新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2017.10.06

【試乗レポート】スイフトスポーツはクルマ好きを笑顔にする「サイコーな乗り物」だ

文と写真●ユニット・コンパス

 スイフトシリーズの新しいスイフトスポーツはサイコーだ。楽しくて、カッコよくて、所有欲がそそられるからだ。
 「サイコー」というのは「最高」とは違う。「最高」というのは、競合に対する相対評価であり、数値で表すことができるが、「最高」のクルマが「サイコー」のクルマとは限らない。事実、新型スイフトスポーツのスペックや各種の要素をリストアップして比べれば、上まわっているクルマがあるかもしれない。たとえば絶対的なボディ剛性や静粛性はそうだし、パフォーマンスだってスイフトスポーツよりも速いクルマは存在する。しかし、スイフトスポーツには強力な強みがある。それが、6速MT仕様で183万6000円、セーフティパッケージに全方位モニター用カメラパッケージをつけても198万720円という価格。ただ安いというだけでなく、走りが気持ちよくてルックスにも特別感があって、しかもお手頃価格というところが「サイコー」なのだ。「!」をつけて「サイコー!」と言ってもいい。

日常から非日常まで幅広く楽しめる身近なスポーツカー

 もう少し具体的にスイフトスポーツの走りについて報告しよう。先代から6年ぶりのフルモデルチェンジして3世代目となった新型。スイフトをベースとしながら、走りのポテンシャルを引き上げるというメソッドは同様で、専用エンジン、トレッドを広げ各部を強化した足まわり、専用チューニングのトランスミッションを備える。広げられたトレッドに対応するべく前後のフェンダーはワイド化され、国内仕様としては初の3ナンバーボディとなっている。エンジンはエスクードに搭載される1.4L直噴ターボのK14C型を改良。ハイオク化でポテンシャルを引き上げたことに加え、点火系とターボまわりにチューニングを施し、アクセル操作への反応を高めている。
 
 スイフトスポーツの美点は軽さと強さの両立にある。これは最近のスズキ車に共通する美点で、新型スイフトスポーツでも新プラットフォーム「ハークテクト」と軽量衝撃吸収ボディ「テクト」の採用といった骨格部分の進化に加えて、内装材やシートにまで至るという最適化が効いている。走らせても軽快さがあり、それでいながらリヤがよじれるようなヤワさも見せない。その印象を後押しするのが足まわりのしっかり感だ。スタビライザーやコイルスプリング、ブッシュ、ダンパーといったハイパフォーマンス化の定番メニューに加えて、ハブベアリングやトーションビームまでも専用品が与えられており、そしてこれが効いている。
 ノーマルのスイフトもコーナーを軽やかにクリアするクルマだが、スイフトスポーツのそれはより鮮やか。ステアリングに操作に対するコーナリングの軌跡がニュートラルで、多少のオーバースピード気味で侵入しても、何事もなかったかのようにクリアしてしまう。ロール角および速度が適切に抑えられているため切り返しでの身のこなしも非常に軽やかだ。

 エンジンがターボ化されたことで、スペックアップと引き換えにアクセルとのダイレクト感が失われるのではという心配があったが、これは杞憂だった。140馬力というパワーは峠道で遊ぶには十分以上にパワフル。これ以上パワーがあってもサーキットでしか楽しみにくいクルマになってしまうだろう。なにしろトルクに厚みがあるため走りやすい。そうした絶対的なパフォーマンスの高さはもちろんだが、ステアリングを通して手のひらに伝わってくる手応えがしっかりしているところが好印象。操作に対してクルマが正確に反応してくれるからこそ、ドライバーはクルマの運転をスポーツとして楽しめるからだ。もうひとつ印象に残ったのがマニュアルトランスミッションの出来のよさで、節度に優れていることに加えシフトストロークが適切であるため、コクッコクッと小気味のいい操作が楽しめる。
 

 スズキにとって旗印となる存在だけあって、開発に携わるエンジニアたちも、ついつい力を入れすぎてしまうというスイフトスポーツだが、確かにそういった強いこだわり、作り手の気持ちが走っていて感じられるクルマだ。なにより共感できたのは、パフォーマンスを追求しながらも、走りのステージをサーキットではなく一般道としているところ。タイムが出るクルマが乗って楽しいクルマかと言うと、必ずしもそうではないからだ。赤をテーマカラーに使ったインテリアのパネルがグラデーションになっているのは、スイフトスポーツが日常から非日常まで、幅広く楽しめるクルマだという作り手のメッセージである。

スズキ スイフトスポーツ(6速MT)
全長×全幅×全高 3890×1735×1500mm
ホイールベース 2450mm
トレッド前/後 1510/1515mm
車両重量 970kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1371cc
最高出力 140ps/5500rpm
最大トルク 23.4kgm/2500-3500rpm
JC08モード燃費 16.4km/L
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 195/45R17

販売価格 183万6000円~190万6200円(全グレード)

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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