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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06

三菱アイ緊急試乗 気になるアイのアレコレ 走りはどうなんだろう、徹底チェック!

新車iを徹底試乗

【本記事は2006年3月にベストカーに掲載された記事となります。】iの試乗車を借りてきた夜、会社の駐車場へ編集部員全員が「ドレ、ドレ……」と、いっせいに集まった。宇井と飯干、市原は3人でさっそく近所に試乗に出かけたほど。クルマ雑誌の作り手とはいえ、みんながみんな新しいクルマにこんなに強い関心を寄せたのは本当に久しぶり。「思い起こせば初代プリウス以来の現象だよなァ」と(編)がいった。編集部員の関心が強ければ、読者の皆さんも同じでしょう……、ということで、2月6日からの正式試乗会の前に、ピカピカの新車、iを徹底試乗。試乗レポートを担当するのは業界No.1の理論派、中谷明彦だ。

ステアフィール

走りの実力を問う!! 個性的なフォルム、デザインで目を引くiだが、やっぱり気になるのはその走りだ。ハンドリング、乗り心地など多角的にiの走りっぷりを徹底解剖することにしよう!! iに搭載されるエンジンは専用開発されたアルミブロックの直列3気筒DOHCターボで最高出力64ps、最大トルク9.6kgmを発揮。トランスミッションは4速ATが組み合わされる。NAエンジンの設定はありません。念のため

走りの実力を問う!! 個性的なフォルム、デザインで目を引くiだが、やっぱり気になるのはその走りだ。ハンドリング、乗り心地など多角的にiの走りっぷりを徹底解剖することにしよう!! iに搭載されるエンジンは専用開発されたアルミブロックの直列3気筒DOHCターボで最高出力64ps、最大トルク9.6kgmを発揮。トランスミッションは4速ATが組み合わされる。NAエンジンの設定はありません。念のため

●ステアフィールとにかく印象的なのがステアリングの軽さである。iのパワステは電動パワステなのだが、実はそれほどアシストの効きを強くしていないという。軽いアシストでも充分なのだ。エンジンが止まってパワステが効かない状態でも、さほど重たいとは感じないで据え切りできるほど。その理由はいうまでもなくフロントが軽いから。iの車重は900kg。前後重量配分は45対55なので、フロントタイヤにかかる重量は405kg。FFの軽自動車だと、一般的には600kg程度の荷重がフロントタイヤにかかっているのだから、iのフロント荷重は圧倒的に軽いということがおわかりいただけるだろう。さらに、iのフロントタイヤには駆動系の摺動抵抗などがかかっていないので、イヤなキックバックや抵抗感も発しないのである。だから、iのステアフィールはとってもスムーズで軽快。いま、日本の軽自動車からコンパクトカーにかけて前輪駆動ではないクルマはiのほかにはほとんどないので、iのステアフィールはちょっと感動的ですらある。

ハンドリング

●ハンドリング基本的には弱アンダーステアを保つハンドリング特性で、非常に好ましいものだ。個人的にはもうちょっとニュートラル方向に振ってもいいかな、と思う部分もあるが、iが使われるシチュエーション(基本的にはタウンユースメインのコミューター的な使われ方をするはず)を考えれば、このセッティングはきわめてリーズナブル。このセッティングなら、雨の日など、路面コンディションが悪い時でも安心して走らせることができる。iにはリア2輪駆動のほかに4WDが用意されているのだが、4WDのほうが、スピードを上げていった時にステアリングがドッシリして、より好ましいものとなる。挙動は基本的にキビキビしていて軽快だ。リアミドシップにより、フロントが軽いためなのだが、例えばスラロームやダブルレーンチェンジのような走りをする場合、フロントがスイッと向きを変え、リアがキッチリ粘るような動きをするために、ハイスピードでスラロームをしても挙動が破綻をすることがない。リアに重たいエンジンが搭載されていて、リアタイヤへの荷重が大きいため、リアのスタビリティが高くなっているためである。これができの悪いFRだと、フロントを軸にリアが振り子のように振れてしまい、大きく挙動を乱すことになるし、逆にFFだとフロントが重たく、キビキビした動きを作り出すのが非常に難しくなってくる。iの動きは軽快でスポーティということができる。スポーツカーのミドシップとはちょっと違い、シビアなハンドリング特性だということはない。

