試乗記[2017.11.15 UP]

【試乗レポート】新型XC60上質さの秘密は1000万円級の部品にあり!

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XC60 T5 AWD Inscription

文と写真●ユニット・コンパス

 かつて「空飛ぶレンガ」などと表現されるほど角ばったスタイリングが特徴だったボルボ。それを、まるでクーペのようなスタイリッシュなフォルムを採用することで、ブランド全体に若々しくスポーティなイメージを与えたのが初代XC60だった。他に先駆けて採用された自動ブレーキのおかげもあって、XC60のチャレンジは成功し、その後V40の登場によってボルボはブランド価値を一気に高めることに成功。そして現在では、さらなる改革として車体骨格やパワートレーンに多大な投資を行い、その成果として登場した90シリーズも好評を集めている。ボルボはまさに上げ調子、いいプロダクトがいいイメージを作り出すという正のスパイラルのまっただ中にある。

 そしていよいよ登場したのが、ブランド全体において中核をなす60シリーズである。現在ボルボはブランドのポートフォリオを最上級の90シリーズ、ハイクラスの60シリーズ、そしてカジュアルラグジュアリーな40シリーズと大きく3つに分類。それぞれのクラスにV(ワゴン)、XC(SUV)、クロスカントリー(クロスオーバー)、S(セダン)という4つのボディタイプを用意し、多様化するユーザーニーズに対応する戦略をとっている。すでに90シリーズについては上記4タイプが日本にも導入されているが、いよいよ本命とも言える新型60シリーズが登場、まずはその先鋒としてSUVのXC60が日本でも発売開始となった。

90シリーズゆずりの上質でセンスのいいインテリア

 セカンドジェネレーションとなったXC60、そのスタイリングの印象は、上質でいて若々しい。90シリーズではハイクラスにふさわしい重厚感が表現されていたが、60シリーズでは上質さはそのままに、よりアクティブで活発な雰囲気を漂わせているのだ。これはデザイナーが意図したもので、ボルボでは3つのクラスを品質の「松竹梅」ではなく、テイストの違いとして表現しているという。それを靴に例えると「90シリーズは高級でクラシカルな革靴、60シリーズは質のいいローファー、40シリーズは上質なスニーカー」ということになるそうだ。

 その言葉に偽りがないのは、インテリアを見れば明らかだ。北欧ならではの上質さとやすらぎをベースにしながら、ハイテクデバイスを取り入れることでスイッチ類を極力少なくしたコックピットは90シリーズと比べても遜色なし。それどころか、中央のタッチ操作に対応する縦長液晶モニターやシフトゲート周辺のパーツ、そしてフロントシートは90シリーズと共通部品。共通部品というと手抜きのように感じられるかもしれないが、「1000万円級のクルマと同じ」と言えばその価値が伝わるだろう。一方で独自の要素も用意されていて、とくに取材車両にも装着されていたホワイトウッドの「ドリフトウッド・パネル」は魅力的だった。流木からインスピレーションされたというストーリーも北欧らしくて素敵だ。近年注目分野となっているインフォテイメント機能も充実していて、90シリーズからさらに内容がアップデートされ、多機能かつ使いやすく進化している。確かに、ナビの操作や各種設定へのアクセスも簡単で、レスポンスもよくストレスフリー。手袋をしたままでも操作可能というのも北欧ブランドらしい気づかいだ。
 そしてボルボといえばの安全機能についても充実している。初代のハイライトとなった自動ブレーキはさらに進化していて、自動車に加えて歩行者や自転車、大型動物も検知。さらに衝突回避支援機能である「ステアリング・サポート」により、自動ブレーキだけで衝突を回避できない場合にはステアリング操作を自動的に補って障害物の回避をサポート(50km/hから時速100km/hで作動)。また、ドライバーが意図せずセンターラインを逸脱し、対向車と衝突しそうな場合にもステアリングを自動修正し、衝突回避を支援する。そのほか、交差点での右直事故を防ぐ「インターセクションサポート」などを搭載。これらの機能は、ボルボの自社チームが重大事故を検分し、それらを回避するべく開発されたもの。近年では多くの自動車メーカーが安全機能を充実させているが、長年取り組みを続けているボルボだけに、そのリアリティは極めて高い。

高度な運転支援技術でステアリング操作をサポート

 試乗したのは、XC60 T5 AWD Inscription。ガソリンエンジンの上級仕様で、販売においてもボリュームゾーンになると予想されるグレードで、価格は679万円。
 走らせてみて感心したのが、スタイリングのイメージと走り味がしっかりとリンクしていること。上質さは90シリーズと共通していながらも、よりドライバーとの一体感が高められていて、スポーティな走りが楽しめる。走りの奥深さ、実力というところでは同程度でありつつ、セッティングの方向性として60シリーズの走りには若々しさがあるのだ。これには試乗車に装着されていたエアサスペンションの恩恵も大きいだろう。オプション装備ではあるのだが、乗り心地のよさと走りのダイナミクスの両立はかなりレベルが高く、30万円のエクストラコストを払う価値は十分にあると言える。
 また、初代にはなかった機能として、先進運転支援装備の充実も見逃せない。いわゆる自動運転技術でいうレベル2相当の機能が盛り込まれていて、車速が140km/h以下で走行中に機能をオンにすると、「パイロット・アシスト」と呼ばれる車線維持支援システムがステアリング操作を修正し、クルマを道のセンターに維持してくれる。これは前走車がいない状態でも作動してくれるのだが、ドライバーが道に合わせてハンドルを操作しようとする動きを、クルマがそっと手助けしてくれるようなイメージ。ハンドルの操作量と操作する力が大幅に減るため、クルマを降りたときの疲れがまるで違う。

 XC60のラインアップは7種類で全車がAWD(全輪駆動)。装備レベルと搭載されるパワートレーンとによって分けられている。まず装備がベーシックグレードの「Momentum(モメンタム)」、スポーティな「R-Design(Rデザイン)」、上級の「Inscription(インスクリプション)」。搭載されるパワートレーンは、ガソリンが「T5」(254馬力、35.7kgm)、「T6」(320馬力、40.8kgm)で、ディーゼルが「D4」(190馬力、40.8kgm)。そしてハイブリッドの「T8ツインエンジン」(エンジン:318馬力、40.8kgm+前輪モーター:46馬力、16kgm+後輪モーター:88馬力、24.4kgm)。スタートプライスも599万円(XC60 D4 AWD Momentum、納車は2018年3月以降予定)からと、安全装備が全車で変わらないことを考えれば非常に意欲的な値付けとなっている。


ボルボ XC60 T5 AWD インスクリプション(8速AT)
全長×全幅×全高 4690×1900×1660mm
ホイールベース 2865mm
トレッド前/後 1655/1655mm
車両重量 1830kg
エンジン 直4DOHCターボ
総排気量 1968cc
最高出力 254ps/5500rpm
最大トルク 35.7kgm/1500-4800rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン/マルチリンクブレーキ前後 ディスク
タイヤサイズ前後 235/55R19

販売価格 599万円〜884万円(全グレード)

XC60 T8 Twin Engine AWD Inscription

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