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更新日:2020.04.21 / 掲載日:2017.05.29

プジョー 3008がフルモデルチェンジで、独創的なスタイルとハイレベルな走りを披露

文●ユニット・コンパス  写真●澤田和久

 もともとSUVは、古くから世界中で人気のあるカテゴリーであった。セダンやワゴンよりもアイポイントが高く、広い室内と荷室を持ちながらスタイルはオシャレ。さらに高めの地上高に由来するオフロードの走破性能とオンロードにおける快適性の両立など、クルマとしての万能性を備えていることが大きな理由だろう。とくにここ数年はSUVブームがさらに白熱し、現在はジャガーマセラティ、アルファロメオのようなプレミアムメーカーまでもが参入するに至っている。そんななか、SUV市場への新規参入組のなかで注目すべきメーカーがプジョーだ。過去に欧州で、三菱アウトランダーのOEM車である4007や、コンパクトカー派生のクロスオーバー2008が存在するが、今回は独自に開発した新型3008をデビューさせたことで、群雄割拠のSUV市場へ本格的な参入を果たすことになったのだ。

 今回紹介する3008は、2代目に当たるモデル。では、初代3008はどんなクルマだったの? と疑問を抱く方もいると思うので補足しておくと、初代は本格SUVというより、クロスオーバーと呼ぶのに相応しいモデルだった。ハッチバックと比べ、全高にゆとりをもたせて室内の快適性を高めたパッケージングにより、実用性重視のミニバン(欧州的に言えばMPV)のような性格が強かったのである。しかし新型3008は典型的なSUVスタイルに変貌し、ライバルに遜色のない力強いデザインが与えられた。試乗会場で実車を目の当たりにすると、写真で見る以上に視覚的インパクトがある。長くてフラットなボンネット、高めのウェストラインには無骨な力強さがある。一方ボディサイドから眺めてみると、ドアシル下部にアーチ上のクロームトリムが与えられており、このおかげで前後フェンダーが力強く盛り上がるように見える。それはまるで鍛え抜かれたアスリートの筋肉のような有機的造形である。またシャープな形状のヘッドライト、獅子の鉤爪を表現したという3D LEDリヤコンビランプのデザインは、過去のどのプジョーよりも洗練された印象を与えてくれる。同社のスポーティでエレガントなブランドイメージを損なわず、まったく新しいデザインを提案してきたことに驚きを隠せなかった。

プジョー 3008 GTライン デビューエディション。

リヤに向かいながらなだらかに上がるサイドライン。

多面体グリッドで構成されるグリルが強い存在感をアピール。

躍動感のあるサイドビュー。

 コックピットに乗り込んでみて、まず最初に感じたことは細部に渡る質感の高さである。インパネやサイドドアの一部にキャンバス生地が取り入れられ、これがとても洗練されたイメージを与えていた。また新型3008から新世代の「i-Cockpit」が導入されており、知性を感じさせる秀逸なデザインが大きな特徴。ステアリングは上端と下端が水平にカットされて小ぶりなサイズとなったことでメーターの視認性が向上し、足もとのスペースにもゆとりが生まれた。インパネ中央部には12.3インチのデジタルディスプレイが配置され、目的に合わせて4つのモードが選べる。このディスプレイは解像度が高く、ドライバーの方に向けて角度が付いているため、必要な情報が分かりやすいのが好印象だ。そしてなにより、シートのつくりが非常によい。たっぷりとボリュームのあるサイズで、サイドサポートもしっかりしている。今回の試乗では叶わなかったが、これならロングドライブに行っても疲れにくいはず。シートのタイプは全車テップレザー&ファブリック(ドライバーや乗員に接する中央部分のみがファブリック)が採用され、「GTライン デビューエディション」のグレードのみ「スポーツ」と呼ばれる専用デザインとなっている。そのほか、パノラミックガラスルーフが、限定車「デビューエディション」の全モデルに標準装備されている。前半分がスライドしてオープンにできるので、これからの季節にぴったりだ。紫外線や熱線をカットする特殊なガラスが使用されているのもうれしい。