エンジンフィール

エンジンはラゲッジルーム ミドシップというよりはリアエンジンに近い位置にエンジンが搭載されている。ちょうどラゲッジルームのカーペットをはがすとエンジンルームを覆う鉄板があり、これを開けるとエンジンが顔を出す。カーペットとエンジンルームのふたの間には分厚い断熱材が敷き詰められているのだが、街中を走った程度でもカーペットはほのかに暖かくなっていた。夏場は大丈夫だろうか!? エンジンはシリンダーが45度前倒されており、リアシート斜め下に上手いこと入り込んでいるのだ。エンジンの整備性はさほど悪くはなさそうですな

エンジンはラゲッジルーム ミドシップというよりはリアエンジンに近い位置にエンジンが搭載されている。ちょうどラゲッジルームのカーペットをはがすとエンジンルームを覆う鉄板があり、これを開けるとエンジンが顔を出す。カーペットとエンジンルームのふたの間には分厚い断熱材が敷き詰められているのだが、街中を走った程度でもカーペットはほのかに暖かくなっていた。夏場は大丈夫だろうか!? エンジンはシリンダーが45度前倒されており、リアシート斜め下に上手いこと入り込んでいるのだ。エンジンの整備性はさほど悪くはなさそうですな

●エンジンフィール軽自動車の3気筒ターボエンジンとしては標準的レベルのエンジンといっていいだろう。最高出力は64ps、最大トルクは9.6kgmを発揮。最大トルクは3000回転で発生しており、比較的低速域からトルクが出ているエンジンだと思う。新設計されたアルミブロックのエンジンで、リアシートの斜め下に配置するために、シリンダーブロックは45度後方に傾斜してマウントされている。決して特別なエンジンではないが、きっちりトルクが出ていることもあり、ドライバビリティは良好。コンパクトカーなどから乗り換えても、特に力不足と感じることはないと思う。ターボのみの設定としたのは正解だと思う。さすがにNAだと、ちょっと力不足のはずだから。

乗り心地

iのボディサイズは全長3995mm、全幅1475mm、全高1600mm。ホイールベースはギャランと同じ2550mmという長さなのだ

iのボディサイズは全長3995mm、全幅1475mm、全高1600mm。ホイールベースはギャランと同じ2550mmという長さなのだ

●乗り心地このクルマの場合、特にリアシートの乗り心地がいいと思っている。理由は明快。つまり、リアに重量物が集中しているため、ドッシリした動きが得られているのである。このため、一般的なコンパクトカーでは得られないような重厚な乗り心地がリアシートで得られるのであった。フィットあたりよりも乗り心地はいいと思う。こう書くと、前席の乗り心地を不安に思う人がいるかもしれないが、心配は無用。先ほども書いたとおり、前後重量配分は45対55。フロントの荷重だって、ほぼリアと同じなのだから、フロントが軽すぎるということはなく、リアとほぼ同じレベルの乗り心地が確保されている。ホイールベースが2550mmと長く、ピッチングなども少なく、基本的な乗り心地のよさも大きいと思う。ただ、シートそのものは必ずしも「いいシート」とは感じなかった。クッションが弱く、これで長距離を走るのは、正直ちょっとキツいなという印象。ここはiの要改善ポイントだ。

室内空間

iのボディサイズは全長3995mm、全幅1475mm、全高1600mm。ホイールベースはギャランと同じ2550mmという長さなのだ

iのボディサイズは全長3995mm、全幅1475mm、全高1600mm。ホイールベースはギャランと同じ2550mmという長さなのだ

●室内空間2550mmというロングホイールベースが効いていて、リアシートの足もと、特にヒザのあたりのスペースに余裕がある。前席を意識することなく、わりとゆったりした姿勢で座れるのがうれしい。ただ、全体的に若干フロアが高い印象で、それに伴って着座位置も高め。したがってヘッドクリアランスはそれほど大きいという感じではない。とはいえ、普通に座って頭が天井についてしまうということはなく、特に気になることはない。必要にして充分、といったところだ。

