小さな巨人トヨタ ベルタ　日本一小さなセダンは大きなセダンを超えた！？

【本記事は2006年1月にベストカーに掲載された記事となります。】ベルタは国内最小のセダンである。全長4300mm、全幅1690mm、全高1460mm。同じカテゴリーに属するフィットアリアは全長がベルタよりも10mm長い4310mm、エリオセダンは50mm長い4350mm、ティーダラティオは4395mmとなる。ベルタの前身ともいえるプラッツより全長が120mmも長くなっているのだが、それでもベルタは「日本一小さなセダン」なのだった。

●ポイント（1）／小さくても堂々写真を見て頂ければおわかりだと思うが、トヨタの誇るフラッグシップセダン、セルシオの横に並んでもまったく存在感は負けていない！！ ちょっと褒めすぎかな、という気もしなくはないが、ベルタは抑揚感あふれるフロントマスクの造形、スッと伸びやかなルーフライン、自然なラインでつながるトランクと、非常にまとまりのいいフォルムを持っていて、冗談抜きにセルシオと比べて見劣りする感じはありませんでした。ちなみにセルシオのサイズは全長5015mm、全幅1830mmもある。セルシオの室内寸法は室内長＝2080mm、室内幅＝1535mm、室内高＝1210mm。ベルタよりも11.5cm長く、14.5cm広く、1cm高いだけ。な～んだ、ベルタは小さいのにセルシオよりも室内長がたった11.5cm短いだけなんだね。

では走り。ベルタに搭載されるエンジンは基本的にはヴィッツと同じ。直列3気筒の1Lと直列4気筒の1.3Lの2タイプでトランスミッションはCVTが組み合わされる。走りに関しては、「1Lは3気筒の音、振動がちょっと気になるな」というのがホンネ。確かにトルクもあって燃費的には3気筒がベスト（ちなみに10・15モード燃費は22.0km／L）というのはわかるが、やっぱり4気筒のスムーズさは魅力的。その点、直4の1.3LはCVTとのマッチングもよく、ストレスのないドライバビリティ。

●ポイント（2）／ベルタvs軽ベルタの価格は1Lの上級グレード、装備の充実したSパッケージで149万1000円と意外と高い。この価格帯だとムーヴカスタムR（143万8500円）、ワゴンRFT-Sリミテッド（121万7500円）と、ベルタの10万～20万円安くらいが基準。660ccターボは最高出力こそ64馬力だけど、トルクは10kgm台あり、動力性能的にはリッターカーをも上回るほど。とはいえ、室内の広さはやっぱり「軽自動車枠」にしばられた軽はどうしても不利。横縦の長さが制限されるため、高さで居住性を確保する努力はしているものの、やっぱり全幅1690mmを確保できるベルタに分があるのは当たり前。それでもタントなどはラゲッジスペースを多少犠牲にしてもリアシートの広さを優先する（リアシートは前後スライド可能で、荷室を大きくすることもできる）といった、個性的なパッケージングで存在感をアピールする。これによりタントの室内長はベルタを上回る2000mmを実現。ムーヴもワゴンRもライフも、リアシートの足もとスペースは、ベルタよりも余裕はある。

ただ、シートのクッションや背もたれの高さなど、トータルでの「座り心地」に目を向けると、ここはやっぱりベルタが一歩も二歩もリードする。軽自動車の多くは背もたれが肩より低く、長距離移動にはちょっとしんどいのだが、ベルタの背もたれはしっかり肩よりも高く、しかもクッションも肉厚で座り心地は軽自動車ナンバーワンのムーヴよりワンランク以上上。リアシートに人を乗せる機会が多く、ある程度の距離を走るというのなら軽自動車よりもベルタのほうが「満足度」は高い。あとは自動車税の差。軽は年間7200円、対するベルタは2万9500円。これは大きいぞ。

Powered by ベストカー