サポート性とデザイン性が印象的なシート。

後席は足もとのスペースに余裕がある。

 今回のフルモデルチェンジにあたり、シャシーが新世代のものへと切り替えられた。「EMP2」と呼ばれる新プラットフォームは、軽量で高剛性なのが特徴。そこに積まれるのが最高出力165馬力を発揮する1.6L 直4ターボで、トランスミッションは6速ATが組み合わされる。駆動方式は前輪駆動のみだが、「アドバンスドグリップコントロール」を採用することで、悪路でも心強い。このシステムは舗装路を走るための「ノーマルモード」のほか、雪道走行を想定した「スノーモード」、ぬかるんだ泥地を走行するための「マッドモード」、砂地走行を想定した「サンドモード」、そしてスタビリティコントロール(ESC)を解除するための「オフモード」から選べる。これに加え、急斜面の下りを走る際にブレーキを踏まずとも低速走行可能な「ヒルディセントコントロール」が加わったことで、あらゆるシチュエーションで安心の走りが楽しめるようになった。そんな背景もあり、プジョーが用意した試乗コースは、なんとオフロード。本格クロスカントリーではオフロードコースでの試乗は珍しくないが、カジュアルなSUVとしては異例のこと。コース上には草むら地帯、砂利、そして激しいアップダウンがあり、かなり過酷。にもかかわらず、3008はこの悪路を難なく走破してみせた。サポート性に優れたシートのおかげもあり、走行中も十分快適。オフロードといえば4WDが必須という既存概念が多くのひとにあると思うが、この程度のシチュエーションなら前輪駆動でも十分だと証明してくれた。とくに最近は燃費性能のハードルが高くなっており、SUVだからといって4WDの搭載が必ずしも最適解とは言えなくなっている。そういうプジョーの開発姿勢も新鮮に感じられた。そのほか、日本人には馴染みのあるトルコン式ATを採用しているため、国産車のようなカジュアルな感覚でドライブできるのも注目すべきところ。

ぬかるんだオフロードも軽快に走り抜く。

ダートや急な斜面でも頼もしさを発揮。

 なお、今回の試乗車はガソリンの1.6Lターボだが、プジョーは夏以降に2.0Lターボディーゼルの導入を正式に発表している。トルクフルなディーゼルの走りにも大いに期待が持てる。そしてさらに、3列シート仕様の5008も今後導入するという。激戦のSUVマーケットのなかで、プジョーの存在感は今後ますます大きくなっていくはずだ。
【プジョー 3008 GTライン デビューエディション(6速AT)】
全長4450mm
全幅1840mm
全高1630mm
ホイールベース2675mm
重量1500kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1598cc
最高出力165ps/6000rpm
最大トルク24.5kgm/1400-3500rpm
サスペンション前/後ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤ前後225/55R18
販売価格354万円~400万円(3008全グレード)

プジョー 3008のカタログ情報はこちら

プジョー 3008の取り扱いディーラーはこちら

  • タイヤサイズは前後ともに225/55 R18。

  • 1.6Lのガソリンターボエンジンの燃費は、14.5km/L(JC08モード)。

  • LEDポジションランプ点灯。

  • LEDヘッドライト(ロービーム)点灯。

  • LEDヘッドライト(ハイビーム)点灯。

  • ウインカー点灯。

  • 多面体グリッドが洗練された力強さを演出する。

  • ボリューム感のあるシートは、長距離ドライブでも疲れなさそうだ。

  • 通常時のラゲッジ容量は520L。

  • 最大で1482Lのラゲッジ容量は頼もしい。

  • 急斜面でも安定した走行を可能にする「ヒルディセントコントロール」のデモンストレーション。

  • ダートやぬかるんだオフロードは「マッドモード」で走行していく。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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