中古車購入
更新日:2018.11.06 / 掲載日:2009.02.24
スズキ アルトラパン 中古車購入チェックポイント(2009年02月)
スズキ アルトラパン中古車購入チェックポイント
参考車両:X
初年度登録:2004年4月
■全体のチェックポイント
まずは外装の傷や凹みを慎重にチェック。小さな損傷に目をとらわれて、修理跡などを見逃さないように。そして、記録簿とも突き合わせて整備状態を確認。内外装がきれいで定期点検整備を受けているようなら丁寧に扱われていた可能性が高いが、ほとんど整備してないような車両もあるので注意しよう。バンパーがちょっとずれているだけで他には問題がない、価格が安くなっている車両は、意外に買い得の場合もある。小さな痛みなどをどこまで我慢するかも「買い技」だ。
1.雰囲気から探る
やや離れた位置から、車両全体の様子を見てみよう。外装部品の立て付け、塗装面の状態、車両の傾きなど、どこかに異常な部分がないかチェック。
前面は、バンパー/ボンネット/グリル/ヘッドライトなどが並んでいるバランスと、左右対称になっていることを確認。後部も同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(レールライト)などのバランスをチェック。
ライト類の左右どちらか片方だけが新しい(交換している)場合は、単なるライトの破損などか、車体部の修理を伴っていないか、詳しく探る必要がある。
2.角度を変えると見える
2.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながら観察しよう。プレスラインや立て付けの狂いなども確かめやすい。斜め方向から透かして見ると、見落としやすい浅くて広い凹みや微小な凹み、あるいは波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、衝撃を受けているか板金修理跡だ。塗装面の色艶が違って見える部分も、傷を補修した程度の場合もあるが、修理跡の可能性もある。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
ゴムホースやベルトなど、消耗や劣化しやすい部品に注意してエンジンと周辺の状態をチェック。冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。オイル汚れや滲み(漏れ)にも注意。
新しく見える部品は、交換している疑いがある。故障や不良などか、消耗部品を交換しただけか、事故などでダメージを受けたのか、点検整備記録も探ってみよう。
4.車体内側の鉄板を調べる
左右フェンダー側のインナーパネルや室内側のダッシュパネルなど、車体内側の鉄板部も必ずチェック。溶接やシーラー、塗装(色が外板色と異なるのは新車時からだ)などの状態から修理や交換の形跡などがないか調べよう。
インナーパネルに大きなダメージを受けると、走行機能面に重大な不具合が生じる。特にサスペンションの取り付け部周辺を念入りにチェックしよう。
5.前部の必須チェックポイント
5.前部の必須チェックポイント
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートをチェックしよう。車体前部に大きな衝撃を受けると影響が及びやすく、ダメージを負う可能性が高い。修理/交換の形跡がないか調べよう。
左右フェンダー側の接続部、ラジエター本体、ヘッドライト、フロントグリルなど、周辺の様子や関連部品の取り付け状態もチェックしよう。
6.ボンネットのチェック
6.ボンネットのチェック
外面をチェックしたら、裏面に修理跡などがないかも探ってみよう。表裏2枚のパネルを接合している、特に先端部(車体前部)周辺が注意ポイントだ。
大きなダメージを負うと、外して修理、あるいは交換することもある。ヒンジ部のネジを脱着した形跡がないかも確認。
ボンネットを修理/交換している場合は、ボンネット単独の損傷も考えられるが、車体部を修理している可能性もある。
7.取り付けを確認
7.取り付けを確認
フロントフェンダーは、外観面だけでなく、取り付け状態もチェックしよう。固定ネジを脱着した形跡があれば、外して修理、あるいは交換している可能性がある。
フロントフェンダーは重要な車体補強部材とはなっていないので、修理している車両も修復歴車の扱いにはならないが、外して修理/交換するほどなら、大きな衝撃を受けていると考えられる。周辺にもダメージを負っていないか、修理/交換の形跡がないか、詳しく探る必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けを見る時は、例えば前部側面では、バンパー、ヘッドライト、フロントフェンダー、ドア、ピラー(フロントウインドウ部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、どれかがずれているか、修理/交換している(組み付ける際にずれた)可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装すると、色調が違って見えることがある。
