車検は、基準をクリアしなければ通りません。そのため、整備を行ってから車検を受けるのが一般的です。そのときに「オイル交換は必須になっているのか」気になったという方がいるかもしれません。
オイル交換は、消耗品として自動車を安心して走行させるために重要な存在です。エンジンやブレーキ、オートマチックミッションなどで使用されています。年数が経過すると劣化し、性能も低下していきます。
今回は、車検時のオイル交換は必須事項なのか、交換時期はいつが適しているかを詳しく解説していきます。
車検時のオイル交換は必要なこと?
車検を通すときや定期点検をするときに、よくディーラーや整備工場で言われることがあります。それは「オイル交換しますか?」です。担当者から聞かれたことがあるという方も多いと思います。
なぜそのように言われるのかというと、車のオイルは重要な部位を保護しているからです。エンジンを円滑に動かすときに、摩擦を軽減することができます。
しかし、オイル交換は車検の検査項目には必ず記載されているものではありません。オイル交換を実施していなくても、車検を通すことは可能です。
車検に関してだけ言えば、必須でないことは事実ですが、車を長持ちさせ安全に使用するためには必要不可欠です。それでは、車のオイルについてどのようなものがあるか詳しく解説していきます。
車のオイル交換は3つある
車で使用しているオイルは、以下の3つがあります。
- エンジンオイル
- ブレーキオイル(フルード)
- オートマチック(CVT)オイル
一般的にオイル交換のイメージは、「エンジンオイル」が浮かぶと思います。ただ、その他にも基本的な自動車の動力や制御をしていく部分にも使用されています。
どのオイルについても、安心して運転していくためには必要なものです。各オイルついて詳細をお伝えしていきます。
エンジンオイルは、エンジン内のピストンなどのパーツを滑らかに動かす潤滑油としての役割を担っています。
自動車のエンジンは金属でできているため、エンジンオイルがない状態で動かすと摩擦も大きくなり、故障を引き起こしてしまいます。そのため、エンジンオイルに関しては、自動車を走らせるときに必要不可欠なものとして重要視されているのです。
それ以外にも大事な役割があります。
エンジンはガソリンを燃焼させることで力を動力に伝えますが、その際に熱も同時に発生します。エンジン内の温度が上がり過ぎないよう冷却できることも、エンジンオイルの役割です。つまり、オーバーヒートしない状態を維持させているわけです。
また、密封作用や洗浄作用もあるため、エンジンを継続的に良いコンディションを保つためにも必須なオイルとい言えます。
ボンネットを開けると、比較的見やすい場所にブレーキオイルのタンクがあります。
ブレーキをかけるときはペダルを踏んで、ブレーキオイルにより制動力を車輪に伝える役割をしています。
ブレーキオイルの成分として吸湿性が高いため、水分を取り込むとブレーキオイルの沸点が低くなってしまうことがあります。ブレーキオイルが沸騰すると気泡が出てきてしまうため、油圧が伝わりにくくなる可能性が高まり、ブレーキが効きにくくなります。
もしブレーキオイルが劣化していたり少なくなっていたりした状態で運転すると、最悪の場合、車を停止することができず事故を起こしかねません。そのためにも定期的な交換が必要になってきます。
オートマチック車で使用されているオートマチックオイルは、別名「オートマオイル(ATF)」とも呼ばれている、ミッションオイルです。
近年、市販されている自動車の9割近くはオートマチック車であるため、メンテナンスの提案をされることも多くなっています。
オートマチックオイルの役割は、動力の伝達やシフト制御、パーツの潤滑、トランスミッションの冷却などです。
使用年数や走行距離が増えてくると徐々に劣化が進み、変速機の金属粉が混ざり合い不純物が多くなります。劣化してくると自動車の発進や加速がスムーズでなくなったり、燃費が悪化したりすることが起こります。
交換の時期についてもメーカーによって適切な時期が異なっているので、専門業者に相談や依頼することが賢明です。
また、最近は無段階変速機(CVT)が普及しており、これに使用するオイルはCVTオイルと呼ばれています。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
オイル交換の目安は?
