車の車検というと2、3日はかかるのが一般的です。
しかし、60分で完了する車検もあります!60分車検というのはどのような内容なのか、どこでやってもらえるのか興味を持つ人も多いかもしれません。
そこで、60分車検の特徴や費用、60分車検を実施している業者などを詳しく探っていきます。60分車検を受けてみたいという人必見です。
60分車検とは?
60分車検というのは、「スピード車検」とも呼ばれており、約1時間で受付から検査までの全てが完了するという車検です。
車検というと、ディーラーなどでは代車を用意するくらい日数がかかるイメージがあるかもしれません。
しかし、車検専門店やカー用品店では時間のないユーザーのために約1時間で終わる車検コースを設けています。また、ディーラーにも60分車検のコースができました。
長時間かかる車検がわずか1時間で終わるということで効率的であり、しかも費用もリーズナブルということで人気が高まっています。
車検は60分で可能なのか?
元は2、3日かけて行う車検が本当に60分という短時間できるのかと信じがたいものです。
車検を行う整備工場などでは、車検の請け負いのみで営業している所はほとんどありません。整備依頼や中古車の販売など仕事は様々です。
数名のスタッフで仕事を分担して、同時進行で複数の整備依頼などに対応していきます。そのため、車検に数日かかる場合もありました。
しかし、他の整備や顧客の対応と車検を分けて考え別々にスタッフを専任にすることで、車1台にかける車検に時間を短縮できるようになったのです。
さらに、道路交通法の改正により規制が緩和されたことも、スピーディーな車検を可能にしたと考えられます。これまでより車検時の点検項目が減らされ、短時間で車検を完了させる、新たな車検が制定されました。それが、「ニューサービス車検」です。
また、車検前に行われる24ヶ月点検も、点検項目が半分近くにまで削減されています。このように、規制緩和や生産性の向上が、車検時間の大幅短縮を可能にしました。
車検は年式が新しい車なら、整備自体は簡単で短時間で済みます。車検証の更新作業を行うのに時間を要するため、車検には数日かかるとされています。
車検に合格すると、保安基準適合標章(通称:保適)という仮の車検証が発行され、14日間は車に貼り付ければ通常通り運転することはできます。
また、陸運局に必要書類を持参して、新しい車検証の発行手続きをしなければなりません。陸運局が遠方にあると、手続きをしにくいだけでも数時間かかってしまうので、車検を行った日に新しい車検証をユーザーに渡すのは難しいとされています。
また、効率性を考えて、例えば2日間で行った数件分の書類をまとめて陸運局にもっていき手続きすることもあります。そのため、特にディーラーなどでは車検後の車の引き渡しまでに数日の猶予を設けていると考えられます。
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60分車検のメリット
60分車検には色々なメリットがあります。
まず、何と言っても車検がスピーディーに終わるという点です。
ディーラーなどで通常の車検を依頼すると、数日かかることもあるので車を預けなければなりません。またカー用品店などでも数時間待たされることもあるでしょう。
60分車検なら少し待つだけで車検が終わるので、効率的です。車検に立ち会える場合が多いのも魅力となっています。
通常は点検後にメンテナンス箇所を説明し、整備するという流れが多いです。その時間を省略し、点検と整備箇所の説明を同時進行することで目で確認しながら整備してもらえるので安心感があります。
また、代車を借りなくて済むのもメリットの一つです。車検日に車検が終わるので車を預ける必要がないため、運転しなれない代車を使わなくて済みます。
60分車検のデメリット
60分車検のデメリットとしては、予約した時間を必ず守らなければならないという点です。
車検業者側は、売り上げのためにも1日の車検スケジュールを1時間単位で隙間なく組んでいる場合も多いです。予約時間前後に別の車の車検予約が入っているとすれば、少し遅れただけでもスケジュールがずれ込みます。遅れることで後回しにされて、60分では終わらないかもしれません。
また、一応60分車検となっていますが、点検でメンテナンス箇所が多ければ予定通りに終わらないこともあります。整備に時間がかかれば60分以上の時間を費やす可能性があることも頭に入れておきましょう。
60分車検であっても、車が国の定める保安基準を満たしているか検査はします。しかし、最低限の検査になるため必ずしも整備が十分行き届いているかというとそうではありません。
また、車検項目外の部分は基本的には見ないので、整備が不十分で車検後にトラブルが起こるリスクもゼロではないことも理解しておくべきです。
60分車検にするかの判断基準
車検を受ける際に、スピーディーに終わる60分車検にするか通常の車検にするか迷うところです。
判断基準としてはまず、「登録年数」が挙げられます。まだ新車で登録年数が新しい車は部品の劣化や摩耗も少なく、機能性が損なわれていないので60分車検でも問題ないでしょう。一方で、登録年数が古い車は部品の劣化がみられるので、60分車検では不安な面があります。