室内騒音

インテリアは機能的にまとまっている。メーターはタコメーターがアナログで、速度計はデジタル表示。シフトノブはフロアから生えているタイプ

インテリアは機能的にまとまっている。メーターはタコメーターがアナログで、速度計はデジタル表示。シフトノブはフロアから生えているタイプ

●室内騒音リアシートでエンジン音が大きいのではないか!? 心配する人も多いという。大丈夫。リアシートに座って実際に走ったが、エンジン音が気になるということはまったくなかった。いや、正確にいうと、多少は気になったが、軽自動車の室内騒音というのは、全体的にこんなもんだ。iだけが特別にエンジン音が室内に入り込んでくるということはない。もっと音の入ってくるクルマはいくらでもあり、むしろ静かな部類だと思う。フル加速している時でもなければ、エンジン音はほとんど気になることはない。そもそも音というのは後ろに流れていくもの。フロントエンジンのクルマにしても、それなりに室内にエンジン音は入り込んでくるものなのだ。リアにエンジンがあるiの場合、室内に入り込んでくる音よりも、後方に流れていってしまう音のほうが多いということ。だから、前席の静かさは特筆すべきポイントなのだ。

トータルでの評価

路肩に止めたiを興味津々眺めるご夫婦。ご主人はイタリア人なんですと。イタリアでもiは受けそう、と

路肩に止めたiを興味津々眺めるご夫婦。ご主人はイタリア人なんですと。イタリアでもiは受けそう、と

●トータルでの評価衝突安全性と広い室内空間の両立を実現しようと思ったら、現在のところiのパッケージングが最も理にかなっていると思う。実際、リアエンジンとすることで、フロント回りのクラッシャブルゾーンの構造が作りやすく、高い衝突安全性を実現している点を高く評価したい。デザインに関しては、個性的ですごくいい。新しさを感じさせるデザイン、フォルムで、iならではの存在感を感じさせてくれるのがいい。久々、視線を感じるクルマ i、街での評判は?iに乗って街を走ったら、と周囲の視線を感じてしまいました。こんなの久しぶり。最近はニューモデルで取材に出ても、あまり視線を感じないからなぁ。ちょっとうれしかったです。表参道にクルマを止めて道行く人の意見を聞いてみた。ご主人がイタリア人、奥さんが日本人というご夫婦は、特にiが気になってしようがない様子。立ち止まってじっくり見てました。「これはデザインがいいから絶対に売れると思う。イタリアに持っていっても大人気間違いなしですよ」ですと。そのほかにも通り過ぎる人の3割程度が振り返るか、視線を投げかけていた。i、なかなかに存在感を感じさせてくれるではありませんか!!受注はすでに8000台超iはこの後売れるのか?「あと10万円安ければ買うのになぁ」という松下宏氏。でも、iって、そんなに高いですか!?例えばターボエンジンを搭載するムーヴカスタムRの場合、お値段は143万8500円、同じくターボのライフDIVAは134万4000円。iの中間グレードMはスマートキー、セキュリティアラームなどが標準装備となっており138万6000円。決して高いとはいえないと思うのだ。もちろん、安さ自慢のアルトやエッセといったアンダー100万円軽自動車などと比べれば、高く感じるかもしれないが、ターボエンジン搭載の「プレミアム軽自動車」として見れば、iが突出して高いということはないと思いません?ところでi、発表日の1月24日の時点ですでに6000台の受注があったという。さらにその後の週末などを経て、受注台数は順調に増え2月1日時点で8000台を超えている。都内のディーラー営業マンの話を聞くと、「とにかくiを目当てにお客さんが来店してくれるのがうれしい。次々と契約、とはいいませんが、好感触です」との声。まずは順調なスタートといえそうだ。では半年後にiの販売はどうなっているのか!? 販売目標をクリアしているのだろうか!?国沢光宏氏は「けっこう苦労するかもしれない」と厳しい評価。BC編集部としては、iは売れる、大人気!! と確信しています。

街中走ってチェック ところで燃費は?

都内の一般道ばかり約180km走っての実測燃費は8.39km/L。走りを確かめたくて、けっこうアクセルをバンバン踏んでしまっての結果である

都内の一般道ばかり約180km走っての実測燃費は8.39km/L。走りを確かめたくて、けっこうアクセルをバンバン踏んでしまっての結果である

街中走ってチェック ところで燃費は?さっそくiで都内を中心に取材に走り回りました。もう、完全に一般的な軽自動車が使われるシチュエーション。都内ばかり走った距離は176.3km。ついつい信号待ちからは「どんなもんかい!?」とスタートダッシュ。そんな使い方で消費したガソリンは21L。ということで、燃費は8.39km/L。ちょっとターボを効かせすぎてしまいました。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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