エンジンオイルの交換については一般的に走行距離5,000kmか半年で交換することが良いとされています。さらに、走行する場所も加味することが必要です。また、エンジンオイルの性能にも大きく左右されるので、オイルの品質もチェックしておきましょう。
しかし、そこまでオイル交換をしていないという方も多いかもしれません。
現状、若干期間を超えた場合でも動きますが、性能は低下することと、エンジン内を傷めることにも繋がりますので定期的な交換がおすすめです。
ブレーキオイルの奨励する交換時期は、10,000km~20,000kmまたは2年が良いとされています。
オートマチックオイルの交換は、メーカーや車種によっても異なりますが、概ね40,000km~100,000kmを奨励しています。
欧州車では、オートマチックオイルを交換不要としているメーカーもあるようです。しかし、安全に走行するためにも定期的な交換は必要だと言えます。
オイル交換の費用内訳は?
オイル交換の費用については、基本的にオイル料金と技術料になります。内訳に関しては、業者ごとに異なります。
相場としては以下のような金額になります。
- エンジンオイル交換・・・2,000円~8,000円程
- ブレーキオイル交換・・・5,000円程
- オートマチックオイル交換・・・15,000円~20,000円程
定期点検や車検のときに実施すると費用を割引してくれることもありますので、状況を考えながら行うと、費用を抑えることもできるでしょう。
オイル交換をしないと弊害はあるのか?
オイル交換について解説してきましたが、車検費用を少しでも抑えるために今回は交換しないという手もあります。しかし、自動車にとって欠くことのできない消耗品であることも事実です。
大きなトラブルにならないようにしなければなりません。そのため、オイル交換をしないことによる弊害はどのようなことがあるのか、知っておく必要があります。
次からは、車検前に知っておきたい、オイル交換の必要性について詳しくお伝えしていきます。
エンジンオイルの役割は潤滑油としての意味合いが強いですが、もう一つ大きな役割を担っています。それは、エンジン内で燃焼する際に発生する汚れを清掃する働きです。
長い間エンジンオイルを交換しない状態にすると、エンジン内部に汚れが堆積しエンジン本来の性能を発揮することが困難になり、最悪の場合エンジントラブルの原因になってしまいます。
また、エンジンオイルの減りが早いときには、漏れなども考えられ、エンジンが焼き付いてしまうこともあります。
これが、ディーラーやカー用品店の担当者が、交換をすすめる理由です。
エンジンを円滑に動かし、出力を向上させるためには、エンジンオイルは欠かせません。エンジン性能を維持するためには、どれだけ摩擦抵抗を少なくし気密性を高めるかにかかっています。
エンジンオイルが劣化したり少なくなったりしていると、潤滑作用も低下しエンジン内部の摩擦抵抗が大きくなります。そのことによってエンジンの馬力にも影響を与えてしまい、エンジンパワーの低下や燃費効率が悪化するかもしれません。
ブレーキオイルはエンジンオイルと同様、自動車の安全運転に必要不可欠な部分です。気を付けて見ておきたいことは、ブレーキオイルの色です。
新品状態のブレーキオイルは蜂蜜のような薄い黄色をしていますが、年数が経過してくると茶色く濁ってきます。
ブレーキオイルの性質として、空気中の水分を吸収する特性があります。したがって、水分を吸収してしまうと、ブレーキオイル本来の機能が低下し、ブレーキキャリパー内のピストンを押す力が弱まってしまうのです。
最悪の場合、ブレーキが効きにくくなり減速できなくなるかもしれません。
オートマチックオイルについては、エンジンオイルやブレーキオイルに比べて交換をする頻度は低いですが、交換は必要です。
動力を伝達する役割を担う部分として重要ですので、オートマチックオイルが劣化してくると、燃費の悪化や加速性能の低下をもたらします。
最悪の場合、オートマチックミッションが故障すると高額な修理必要がかってしまうこともあるため、そうなる前にオートマッチクオイルの交換を視野に入れておきましょう。
さらに長い間オートマチックオイルを無交換で乗り続けてきた場合は、交換時に注意しなければなりません。交換することでオイルの粘度の違いにより、トランスミッション内の汚れが剥がれ、不具合を起こすこともあります。
特に、オートマチックトランスミッションは自動車の部位でも繊細な箇所です。交換については闇雲に決めるのではなく、専門業者やディーラーに相談しながら実施すると良いでしょう。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
車検で慌てない!エンジンオイルの日常点検方法
