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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06

日本の公道を走ってわかった レクサス LS460の真の実力

レクサスブランドのフラッグシップ

【本記事は2006年11月にベストカーに掲載された記事となります。】89年にデビューして高級車としては異例の販売をマークし成功を収めてきたセルシオの名前を消滅させてまで、レクサスブランドのフラッグシップとしての存在にこだわったLS460。すでに7月にオーストリアのザルツブルグで欧州仕様のクルマを試乗ずみだが、肝心の日本仕様試乗は9月19日の発表まで待つことになった。試乗の舞台は北九州~山口県・秋吉台。高速を飛ばすのがメインだった欧州試乗に対し、今回の試乗は一般道、街中、高速、ワインディングなどがほどよくミックスされていて、LS460の素性を知るには最適で、ヨーロッパ試乗ではわからなかった細かな点までわかった。LS460の凄いところは、トータルバランスの高さにあり、それゆえ、凄いことなのにいたって普通の感覚のまま運転できることにあるだろう。簡単にいえば、非日常の世界をいとも簡単に日常の世界へと変えるパワーを持っているのだ。セルシオは現在日本で32万台オーバーも保有されている。それらのすべてがLS460を購入対象としているとはいわないまでも、ライバルとなるベンツSクラスを筆頭とする高級外車軍団からの乗り換えを考えている人も含めれば、LS460にただならぬ興味を抱いている輩は猛烈な数になる。試乗会に用意されていたLS460は全部で17台。3グレードすべてを試乗したのだが、標準が車両本体価格770万円+オプションで832万8950円(税込み以下同)、バージョンSが845万+オプションで930万500円、そしてトップグレードのバージョンU Iパッケージが965万円+オプションで1144万250円とどれもが目の飛び出るような金額。日本車も安いだけでなくこの価格帯でも国際的競争力を持つようになったのか、と感慨深いものがあったが、手の届く高級車の代名詞、ベンツS500、走りのいい高級車の筆頭候補、BMW750i、LSの進化のもととなったセルシオといろいろな点で比較してみたい。採点はLS460を100として、ライバルがどうかを見てみた。

加速性能

このLSはトップグレードのバージョンU Iパッケージでオプション込みで1144万250円! 高速道路を走行中に外から聞いているとセルシオよりはスポーティな音を出してはいるが、走り去る様はあくまでジェントル。リミッターを解除すると270km/hオーバーをマーク(レクサス関係者談)するポテンシャルは圧巻

このLSはトップグレードのバージョンU Iパッケージでオプション込みで1144万250円! 高速道路を走行中に外から聞いているとセルシオよりはスポーティな音を出してはいるが、走り去る様はあくまでジェントル。リミッターを解除すると270km/hオーバーをマーク(レクサス関係者談)するポテンシャルは圧巻

加速性能NVHが低く抑えられていることもあり、LS460はスピード感がなく、60~80km/h程度で走っているつもりでも気がつけばとんでもないスピードだったりする。メーカーの発表値ではゼロヨンタイムは13秒8。日本最速の一台、ランエボでも素人がタイムトライアルすると負けるレベル。しかし、その加速感は強烈とか凄いという種類のものではなく、低速から極めてスムーズな加速なのだ。ライバルに比べLSは加速が持続するが、重量級ボディをグイグイと豪快に加速するという点では排気量が大きく、トルクに優るS500のほうが上となる。すばらしい動力性能を実現している要素にエンジンの力強さ、シフトショックがなく恐ろしくスムーズな8AT、CD値0.26という空力ボディが大きく貢献している。意外だが、BMW7シリーズは比較する4車のなかで一番車重が重い2040kgで、パワー、トルクともLS460よりも劣る。実際に運転するとワインディングなどではLS、S500よりも重さを感じてしまう。

ハンドリング

ズラリと並んだ壮観な眺め! 今回試乗に用意されたLS460は全部で17台。1台平均1000万円とするとなんと合計1億7000万円! すでに1万台オーバーの受注が入っているというから凄い

ズラリと並んだ壮観な眺め! 今回試乗に用意されたLS460は全部で17台。1台平均1000万円とするとなんと合計1億7000万円! すでに1万台オーバーの受注が入っているというから凄い