さらに、「走行距離」もポイントです。車の平均走行距離は1年で約1万㎞だとされています。しかし、普段から車を使う機会が多い、遠距離通勤や通学している人だと走行距離が1年で1万㎞以上となる場合もあります。走行距離が平均よりも多いとエンジンや足回りなどへの負荷も大きいので、通常での車検できちんと整備してもらった方が安心です。
また、「エンジンの音」にも注目してみましょう。エンジンに異音がする場合も登録年数に関わらず、通常の車検で細かく整備してもらうべきです。エンジンは車の要なので、故障すると修理代がかなり高くつくかもしれません。
新車で購入すると、3年後に1回目の車検を受けることになります。
購入から3年しか経過していないとなると、走行距離が3万㎞よりも少ないことも多いです。部品も新しく、さほど劣化もみられないなら、通常の車検のような綿密な検査は必要ないと言えるでしょう。
しかし、新車の1回目の車検でも、細かく整備を行い、少しでも劣化している部品を交換してしまう車検業者もいます。車の整備に関する知識がない人だと、業者に言われた通り交換の必要のない部品まで交換することに同意してしまうかもしれません。そうなると、無駄に費用がかさむ原因となります。
ただし、エンジンに異音がするなど不安要素がある場合は、通常車検にした方がいいのでよく検討してみましょう。
1回目の車検が終わると、次は2年ごとに車検を受けることになります。つまり、新車で購入してから5年後に2回目の車検がきます。
2回目の車検も車に目立ったトラブルや不具合がみられないなら、60分車検でも問題ないでしょう。ただし、走行距離が5万㎞を超えている場合は、エンジンへの負荷も大きく、部品の劣化などもみられるはずなので通常の車検をおすすめします。
日頃から定期的にオイル交換などのメンテナンスをきちんと受けていれば、最低限の検査でも一般的には車の性能には影響はないと考えられます。メーカー補償は5年10万kmとされていることも多いので、不具合箇所が見つかれば部位にもよりますが無料で直してくれるかもしれません。
2回目の車検が終わると、次は2年後に3回目の車検を受けることになります。
3回目の車検は新車購入から7年目になるので、車の部品にも劣化や摩耗がみられ、交換の必要が出てくるでしょう。そのため、3回目の車検は60分車検では点検、整備が不十分だと言えます。
普段からオイル交換を定期的に行うなどこまめにメンテナンスしていても、エンジンやブレーキなどの車の主要箇所にトラブルが発生する可能性があります。
また、60分車検を受けたとしても途中で部品などに不具合が見つかると、修理や交換が必要となり時間がかかることにもなりかねません。さらに、その分費用もかさむので結局通常通りの車検を受けた方がよかったという結果になってしまいます。
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60分車検と通常車検の費用の比較
車検費用は、「法定費用」「車検基本費用」「部品交換費用」に分けられます。
税金や保険料を含む法定費用はあらかじめ金額が決まっており、通常の車検と60分車検では差がありません。業者の手数料が含まれる車検基本費用や部品交換費用は、業者によって違います。
車検業者というのは、「車のディーラー」「車検専門店」「カー用品店」「ガソリンスタンド」「整備工場」などです。
車検費用は、車種や整備が必要な箇所によって違ってきます。ディーラーでは軽自動車でも、約8~10万円、普通車だと10万円以上は車検費用がかかるとされています。
60分車検にすれば、部品交換箇所が減るだけでも少なくとも1~2万円位は安くなることが多いです。同じように、カー用品店や車検専門店でも60分車検の方が数万円ほど安い料金設定になっています。
もちろん、点検して整備が必要な箇所が見つかればそれ以上に費用がかかる可能性もあることは覚えておきましょう。
各ディーラーや車検専門店の60分車検
60分車検というと、車検専門業者が行っている特別な車検プランのように思われがちです。確かにコバックやホリデー車検などの車検専門業者では最短で45分、30分という短時間での車検プランがあります。
しかし、トヨタやダイハツなどのディーラーでも最短で45分からという短時間車検プランがあり、他にも大手のカー用品店オートバックスでも60分車検プランを提供しています。
60分車検も、車種などによって費用が異なるので注意しましょう。主に車検専門店やカー用品店の60分車検の費用は、軽自動車なら約4万~5万円、普通車だと約6万~8万円前後が相場となっています。
ディーラーでは、車検専門店などの比べると数万円高い設定です。ただし、ディーラーの場合はメンテナンスパックに入っていれば、車検費用を事前に支払っているためさらに安くなる場合もあるので、一概には言えません。
ダイハツには。ワンダフルクイック車検という60分車検コースがあります。車の預かりから引き渡しまでが最短60分というスピーディーさが魅力です。
車購入時にLINE登録しておけば、車検時期にLINEでお知らせが届きます。お知らせからそのまま車検予約ができるので便利です。