9.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理、あるいは交換することも多い。ドアヒンジ部の取り付けネジをチェックしよう。ただし、ドアの立て付け調整のためにネジを回すことがあるので、ネジ脱着の形跡だけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー部(柱)やサイドシル(ドア下の梁)など、周辺も探って判断する必要がある。
10.接合部の状態に注意
10.接合部の状態に注意
サイドシル(車体左右の前後方向に通っている梁)の下部をチェックしよう。傷や歪み、修理/交換跡などがないか、特に下端(外側と床側のパネルを接合している部分)に注意しよう。
波打っているように見えるのは新車時からで、異常を判断するのに戸惑うところもあるが、スポット(溶接)に乱れがあれば間違いなく修理していると考えていいだろう。
11.縁の部分も確かめる
フェンダーは、ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)もチェック。パネルを内側に折り込んでいる角の部分に修理跡などがないか確かめよう。修理している疑いがあれば、傷の補修か、板金修理か、受けたダメージの程度と修理の範囲を確かめよう。
タイヤハウス内(フェンダーの内側)の部品などに付着した塗装の飛沫も、フェンダーの修理を推察するヒントだ。
12.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて開口部を見てみよう。乗り降りによって擦り傷や引っ掻き傷を付けることもあり、シートベルトの金具を挟み込んで傷付けてしまうこともある。リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理している車両には、マスキング跡が残っていることもある。
フューエルリッド(給油口カバー)も開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないか確かめよう。
13.テールゲートをチェック
13.テールゲートをチェック
閉めた状態を見て、立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体の歪みも考えられる。右左の片方だけに隙間の異常箇所があれば、その部分の車体部を修理している可能性が高い。
開閉の動きと閉まり具合も確かめよう。跳ね上げた時に下がってくるようならダンパーロッド(支え)がへたっている。きっちり閉まらない場合も、テールゲートのずれか、車体が歪んでいる疑いがある。
14.交換の形跡に注意
14.交換の形跡に注意
テールゲートに修理跡がないかチェックすると同時に、交換の形跡などはないかも確かめよう。取り付けネジの他に、ヒンジ部とその周辺に修理跡がないかもチェックしよう。
15.床の中もチェック
15.床の中もチェック
スペアタイヤ収納部に、歪みや修理/交換跡などがないかチェック。塗装跡があれば、錆などの補修跡か、あるいは修理跡か、周囲も調べて判断する。水溜まり跡があれば、水が浸入した原因を確かめる必要がある。
16.開口部の状態をチェック
16.開口部の状態をチェック
左右に見える鉄板の接合部も調べよう。溶接やシーラー、塗装などの状態から修理/交換の形跡がないか確認。
後方から強い衝撃を受けると、衝撃を吸収するものがない(前部にはエンジンがある)ので、キャビン(室内)やルーフにまで波及することがある。修理/交換の形跡があれば、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
17.床下をチェック
17.床下をチェック
車体の骨格となるフレームやメンバー(補強部材)、サイドシルなどの鉄板部にダメージを受けていないか、修理や交換の形跡などがないかチェック。
サスペンションやマフラー、ステーやアームなど、部品類や金具類に損傷や変形、交換の形跡などがないかも確かめよう。
ゴム部品の劣化(ひび割れなど)、油脂汚れ(オイルやグリスなどの漏れ)、錆の発生状態などにも注意しよう。
18.減り具合と減り方を点検
タイヤは、スリップサインを目安に、残り溝の深さをチェック。傷や異物の刺さり、ひび割れなど がないかも確かめよう。
溝が十分に残っていても、減り方も調べよう。接地面の内側だけとか外側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。偏摩耗は、前部インナーパネルの変形などで生じることもあるので、タイヤの減り方も車体の状態を知る手がかりになるのだ。
19.不具合の兆候を察知する
19.不具合の兆候を察知する
エンジンをかけて、始動状態やアイドリング回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
容易にエンジンがかからない場合は、バッテリーが弱っているだけなら問題ないが、他の部分に不具合があることも考えられる。