ハンドリング面白いか面白くないかという評価なら、LS460のハンドリングは決して面白いというキャラクターではない。19インチのバージョンSはサスセッティングも専用でスポーティに振られ、スポーティな領域でのハンドリングを楽しむこともできるが、基本は快適性とスタビリティを重視している。LS460はハンドリングのバランスがすばらしくいい。フロント、リアとも新開発のサスによりロードホールディング性がセルシオ時代よりもひとクラス上といっていいほど進化している。これは走りがいいといわれるBMW750iと比べても凌駕している。それからノーズダイブ、テールスクワットなど、挙動の乱れ、変化が少なく、姿勢変化が穏やか。ワインディングでも大、小のコーナーを走ってみたが、不安感がないオンザレール感覚なのだ。これは、エアサスの完成度が凄くよくなったことの証だ。ただ、ヨーロッパで試乗したコイルスプリング仕様の自然なフィーリングも捨てがたい。日本ではエアサスのみで買えないが、ぜひ導入してもらいたい。

エンジン

エンジン一般のユーザーがドライブした時にエンジンに不満など何もでないだろう、と断言できる。すべてについて心地いいのだ。385psのパワー感、51.0kgmのトルク感を存分に堪能するという類ではなく、レッドゾーンよりちょっと低い回転でシフトアップするリニアなパワー、トルク特性となっている。低回転から高回転までレスポンスよくパワーが盛り上がり、トルクはフラット。セルシオに搭載されていた4.3L、V8は今でもかなりの実力を持ったエンジンといえるが(280ps/43.8kgm)、105ps/7.5kgmのパワー差は大きいし、スムーズさでもLS460の4.6Lのほうが上。さらにつけ加えておくと、エンジンの音などにもこだわりを見せたとレクサススタッフは強調(個人的にはまだ足りないと思っているが)。スペックではベンツS500が387ps/54.0kgmと比較車両のなかではトップ。やはりトルク感はコイツが一番。BMW750iはLSとほぼ同じスペックながら、スムーズさという点ではLSにかなわない。

乗り心地・ブレーキ

セルシオ、LS460のツーショット。壇ノ浦PAで偶然撮影に成功。セルシオオーナーの注目度も高かった。LSのエクステリアデザインはセルシオから踏襲している点があるのがよくわかる。性能面ではエンジン排気量が約300ccアップし105ps/7.5kgm違うため、動力性能などはまったく別もの。ちなみにこのセルシオオーナーはすでにLS600hを注文ずみとのことです

セルシオ、LS460のツーショット。壇ノ浦PAで偶然撮影に成功。セルシオオーナーの注目度も高かった。LSのエクステリアデザインはセルシオから踏襲している点があるのがよくわかる。性能面ではエンジン排気量が約300ccアップし105ps/7.5kgm違うため、動力性能などはまったく別もの。ちなみにこのセルシオオーナーはすでにLS600hを注文ずみとのことです

乗り心地フワフワしただけのヤワな乗り心地、ダンナ仕様と思ったら大間違い。高級車の乗り心地としては硬めで、けっこう芯がある。路面のゴツゴツ感などもけっこう拾う。といってもこれはドライバーシートに座っていての感想で、リアシートに移るとこれが一変する。心地いいのだ。心地いいというフィーリングはLSに乗るといろいろなところで顔を出してくるが、その最たるものが後席の乗り心地。まず、リアシートの座り心地が最高。体が安定するように背もたれに少し窪みが設けられていたりと、よく考えられている。そして、走りの評価でも指摘したが、ノーズダイブ、テールスクワットなど挙動変化がきわめて少ないフラットな乗り心地を実現している。HVHもほとんど感じない上質な乗り味。それに対しSクラス、750iとも偏平タイヤの装着により不快なレベルでは当然ないが、LSよりも乗り味は硬い。ブレーキブレーキも容量、剛性ともセルシオから大きく進化しているポイント。耐フェード性などは試せなかったが、制動力は抜群にいい。こいつもスムーズ! ただし、電子制御ブレーキのため、常に踏みしろは一定でタッチは独特だから、慣れるまでちょっと違和感があるかも。対するドイツ車2台のブレーキはさすがというレベル。特にBMWの剛性感は伝統的で、750iにも受け継がれている。ブレーキは日本車がドイツ車に対し差をつけられているといわれている部分だっただけに、LSが充分に対抗できるレベルである点がすばらしい。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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