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更新日:2018.11.11 / 掲載日:2017.07.14

キャデラックXT5は若い世代を意識した新しいアメリカンSUVだ

文●工藤貴宏 写真●川崎泰輝

 いま、乗用車のなかでもっともブレイクしているジャンルはSUVだ。世界中で販売ボリュームが拡大していて、小さなサイズから大きなサイズまで、シンプルで質素なタイプからプレミアムなモデルまで百花繚乱の様相である。
 しかしその歴史を紐解けば発祥はアメリカ。歴史でも販売台数でもSUVの本場はアメリカなのだ。そんなアメリカからやってきたラグジュアリーSUVが今回発表された「キャデラック・XT5」である。

キャデラック XT5 クロスオーバー

 キャデラックといえば「ビースト(BEAST=野獣)」と呼ばれるオバマ前大統領やトランプ現大統領の専用車をはじめ、多くの大統領の愛車としてもつかわれていた、アメリカを代表する伝統的な高級ブランド。日本でも「アメリカ製の高級なセダン」というイメージが強いが、21世紀に入ってからキャデラックは「セダン専門ブランド」から脱却している。XT5はそのSUVシリーズに加わる新たなモデルというわけだ。

 キャデラックの新しい車名付けの法則によりSUVを意味する「XT」と車両サイズを示す「5」を組み合わせて「XT5」となったこのモデルだが、実質的には「SRXクロスオーバー」の後継車。2015年11月にロサンゼルスモーターショーでワールドプレミアとなったあとに本国で発売されて、7月13日に日本で発表。発売はもう少し先で、今年の10月下旬からデリバリーがはじまるという。
 グレードは税込み価格668万2500円の「ラグジュアリー」と754万9200円の「プラチナム」の2タイプ。パワートレインはどちらも共通で3.6リッターの自然吸気V6エンジンに電子制御4WDシステムを組み合わせたもので、4WDは状況にあわせてエンジンのすべての出力トルクをフロントまたはリヤに100%伝達可能。また後輪には電子制御デフが備わり、左右いずれかのホイールにトルクの100%を伝えられるというから凝っている。

 パワートレインは全車共通なので、グレードの違いは装備内容の違いとなる。前方の自動ブレーキ、フロントパワーシート、BOSEオーディオシステムなどはベーシックグレードの「ラグジュアリー」でも標準装備。上級グレード「プラチナム」になると、シート表皮がセミアニリンレザーになるほか、タイヤサイズが18インチから20インチに、クルーズコントロールがレーダー追従式に、エアコンがデュアルからゾーンに、メーター内カラー液晶が5.7インチから8インチへ、そしてオーディオがプレミアムタイプへアップグレードされ。後方の自動ブレーキ、全方位モニター、リヤカメラミラー、ヘッドアップディスプレイ、フロントシートベンチレーション、リヤシートヒーター、減衰力調整式サスペンションなどが組み込まれる。グレードの価格差は80万円以上あるが、満足感を得られるのは圧倒的に上級グレードの「プラチナム」であることに間違いない。ちなみにカーナビは車載されておらず、標準装備の「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応した8インチタッチスクリーンにスマホを接続して、スマホのアプリを活用することになる。この価格帯のクルマなのに車載ナビが組み込まれていないというのは思い切った決断だが、iPhoneを接続した場合はsiriを音声入力として使えるし、最新の地図へのバージョンアップが簡単にできるなど、スマホ世代にとってはメリットがあるシステムと言えるだろう。

 プレス発表会にニューヨークのキャデラック本部から駆け付けたグローバル・キャデラックCMOのウヴァ・エリングハウス氏は「今後は高級車の購買層が世代交代して若い層になる。そのためラグジュアリーブランドは次の世代に向けて作っていく必要がある」という。それはブランドイメージやデザインに関しての部分が大きいだろうが、スマホを前提としたインフォテイメント系の作り込みなどもその一例といっていいだろう。

  • グローバル キャデラック CMO ウヴァ エリングハウス氏

  • ゼネラルモーターズ ジャパン 代表取締役代表 若松 格氏

 室内は広いだけでなくラグジュアリー。妖しく煌びやかな雰囲気はさすがだ。メッキをふんだんに使って木目とコーディネートしたギラギラ感は、アメリカンラグジュアリーの真骨頂であり、モダンとか落ち着き、そしてスポーティ感といった欧州ライバルの味付けとはやはり違う。
 日本においてアメリカ車に乗るユーザーがアメリカ車を選ぶ理由は、決して「お買い得感」や「実用性」ではない。もちろん「燃費」でもない。日本車でもなく欧州車でもなくアメリカ車らしいことが最大の魅力であり、内外装にアメリカの息吹を感じられなければ日本において魅力的なアメ車とはなり得ないのは言うまでもないだろう。フォードの日本での売れ筋が「エクスプローラー」や「マスタング」だったように、大きな車体で強さの象徴でなければならないのだ。もちろんそんなアメ車のファンが年間数千人もいるわけではないニッチな市場なのだから、右ハンドルの設定がなくても大きな問題ではないだろう。そういう意味では、このXT5をはじめキャデラックは極めてストライクなモデルと言える。
 日本でのライバルをあげるとすれば国産車なら「レクサスRX」だろうし、輸入車であれば「BMW X5」や「ボルボXC90」となってくる。それらはどれも魅力的だが、骨の髄までラグジュアリーな雰囲気を味わおうとおもったら、やっぱりアメ車にはかなわない。XT5は、アメリカンラグジュアリーにどっぷりと浸りたい人向けのプレミアムSUVといえる。

 ちなみに、ボディサイズは全長4825mm×全幅1915mmでアメリカでは「ミドルサイズ」だが日本の道ではそれなりに大柄。グローバル・キャデラックCMOであるウヴァ氏よると「『XTシリーズ』としては今後XT5よりも“大きなモデル”と“小さなモデル”が予定されている」という。

  • パワーウーマンプロジェクトの紹介で登壇したスタイリストの亘つぐみ氏。

  • 同じく登壇したフォトグラファーの高安晶子氏。

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グーネットマガジン編集部

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