリティというわけで、新型ノア/ヴォクシーには「驚くべき新機構」が隠されているわけでもないし、例えば低床フロアを使うといった、思いきった方針変更が図られているわけでもない。が、とにかくライバル車(←ステップワゴンとセレナです)を徹底的に研究し、ライバルにはない利便性を盛り込んでいるのが特徴的。見事なまでに進化しているのだ。そのひとつが室内居住性。このクラスとしてはスタンダードとなる3列シートの8人乗りを基本としているのだが、セカンドシートの居住性、サードシートの使い勝手でライバルをリード。セカンドシートのセンター部は、ワンタッチで折りたたみ可能となっており、前後ウォークスルーもカンタンにすることができるようになっているのもうれしい。フル乗車時以外は、セカンドシートセンターを折りたたんでおけば、2例目シートは左右独立となり、ゆったり座ることができるようになるし、3例目への乗り降りもスムーズだ。また、この2列目シートはワンタッチで外側に60度(運転席側は30度)回転可能(ただし、ロングスライドマルチ回転シート車のみの装備)。これはチャイルドシートに子供を乗せ降ろしする時に、本当に便利な機構なのだ。そして一番便利だな、と感じるのがこれ。サードシートのワンタッチチップアップ機構だろう。なんでいままで他車も含めてこういった機構がなかったのかが不思議に思えてくるほど。サードシートのレバーを操作すると、ワンアクションでシートバックが前方に折りたたまれ、シート自体が左右に跳ね上がる。あとはバックルをロック部に差し込み固定するだけでサードシートの収納は完了。時間にして10秒程度。いっさい「力」は必要ない。これなら女性でも気軽にサードシートの出し入れができるというものだ。「5ナンバーサイズのミニバンで、サードシートを3人掛けとする場合、左右長の関係で床下収納とすることは不可能なんですね。このサイズのサードシートを床下収納しようとすると、全幅は1800mm以上必要となるんです。だから、必然的に跳ね上げ式となるわけですが、なんとかラクにこの作業をできないものかと考えました」と開発を担当した水野和博氏。実際にこの動作をしてみたが、まったく力は不要。これは本当に便利です。また、セカンドシートへの乗り降りをするスライドドア部も、乗降ステップ高が低く抑えられており、小さな子供やお年寄りにも優しい設計となっている。ステップ高360mmはライバルと比べても圧倒的に低く、乗降時の負担が少ない。ちなみにステップワゴンは390mm、セレナは395mmだ。

キープコンセプトのなかのコンセプトチェンジ

ノア ノアのノーマルタイプとエアロバージョンの比較であります。白がエアロバージョン、ブルーがノーマル。写真を見てのとおり、全幅25mmの差はほとんどわからない。全長はエアロタイプが35mm長い4630mmとなっている

ノア ノアのノーマルタイプとエアロバージョンの比較であります。白がエアロバージョン、ブルーがノーマル。写真を見てのとおり、全幅25mmの差はほとんどわからない。全長はエアロタイプが35mm長い4630mmとなっている

・キープコンセプトのなかのコンセプトチェンジこれまでノア/ヴォクシーは全車5ナンバーサイズだったのだが、新型では全幅1720mmの3ナンバー仕様が新たに設定されている。エアロバージョンと呼ばれるシリーズで、ノアSi、S、ヴォクシーZS、Zがこのエアロバージョンとなっている。見た目にはフロントバンパー、グリル、フロントフェンダー、サイドマッドガード、リアバンパーの形状が異なっており、タイヤサイズは205/60R16サイズとなり、全体的にイカツイ雰囲気。注目の新開発バルブマチックエンジンはこのエアロバージョンの上級グレード、ノアSi、ヴォクシーZSに搭載されている。全幅の拡大はフロントフェンダーの張り出し分で片側12.5mm拡幅しているのだが、正直、見比べてもほとんどわからないほどの拡幅。「5ナンバーサイズの標準ボディでこのクルマのデザインは完成されていると思っています。エアロバージョンでフロントフェンダーを拡幅したのは、太いタイヤを履かせても回転半径を大きくしないため、タイヤを若干外側に出す必要があったため。外側に出したタイヤを収めるためにフェンダーの拡幅が必要だったんです。あえて目だたせることはしていません」と前出の水野氏。それにしても、4タイプのフロントグリルとパンパー、2タイプのリアバンパー(リアバンパーはノア/ヴォクシー共通デザインとなっている)をわざわざ作るとは、さすがに80万台売れるクルマだ。