車検や定期点検でオイルを交換する必要性は理解できたかと思います。しかし、交換のタイミングは自分で考えたいと思っている方もいるかもしれません。
その際に、自分で点検や確認を行いたいという方もいるでしょう。確認方法はそれほど難しいことではありませんが、やり方を間違えてしまうと思わぬトラブルを引き起こしてしまうこともあります。
次からは、エンジンオイルの日常点検とその方法について詳しく解説していきます。
点検する際に重要なことは、エンジンを切った状態で行うことです。つまり、運転前に行うことが望ましいです。
なぜならオイル量の測定を行う場合、エンジンが稼働していないときに正確に測れるからです。
また、運転後に行うときは、エンジンが冷めてから行うことをおすすめします。守らずに行うとオイルが高熱になっており、火傷をする恐れがありますので注意が必要です。
安全走行するために、日常点検を行うと思いますが、外回りの確認やエンジンルームのチェック項目にオイル量の確認もありますので、適時行うと良いでしょう。
エンジンオイル量を測定するものとして、オイルレベルゲージがあります。
エンジンのところを見ると、輪の持ち手がついた棒があるはずです。国産の乗用車であれば黄色の取っ手になっていることが多いでしょう。
エンジンオイルの確認方法は次のように行います。
オイルレベルゲージを抜き取り、布などを使って拭き取ってから、再度差し込みます。その後もう一度抜き取ると、オイルレベルゲージに付着したエンジンオイルを確認できます。先端部分に上限と下限の印が付いていますので、その範囲内にあれば量に関して問題ない状態です。
エンジンオイル量をオイルレベルゲージに付いている状態を見て確認します。
エンジンオイルの交換時期ですが、目視を行い判断しましょう。判断のポイントは色です。色を見ることでオイルの状態は分かります。
色はオレンジ色から少し茶色がかかっている状態であれば正常です。しかし、黒色になっているときや、濁っている場合は交換時期の合図です。オイルの劣化や金属粉が混じった状態になっています。
エンジンオイルの場合は、同時期にオイルフィルター交換もオイル交換の2回に1回はしておくと長持ちします。これはオイルフィルターを通すことで、エンジンオイルをろ過することができるためです。こちらも交換していないと詰まってしまい、故障の原因となりますので定期的な交換をおすすめします。
目視を行い交換時期を確認することで、エンジンの性能を低下させずに済みます。
エンジンオイルは大きく3つの種類に分類されます。
- 全合成油
- 部分合成油
- 鉱物油
これらをベースにしたオイルがあります。
その他、粘度の違いもあり、エンジンの形状によって使うオイルも変えなければいけません。
例えば「全合成油」は原油をエチレンガスに分解して、エンジンの潤滑に必要な成分を合成したオイルです。温度による粘度変化も少なく、劣化しにくいので高品質な状態を維持できます。
また「鉱物油」はコストが低く、一般的に普及しているオイルです。性能としては酸化や揮発は早い部分があるものの、低価格が魅力です。劣化するスピードが早いので、定期的に交換が必要になります。
「部分合成油」は全合成油と鉱物油をブレンドしたオイルで、双方の良さを取り入れています。粘度についても低粘度のエンジンオイルは、粘性による抵抗が少ないので、寒いときでも始動性に優れ、燃費が良くなる特徴があります。
高粘度のエンジンオイルは、気密性に優れているのでエンジンを保護する性能が高いというのが特徴です。品質規格にも影響をするところですので、自動車にあったエンジンオイルを選ぶ必要があります。
エンジンオイルは車の寿命を左右していると言われてます。そのため、適切なタイミングでオイル交換を行うことは、車の維持するために欠かせない作業です。
自分でエンジンオイルの状態を確認することはできますが、交換のタイミングを図ることはなかなか難しいところがあります。その際には、プロの専門業者に依頼することも重要になります。
適切なタイミングでエンジンオイルを交換して車を長持ちさせるには、技術も必要です。そのことを考えると安心して自動車を運転するためには、専門業者のアドバイスが必要なことかもしれません。
オイル交換は車検時か車検前に
オイル交換は車検をするときに一緒に行うことも可能です。車検と整備を一括ですることで、費用を抑えられる場合もあります。
しかし、オイル交換は車検前に済ませておくことにもメリットはあります。それは、オイルの種類や業者を選ぶことができるという点です。
上記でもお伝えした通り、エンジンオイルは特に車を維持するために大きなウエイトを占めています。そのため、どのようなオイルを使用するか確認しながら選択することは安心できる材料にもなります。
ご自身の車の状況に応じて、少なくとも車検時には交換しておく、もし余裕があれば、適切な交換のタイミングで行うのがおすすめです。