予約時間に来店し、車を預けて受付してから車検の説明が行われます。その後、待合室に案内されます。
基本的には整備士が2名と検査員1名の3名で車検を進め、事務スタッフが必要書類の手続きを同時に行います。まずは車検の見積もりを作成するのでしばらく待ち、見積書を確認しましょう。
内容に同意したら、車検の開始です。ランプの点灯などの外回り、ハンドルの動きなどの室内、エンジンルーム、タイヤの溝などの足回り、下回りなどの準備点検が進みます。
点検後に整備士から車の状態の説明があり、必要があれば部品の交換などが行われます。車検費用の清算をしたら車を受け取り終了です。
ダイハツでも車検場のように検査ラインがある指定工場を併設していれば、陸運局に車を持ち込まなくても車検が完結できます。
トヨタでは最短で60分でできる待ち車検という車検プランがあります。待ち車検ではトヨタのディーラーもほとんどが車検場の検査ラインと同じ設備が備わっている指定工場となっており、車検場に持ち込まなくても車検が可能です。
待ち車検では、事前に車検日時を予約し、予約時間に車を預け、整備士が2名で1台の車の点検します。追加整備が必要な箇所については、その場で説明をされます。
整備が終わると検査員が車検項目を検査していくという流れです。問題がなければ検査が完了し、精算して車を受け取ります。
また、トヨタにはその場車検という、さらに短時間の45分で車検が完了するプランもあります。営業所によっては実施していないプランもあるのであらかじめ問い合わせておきましょう。
軽自動車に関しては待ち車検やその場で車検を行っていない場合もあるので確認が必要です。必要な追加整備箇所が多いければ、時間も延長してしまうことも覚えておいてください。
大手のカー用品店オートバックスは、60分もしくは最短で45分で完了する早技車検というプランです。早技車検は、ネットや電話からまずは日時の予約を行います。
予約日時に来店し、車を預けて必要書類を提出し受付している間に、整備工場で車検項目に沿って検査を実施します。保安基準をクリアしていれば、整備の必要性などの説明を聞き、精算をして車を受け取り完了です。
保安基準をクリアしていなければ整備の必要があります。部品交換費用がかかるので見積もりをしてもらい、部品の在庫があれば交換して再度検査を行い、保安基準クリアなら車検は終了です。
部品を取り寄せることになれば、次回の整備日程を予約することになります。新しい車検証はまだできていないので後日の受け取りになります。
車検証に代わる保安基準適合標証がもらい、フロントガラスに貼り付けましょう。
車検専門店のコバックでは、スーパークイック車検やスーパーテクノといった短時間の車検プランがあります。スーパークイック車検は、最短30分からで内容は56項目の24ヶ月法定点検と、車検項目に沿った完成検査を行います。
必要最低限の検査のみを行うので、整備や調整などは含まれません。その分スピーディーで費用もリーズナブルなのが魅力です。
整備がマニュアル化されており、無駄がないのでスムーズに車検が進みます。スーパーテクノは最短で60分からという車検プランです。
車検に必要なブレーキやライトなどの簡単な調整を含みます。立ち会い説明や、部品交換が必要な箇所の提示といったサービスも行います。
ただし、細かな整備などは行いません。車種によっては立ち会い説明が難しい場合もあるので注意しましょう。
ホリデー車検は、業界で初めて対話型立ち会い車検を実施した車検専門業者です。最短で60分という短時間での車検を実現しており、ネットや電話で車検日時を予約します。
その際、車両情報などを詳しく入力もしくは伝えることで事前に車の状態を把握し、陸運局への提出書類の準備も済ませてくれるのでスムーズに車検が行えます。数名の整備士が同時に分担して点検を行い、同時に検査が進むので、時間短縮が可能です。
立ち会いの元で、整備必要な箇所を説明してもらえます。車検項目以外の部品に関しては、その場で交換するか後日交換時期がきたら交換するかを選べます。
ただし、車検項目に関係する部品については当日交換しないと車検が通らないので注意が必要です。その後は待合室で待っている間に必要な整備が行われ、作業が終わると完成検査を行います。
完了したら再び作業報告がなされ、費用を精算して終了です。車検証は2週間以内に郵送されるので、当日は仮車検証として保安基準適合標章を受け取ります。
60分車検にするか、どの業者にするかを慎重に判断しよう
車の走行距離が1年につき1万㎞に満たない、年式が比較的新しい車なら部品の劣化や摩耗なども少ないと考えられるので、60分車検でも問題ないでしょう。60分車検にすれば、費用もリーズナブルなので経済的です。
ただし、年式が古くて走行距離も多い車の場合はきちんと時間をかけて点検、整備を行う通常の車検の方が安心です。費用を節約しすぎて車検後に車にトラブルが発生すると、余計に修理代が高くついてしまいます。
また、60分車検で済ませられるように、日頃から定期的なメンテナンスを怠らないようにしてください。60分車検を行う業者はいくつかあるので、費用や点検、整備項目などを比較して慎重に検討することをおすすめします。