プラス12万6000円バルブマチックは買いなのか? ノア/ヴォクシーグレード研究 ノア/ヴォクシーベストバイは?TEXT/国沢光宏

右がバルブマチック、左がノーマルエンジン。バルブマチックの威力は、高回転域の伸びのよさにあり、実用域では標準とほぼ同等性能

右がバルブマチック、左がノーマルエンジン。バルブマチックの威力は、高回転域の伸びのよさにあり、実用域では標準とほぼ同等性能

プラス12万6000円バルブマチックは買いなのか? ノア/ヴォクシーグレード研究 ノア/ヴォクシーベストバイは?TEXT/国沢光宏自動車好きにとって大注目したいのが『バルブマチック』エンジンである。基本的なメカは前のページで紹介しているとおり。パワーを稼ぎつつ大幅に燃費を改善できるというシステム。はたして新型ノア&ヴォクシーを買うなら、バルブマチックエンジン搭載グレードにすべきか? 新しいメカニズムに対し常に客観的な評価を下してきた国沢光宏が、さまざまな方向から新型ノア&ヴォクシーのベストグレードを考えてみた。官能評価からいく。「乗って楽しいかどうか」です。とりあえずバルブマチックと標準エンジンの『S』を乗り比べる。全般的にバルブマチックのほうが質感高い。4000回転くらいから下の常用回転域はどちらのエンジンも充分遮音されているため体感しにくいものの、4000回転以上になるとバルブマチックのほうが「澄んでいる」とか「乾いている」といった雰囲気のエンジン音になる。スポーティと言い換えてもよかろう。実際、エンジンの性能曲線を見たら、4000回転くらいまでは標準エンジンもバルブマチックと同じくらいのトルク特性を持つ。ここまでの回転域を使っているかぎり、標準エンジンもバルブマチックも動力性能は同じ。ただ標準エンジンの場合、3900回転をピークにトルク落ち始め、6000回転弱から頭打ちになってしまう。バルブマチックだと「もうひと伸び」する感じ。ホンダのVTECのような高回転域特性を持つ。もし4000回転域を頻繁に使う、という人ならバルブマチックは大いに有効かもしれない。その後、標準エンジン搭載グレード『X』(40kg軽い)のハンドルを握ってみたら、こいつが案外走る。追い越し加速を厳密に計測したワケじゃないけれど、街中だと軽いぶんだけ有利かと(編集部が独自に簡易計測したデータを別表で記載)。もし私がノア&ヴォクシーを買ったら99%4000回転以下で使うだろうから、バルブマチックの「パワフル」という長所を味わえないだろう。燃費はどうか? トヨタのエンジン担当に聞いたところ「同じ車重のノア&ヴォクシーなら間違いなくバルブマチックのほうが2~11%燃費いいです。ちなみに100km/h巡航で2%。アクセル開度少ない走り方ほど燃費の改善率は上がっていきます。SiとXグレードのように車重とタイヤサイズが違う場合ですか? 当然燃費の改善率は下がります」私が比較的平坦な区間(約10km)で行なった車載燃費計による簡易燃費テストだと、ほとんど変わらず。アップダウンの激しい区間では、太いタイヤ履き重いSiのほうがむしろ燃費悪かった。おそらく、ほぼ車重同じSiとSだったら「実用燃費で5%差が出るかどうか」でしょうね。40kg違うSiとXだと「あまり変わらない」と思う。もしSとSiで悩んだなら、どちらを選ぶべきか? 以下、入念に検討してみました。SiとSの価格差はバルブマチックエンジン+革巻きハンドル+7速パドルシフトで12万6000円なり。加えて燃費5%違う。モト取れるか? 10km/Lと10.5km/Lだとすれば、1万5000km走行毎にガソリン代は約1万円差。約13万km走るとカンペキにモト取れる計算だ。迷った場合、プライスレスの動力性能差や、数年後に下取りに出す時の査定など考え、Siを買うのがいい。

国沢光宏ならどうするか?

