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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05
四角いクルマが殺伐とした世界を楽しくする!ホンダ クロスロード
深い雪道でのコーナリング、坂道発進でも駆動力が確保され、安心してドライブできる
【本記事は2007年4月にベストカーに掲載された記事となります。】ホンダのブランニューSUVのクロスロードをBC編集部でアレコレとチェックしてみた。クロスロードは、そんなにボディの大きくない2LクラスのSUVながら、3列シート7人乗りのミニバンテイストを盛り込んだクロスオーバーカーだ。
エクステリアは写真より実車
このクルマの最大のセールスポイントは四角いエクステリアにある。これを魅力的と感じるか、そうでないかは人それぞれなのだが、正直に言いますと、担当は写真を見ただけでは完全にNGだった。「ホンダのデザイン、最近おかしい。どうしてこんな無骨でカッコ悪いクルマを作るのか」というのが第一印象。しかし、実車を目の前にすると、担当の第一印象がいかに当てにならないかを痛感。これが妙にしっくりきて心地いいのだ。エクステリアの四角さが担当のツボをくすぐった。このクルマ、’94年にデビューした日産のパイクカー、ラシーンに似ていません?クロスロードの安木茂宏LPL(開発責任者)は、「比較車両がラシーンじゃ相手に不足あり」と(編)に待ったをかけたものの強行。編集部の足グルマとして現役で活躍中のラシーンを持っていき一緒に写真を撮影したが、これがバシピン! とても似ている。四角いクルマといっても、その目的は2通りある。まずひとつめは、小さなボディに広い室内を実現するために、四角いボディが与えられるケース。タント、キューブなどがこれに当たるのだが、スペースユーティリティは同じクラスのモデルをはるかに凌駕するのが魅力。もうひとつが広さを追求するのではなく、個性、存在感を主張するアイテムとして四角いデザインが与えられるケース。クロスロード、ラシーンがまさにこれ。丸いクルマは器用そうで、四角いクルマは無骨で不器用なイメージがあるかもしれないが、四角いから運転していてもボディの四隅が把握しやすくて実用面もバッチリ。存在感といえば、クロスロードのデザインはどことなくハマーH3とも似ている。ただ、ハマーのように質実剛健、というのではなくクロスロードはあくまでもライト。このライト感、一見無骨だが汗くさくない、これこそクロスロードの魅力。
走りもセカされることなく、ゆったり気分
深い雪道でのコーナリング、坂道発進でも駆動力が確保され、安心してドライブできる
クロスロードは3列シートミニバンのストリームのプラットフォーム、パワートレーンを使って生まれてきたがキャラクターはまったく違う。これは走り出せば一目瞭然。エンジンは1.8L(140ps/17.7kgm)と2L(150ps/19.4kgm)の2種類あるのもストリームと同じだが、特にストリームの2L搭載モデルがスポーツ&GT顔負けのコーナリングマシンなのに対し、クロスロードはどちらのエンジンを搭載したモデルも、速さやコーナリングを楽しむのではなく、街中をストレスなく快適に流すキャラ。足回りもマイルドに仕上げられていて、乗り心地もすこぶるいい。「ホンダは同じモノを使いながら、走りをはじめキャラクターを見事に差別化している。トヨタのようにプラットフォームやエンジンを豊富に持っているわけではないので、この差別化はホンダにとって意味がある」(鈴木直也氏談)トランスミッションは、ストリームの2LにはCVTが組み合わされているが、クロスロードは1.8L、2Lとも5ATとなっている。・ストリームのコンポーネンツを使ったCR-Vの弟分クロスロードのボディサイズは、全長4285×全幅1755×全高1670mm。これに対しストリームは全長4570×全幅1695×全高1545mm。ホイールベースはストリームの2740mmに対し、全長を約30cm短くしたぶん2700mmに短縮されている。「クロスロードは、CR-Vが大きく高級感を増してクラスアップしたため、その弟分としてホンダ製SUVの幅を広げるのにひと役買っている」(鈴木氏談)そのCR-Vのボディサイズは、全長4520×全幅1820×全高1690mmだから、いかにクロスロードが扱いやすいサイズかわかるはず。
視界はどうなの?
現代の四角いクルマの代表格と言えばこのハマー。クロスロードってそのハマーにもどことなく似ている
クロスロードのインテリアは、外観同様にスクエアな雰囲気で、絶妙にしっくりとくる。実際に運転席に座ると、ストリームがミニバンなのにワゴン的で低い車高をアピールしているのに対し、クロスロードはアイポイントも高く運転していて快適。見切りもいいので運転していて安心感がある。視界といえば、クロスロードの外観写真をここでもう一度ジックリと見てほしい。SUVやミニバンに装着が義務づけられている、デザインをブチ壊すフロント左フェンダーの通称キノコミラーがないのにお気づきだと思う。助手席側のミラーにプリズムアンダーミラーを埋め込んだことにより、ボディサイド、フェンダー付近の視界が確保できたためキノコミラーなしでOKとなった。担当はキノコミラーを見ただけで、SUVに対し“100年の恋も冷める”タイプ。同じように感じている人も多いのでは?
価格はどうなの?
10年の時を超えた2台。ホントによく似ている 真横から見るとクリソツの2台。広さよりも個性、オリジナリティを主張する2台。丸いクルマは印象に残らないが、四角いクルマは人々の心に深く刻まれるのです!
1.8Lは193万2000~225万7500円、2Lが222万6000~291万9000円。2L搭載の20Xiの4WDだけ特殊モデルで、FFに対し46万2000円高となっているのは、インテリジェント・ハイウェー・クルーズコントロールとマルチインフォメーションディスプレイ(ナビはオプション)、衝突軽減ブレーキなどが標準装備されているから高価となっているが、そのほかは買いやすい価格設定。雪上でSUVとしての実力もチェックしたゾ!!クロスロードの4WDは左右輪の駆動力を緻密にコントロールするVSAを全車標準装備。そのため滑りやすい雪道でも強力な走破性を見せてくれた。それから新開発のヒルスタートアシストも4WD車全車に標準装備。これは坂道を上るときにブレーキ圧を約1秒間保持するため、慌てることなくブレーキペダルからアクセルペダルに踏み換えることができるという優れもの装備。作動角度は約5~35%勾配となっているので、雪の坂道での渋滞などで安心してドライブできる。
エクステリアは2種類ラインアップ
主要諸元
クロスロードは2Lを選ぶと必然的にバンパー、フェンダー類は高級感のあるボディ同色となるが、1.8Lは基本がブラック。しかし、Xパッケージにはスマートスタイルパッケージ(5万2500円)が設定されていてボディ同色にすることできるが、クロスロードの個性を主張するならだんぜんワイルドなブラックがお薦め!3列目&ラゲッジは?ストリームよりも約30cm短い4285mmの全長で3列シート7人乗りを実現させているため、3列目シートにはやや狭さを感じるが、このクラスでエマージェンシー用ながら3列としたことに意味がある。通常は2列シート5人乗りSUVとして使いながら、いざという時にプラス2人が乗れるのが重要でほかにはない魅力。座り心地は〇。