新車試乗レポート
更新日:2018.11.28 / 掲載日:2017.07.14

【試乗レポート】ホンダ フィットがマイナーチェンジで予想以上のレベルアップ

ホンダ フィット ハイブリッド L ホンダセンシング FF

文●ユニット・コンパス  写真●川崎泰輝

 2013年に発売された現行の3代目フィットが、2017年6月末にマイナーチェンジされたので早速試乗してみた。新しくなったフィットのメイントピックは、大胆に変更された「デザイン」と安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」の搭載だ。しかし、改良はそれだけにはとどまらず、インテリアの質感から、エンジンの改良や空力特性、さらには静粛性にまでおよぶ全体的なレベルアップとなっている。


個性を強くアピールするデザイン

 まずスタイリングの面では、フロントバンパーだけでなくリヤバンパーの形状も変更し、重心が低くワイドな外観に仕上げられている。流行であるインラインタイプのLEDヘッドライトも採用し、新しさやスポーティさもアピール。より個性が鮮明になったエクステリアはインパクトも十分で、「フィット」の根幹をなすアクティブなイメージにもリンクさせた絶妙な造形だと感じられた。加えて、フロントピラーやフロントバンパースポイラーの形状は、燃費を低減するために最適化されたという。


インテリアの質感向上で、より快適に

 今回のマイナーチェンジでは室内とラゲッジのスペースには変更がないとのことだが、試乗してみて、現行のフィットがデビュー当時すでにライバルたちを「圧倒的な広さ」で凌駕していたことを改めて認識させられた。燃料タンクを車体下部の中心(前席下)に配置する独自の「センタータンクレイアウト」は、広い室内空間に加え、後席を倒すことで低くフラットな床をもたらす。クラストップレベルとなるラゲッジスペースは、ちょっとした家具も積めそうで、フィットがコンパクトモデルであることを忘れてしまいそうだ。このコンパクトモデルのスペース効率は、依然として申し分ないレベルにある。

 上質感にこだわった「ハイブリッド L ホンダセンシング」には、レザー調で肌触りのよい素材を使用する「プレミアムブラウン・インテリア」が設定されている。シートやステアリングホイール、ドアパネルパッドなどにブラウンが配色される。統一感のあるカラーコーディネートが、落ち着いた雰囲気を生み出す。

 静電式タッチパネルのナビは非常に見やすく、直感的な操作が可能で、ドライブをさらに快適なものとしてくれるだろう。次世代のインターナビとして、スマートフォンをUSB接続しての音楽再生や通話、マップアプリケーションの操作などを、ナビ画面や音声で行える「Apple CarPlay」や「Android Auto」にも新たに対応しているという抜かりのなさだ。


安全運転支援システム「Honda SENSING」を搭載

 今回のマイナーチェンジで、もっとも注目を集めたトピックのひとつが、安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」の搭載ではないだろうか。ホンダの最新ラインアップに順次導入が進められている先進のセーフティ技術だが、ついにコンパクトモデルもカバーされることとなった。高精度を誇るミリ波レーダーと高性能単眼カメラが車両前方の状況を認識し、未然に事故を防ぐシステムは、万が一の際に大きな安全と安心をもたらしてくれる。アクセルやブレーキ、ステアリングを総合的にコントロールすることで、衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、路外逸脱抑制機能、さらには時速30km~115kmという広い範囲内で前走車との車間距離を適切に保つアダプティブ・クルーズ・コントロールなど、ドライバーの負担を軽減し快適な運転をサポートする多彩な機能が盛り込まれている。セーフティ性能の進化は劇的なものといえる。Honda SENSINGはトヨタの「Toyota Safety Sense C(トヨタ セーフティ センス C)」と並ぶ高性能が特徴で、Honda SENSINGをきっかけにフィットの購入を決断するというユーザーも多く見込まれる。




パワートレインも改良される

 走りの質と燃費をさらに改善する目的で、今回はパワートレインの改良も行われている。試乗したのはハイブリッドモデル(ハイブリッド L ホンダセンシング FF)だが、ガソリンモデル、ハイブリッドモデルに積まれるエンジンのいずれにも、燃焼性の向上やフリクションの低減などのチューニングが施されている。その結果、ハイブリッドモデルは「37.2km/L(JC08モード)」という低燃費を実現している。実際に運転してみると、力強くスムーズに加速し、燃費だけを追い求めてはいないことが理解できる。試乗したコースは横浜の市街地がメインだったが、終始、自然な挙動で快適なドライビングを行えた。ストップ&ゴーを繰り返す環境だが、快適性はこのうえない。


 じつは今回、ホンダがフィットにかける「快適性」へのこだわりも印象的だった。新型フィットはシャシーにおいても進化したが、それは走りの質感と快適さにあらわれていた。軽量なボディにトルクフルなパワーユニットが積まれているので、あらゆる場面で軽快な加速を見せてくれる。それはある意味予想どおりであったが、驚かされたのはドライビングフィールの豊かさと車内の静かさだ。ボディ剛性感を高めるために、各部に補強材が追加されているのだ。センターパネルまわりをはじめ、リヤダンパーベースやステアリングギヤボックスステーの板厚を向上するなど、その数は10カ所近くにもおよんでいる。またステアリングベアリングの剛性を強化し、ダンパーの減衰特性を最適化、ブレーキングやハンドリングのフィール、乗り心地のさらなる改良も実施されている。静粛性に関しては、車体用の制振材料であるメルシートの板厚を向上させ、ボディ各部の吸音・断熱材を厚くしたり、遮音ガラスなども採用されている。

 輸入車のコンパクトモデルが次々と戦略的なプライスで登場する今日、ブランド間の競争は熾烈さを増している。発売されて4年目を迎えようとしているフィットだが、今回のマイナーチェンジにかけるホンダの意気込みは並々ならぬものだった。大きな「レベルアップ」を達成した新しいフィットは、多くのひとにジャンルを超えた満足感を提供してくれることだろう。


【ホンダ フィット ハイブリッド L ホンダセンシング FF(7速AT・DCT)】
全長          3990mm
全幅          1695mm
全高          1525mm
ホイールベース     2530mm
重量          1080kg
エンジン        直列4気筒DOHC+モーター
総排気量        1496cc
エンジン最高出力    110ps/6000rpm
エンジン最大トルク   13.7kgm/5000rpm
モーター最高出力    29.5ps/1313-2000rpm
モーター最大トルク   16.3kgm/0-1313rpm
サスペンション前/後  ストラット/車軸式
ブレーキ前/後     Vディスク/ドラム
タイヤ前後       185/60R15
販売価格        142万8840円~236万7360円(全グレード)

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