新車試乗レポート
更新日:2018.11.09 / 掲載日:2017.11.16

メルセデス・ベンツ Sクラス 試乗レポート(2017年11月)

メルセデス・ベンツ Sクラス

ラグジュアリーセダンの王道として支持されているSクラスがマイナーチェンジ。進化のポイントは、運転支援技術の向上、そしてテレマティクス機能が新たに搭載され利便性が高められていることだ。

ハイテクのアップデートで盤石さに磨きがかかる

 輸入フルサイズサルーンの代名詞といえば、やっぱりメルセデス・ベンツSクラス。今日ではポルシェ・パナメーラやアストンマーティン・ラピード・ベントレー・フライングスパーがこのクルマの上級モデルの価格帯に参入しているが、Sクラスのポジションに揺るぎはない。齢五十路以上の方なら共感していただけるだろうが、Sクラスはほかの輸入車とは異なる孤高の存在なのだ。

 そんなS クラスの現行型は2013年にリリースされた。メルセデス好きが呼び合うところの“W222”型となる。そして今年マイナーチェンジ。最近のメルセデスの進化らしくエクステリアデザインをそのままに、パワートレーンや運転支援&安全系デバイスをアップデートしての登場となる。

 当然、それでも一部見た目は変わる。印象的なのはヘッドライトユニットに収まる3本の光ファイバーで、新デザインのマルチビームLEDと相まって新鮮さをアピールする。夜間走行時はもちろんのこと、昼間でも新型と認識できるくらい特徴的だ。そのほかではフロントのエアインテークの形状やリヤバンパー下部がデザインし直された。インテリアは外よりも変化がわかりづらい。横方向に伸びたなだらかな曲線を描くダッシュパネルはそのままで、高級サルーンらしいエレガントな雰囲気を醸し出す。

 ただインテリジェントドライブと呼ばれる運転支援装備は確実にアップデートされる。そもそもレーダーとカメラ、超音波を駆使して複合的に安全性を高め、自動運転的な動きを行うものだが、その細部がブラッシュアップされ使いやすくなった。たとえば、レーンキープやウインカーに反応するレーンチェンジアシストは、車線が不鮮明で検知できなくとも周囲のクルマやガードレールを読んで行える。また、自動緊急ブレーキは歩行者だけでなく、クルマの横からの飛び出しにも作動するというから頼もしい。

メルセデス・ベンツ Sクラス

 「メルセデスme」は注目の新しいテレマティクスサービス。これはクルマに通信機能を持たせることで、“24時間故障通報サービス”や“快適サービス”、“おもてなしサービス”を受けられるものだ。スマートフォンの操作でドアロックの開閉や車両の位置をアプリの地図上に表示したりできる。個人的には“リモートパーキングアシスト”が気に入った。スマートフォンの画面を指でクルクルまわすだけでクルマから降りて車庫入れできるのだから楽しい。

 ではインプレッションだが、クルマはS560 4MATIC ロングとS400を試乗した。前者が4L V8直噴ツインターボで、後者が3L V6直噴ツインターボというエンジンを搭載。最高出力はそれぞれ、469馬力と367馬力を発揮する。

 結論から言うと、そのたたずまいから乗り味、運動性能まで鑑みてS560 4MATIC ロングは素晴らしく、かつイメージどおりに仕上がっている。どこまでも乗り心地がよく、ソフトに乗員を包み込んでくれる。まさに王者の風格といった感じ。それに対しS400はスポーティさが前へ出てくる。ロングホイールベース直後の試乗であることも関係するが、キビキビ感がドライバーに伝わる。しかも、ステアリングに対する反応がいいため実際のサイズよりも小さく思えるのがいい。

 このほかにもメルセデスAMGやメルセデス・マイバッハもラインアップされる。広がるSクラスファミリーでライバルにさらに差をつけようとしているのだから、Sクラスの懐の深さはとてつもない。

文●九島辰也 写真●グーワールド
問い合わせ メルセデス・コール TEL:0120-190-610

Detail Check

メルセデス・ベンツ Sクラス

ショートホイールベースの全長は5125mm、ロングホイールベースは5255mmとなる。全幅はどちらも1900mm。タイヤは18インチを標準とする。

  • コクピット

    メルセデス・ベンツ Sクラス(コクピット)

  • コクピット

    センターとメーター位置にある2つの液晶モニターが印象的なメルセデスのコクピット。手元のコントローラーで操作できるので視線を動かさずに使える。アンビエントライトの種類は64色ある。

  • インテリア

    メルセデス・ベンツ Sクラス(インテリア)

  • インテリア

    S560ロングにはショーファーパッケージとフットレスト付きエグゼクティブリアシート、デジーノ・スタイルパッケージがオプションで用意される。快適さは言わずもがな。特別な空間が約束される。

  • エンジン

    メルセデス・ベンツ Sクラス(エンジン)

  • エンジン

    S560に積まれる4L V8ユニットは低負荷時に4気筒を休める機能を持つ。これにより二酸化炭素の排出量の軽減と省燃費を実現する。

  • トランクルーム

    メルセデス・ベンツ Sクラス(トランクルーム)

  • トランクルーム

    相変わらずの広さを持つトランクルーム。ワイドもそうだが、奥行きの深さは感動もの。開閉はもちろん電動式。キーで操作もできる。

  • 装備

    メルセデス・ベンツ Sクラス(装備)

  • 装備

    ダッシュのウッドパネルとアンビエントライトはドアトリムにまで大きく広がる。夜には効果は絶大。ドア内蔵のスピーカーもおしゃれ。

主要諸元:メルセデス・ベンツ S560 4MATIC ロング(9速AT)

全長×全幅×全高5255×1900×1495mm
ホイールベース3165mm
トレッド前/後1625/1635mm
車両重量2220kg
エンジンV8DOHCツインターボ
総排気量3982cc
最高出力469ps/5250-5500rpm
最大トルク71.4kg m/2000-4000rpm
ブレーキ前後Vディスク
タイヤサイズ前後245/50R18

全国メーカー希望小売価格(発売 2017年8月)

S400(9速AT) 1128万円
S560 ロング(9速AT)1646万円
S560 4MATIC ロング(9速AT) 1681万円
S600 ロング(9速AT)2331万円

※AMGを除く。


Body Color

 オブシディアンブラック イリジウム
 □ダイヤモンドホワイト カバンサイトブルー
 ルビーブラック エメラルドグリーン

※ほか4色。


運転支援技術がさらに向上 停止後の再発進が操作いらずに

  • 運転支援技術がさらに向上 停止後の再発進が操作いらずに

  •  最適な車間距離をキープしながら車線を維持し、加減速を繰り返すディストロニック・プラス。その進化版のアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックを搭載。自動再発進機能は停止後30秒以内であれば、ドライバーはアクセルを踏まずに再発進する。操作はステアリング上で可能だ。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