エンジン回転中に異音や大きな振動が出ているようなら、なんらかのトラブルを抱えている可能性がある。
20.装備機器の機能を確認
20.装備機器の機能を確認
ウインカーやライト類、ハザード、ワイパーなど、保安機器類の作動をまずチェック。
オーディオやエアコンなどの装備機器類は、調整機構も操作して機能を確かめよう。
エアコンは、寒い日でも必ず冷房の効きも確認。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯なども忘れずにチェックしよう。
グレードによる装備の違いやオプションの追加など、車両の装備は事前にチェックしておきたい。
21.オートマチックをチェック
21.オートマチックをチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、P→D、N→Rなど、各ポジションにセレクトレバーを操作して、引っかかりや緩み、切り替え時の大きなショックなど、異常がないか確かめよう。
できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激し過ぎる、アクセルを踏み込むと滑っている感じがする、繋がるタイミングが長過ぎるなど、走行時に不具合の症状が出ていないかも確かめたい。
22.室内を細かくチェック
シートや内装材などに、汚れや傷、染み、破れ、穴などはないか。運転席の周囲だけでなく、後席やラゲッジスペースまでしっかりチェックしよう。フロアマットの下や天井の内張などの異常も見落とさないように。
内装パネル、エアコンの通風口、収納ボックス、ポケット、トレイ、カップホルダーなど、各部の樹脂部品に傷や破損などがないか注意しよう。
■車両の情報をチェック
車体をチェックする前に、備え付けの書類を確認しよう。「車検証」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で保証内容と期限を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの説明書が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を調べよう。車両がどのように使われてきたかがわかり、定期点検や消耗部品交換などの時期や走行距離を把握しておけば、各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm 以下(新車時は5mm 以上が普通)、窪みが深い、2 度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。●モール類(フェンダーからドアにかけて線状繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
● 658ccエンジンは、54馬力の自然吸気、燃費と扱いやすさを重視した60馬力マイルドターボ(Mターボ)、64馬力ハイパワーターボの3種。トランスミッションは、コラムシフト4速ATを基本に、スポーツモデル(SS)にはフロアシフト5速MTも設定。駆動方式には、FF(前輪駆動)と4WDがある。
仕様グレードは、標準タイプとして、ベーシックな「G」、アルミホイールやスモーガラスとMD付きオーディオを追加した「X」、ルーフやホイールがホワイトの「X2」、ベンチシートを組み合わせた「L」を設定。
ウッド調のインテリアにメッキパーツを組み合わせた「モード」、Xをベースに電動開閉式のキャンバストップを設けた「キャンバストップ」などは、特別仕様というより、派生モデルとして扱われている。
ターボモデルには、Mターボの「ターボ」とハイパワーターボの「SS」があり、SSのほうは丸型ヘッドライトを装着するなど、外観も変更している。
●その後、2004年10月に一部改良◇2006年4月に一部改良◇2007年5月に一部改良◇2008年11月にはフルモデルチェンジしている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
G | CBA-HE21S | 4AT | FF |
ABA-HE21S | 4AT | 4WD | |
X | CBA-HE21S | 4AT | FF |
ABA-HE21S | 4AT | 4WD | |
X2 | CBA-HE21S | 4AT | FF |
ABA-HE21S | 4AT | 4WD | |
L | CBA-HE21S | 4AT | FF |
ABA-HE21S | 4AT | 4WD |
モード | CBA-HE21S | 4AT | FF |
ABA-HE21S | 4AT | 4WD | |
キャンバストップ | CBA-HE21S | 4AT | FF |
ターボ | TA-HE21S | 4AT | FF |
TA-HE21S | 4AT | 4WD | |
SS | TA-HE21S | 5MT | FF |
TA-HE21S | 5MT | 4WD | |
TA-HE21S | 4AT | FF | |
TA-HE21S | 4AT | 4WD |