国沢光宏ならどうするか? もう迷わず203万7000円のXを選ぶ。4WDも22万500円高と納得できる価格設定である。気になる実用燃費は、私の使い方だとFFでも4WDでもバルブマチックと変わらないだろう。動力性能だって40kg軽いメリットがキッチリ生きる。『Lエディション』は、助手席パワースライドドアとHIDライトだけで16万8000円もするからパス。スライドドア、手で開けたほうが速いからイライラしない。こいつに14万7000円の姿勢制御装置VSC+サイドエアバッグを付けておけば、世界トップクラスの安全性持つミニバンになる。雪道を走るなら、4WDにVSCを組み合わせれば、必要にして充分の雪道走行性を確保できます。フル装備のミニバンが218万4000円(4WDだと239万4000円)で買えるならお買い得だ。強いていえばGグレードに標準装備されるクルーズコントロールを装着できればいうことなし。も少し具体的に購入作戦を立ててみよう。ナビも工場オプションだと36万6450円と高い! なんせ車両価格の20%近い。最近トヨタのディーラーオプションは機能もデザインも大幅によくなってきた。MD付きで18万9000円のタイプを大幅値引きしてもらえば(車両本体値引きがゆき詰まったら使う)充分でしょう。ノア&ヴォクシーに限らず、トヨタ車はオプションをいかに減らすかが最大のテーマです。

注目のバルブマチックとは!?

これが注目のバルブマチックエンジンだ!! ノアSi、ヴォクシーZSに搭載される2L、直4のバルブマチックエンジンは、最高出力158馬力、最大トルク20.0kgmを発揮する

これが注目のバルブマチックエンジンだ!! ノアSi、ヴォクシーZSに搭載される2L、直4のバルブマチックエンジンは、最高出力158馬力、最大トルク20.0kgmを発揮する

■注目のバルブマチックとは!?BMWが最初にやり始めたメカでバルブトロニックと呼ばれる。このエンジン、2L、直4の3ZR型エンジンのバリエーションなのだが、吸気バルブのリフト量の変化(最小1mm~最大11mm)によってシリンダー内への吸気量をコントロールし、エンジンの回転数を制御するというシステム。スロットルバルブによる吸気抵抗がないため、低中速域のトルクが太くなり、また、燃費が向上するというエンジン。実際、同じ車重のノアSi(バルブマチック)とノアG(非バルブマチック)では10・15モード燃費が14.2km/Lに対して13.4km/Lと、0.8km/L向上している。エンジンの違いによる走り、燃費の違いは次ページで徹底テストをしているのでお楽しみに!!

バルブマチック燃費はどうだ?

約2%程度バルブマチック車が実用燃費ではリードした。それにしても、ノーマルでも燃費は充分にいい!!

約2%程度バルブマチック車が実用燃費ではリードした。それにしても、ノーマルでも燃費は充分にいい!!

バルブマチック燃費はどうだ?さてさて、どうしても気になるバルブマチックの実用燃費。さっそくテストしてきました。テストに使ったのはバルブマチックエンジンを搭載するノアSiと、ノーマルエンジンを搭載するノアG。どちらも車重は1590kgと同じなので、燃費テストにはうってつけの組み合わせ。10・15モード燃費はSiが14.2km/L、Gが13.4km/Lとなっている。テストは2台同時にBC恒例燃費テストコース(都内から東名高速御殿場~国道138号線~中央高速河口湖~都内)を走行。高速道路では2台の間隔を大きく離し、スリップストリーム効果による燃費データのバラツキを回避することを留意した以外は、特に特別なことはしていない。高速道路では基本的に周囲の流れに沿った走行を心がけ、一般道ではごくごく「普通」の走り方を心がけた。また、ドライバーによる燃費の差を考慮し、行程のほぼ半分、約130km走行した山中湖畔でドライバーチェンジを実施している。編集部のある文京区音羽から首都高で東名を目指すが、3号線下りが約6kmの渋滞。少々時間をロスするが、燃費テストにはちょうどいい。都内の渋滞を抜けてロングドライブといった、休日のファミリードライブのシミュレーションとなる。結果、約260km走って消費した燃料はバルブマチック車が17.13L、非バルブマチック車が17.58Lで僅差ながらバルブマチック車の勝ち。正確な距離はおのおののトリップメーターが示す数字を採用することとして、満タン法で計算。バルブマチック車は15.01km/L、非バルブマチック車は14.72km/Lという結果となり、その差約2%。ノーマルでも14.72km/Lとは、ミニバンとは思えぬ実用燃費のよさ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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