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更新日:2018.11.14 / 掲載日:2017.10.20
日産自動車大学校レポート スーパー耐久シリーズ2017 第5戦
◇プロローグ◇
ここでポールを取ればシリーズ制覇の兆しが見えてくる。
9月2日、3日に行われたスーパー耐久シリーズ第5戦富士SUPER TEC。10時間というシリーズ最長の長丁場のレースであり、チーム及びマシンの消耗戦となった。
現在シリーズ1位の”ARN Racing”とは総合ポイントで6点差がついていたが、今回の富士戦はボーナスポイントが付与されるため、年間チャンピオンを目指す上で外せない一戦となった。
◇レース結果◇
予選結果
10時間のレースという事もあり、エンジン及びミッションといった主要部品のオーバーホールを行ったため、実質シェイクダウンとなった。Aドライバーである内田選手が1’41.513というタイムを叩き出し、Aドライバーの中では3位という快調な滑り出しを見せた。
一方、Bドライバーの藤井選手はトラフィックに巻き込まれ、1’40.537となり、Bドライバー内では4位という結果だった。
しかし、2名のドライバーの合算タイムである予選正式総合結果は3’22.050で2位となった。1位の8号車とは0.3秒差と惜しくもポールを逃してしまったが、車両の調子は「去年度の富士戦よりも良い仕上がりだ。」と藤井選手も絶賛するほど良く、ベストコンディションの状態で決勝戦へと駒を進めることができた。
POS. | No. | Car | Time | Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 8 | ARN Ferrari488 GT3 | 3’21.748 | |
2 | 1 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 3’22.050 | 0.302 |
3 | 777 | D’station Porsche | 3’22.407 | 0.659 |
決勝結果
まさに「勝利の女神がほほ笑んだ」そんな一戦だった。ファーストドライバーは藤井選手。8時きっかりにローリングスタートでメインストレートを抜け、1コーナーへノーズを入れた。ポールスタートの8号車も好調なスタートを切り、1号車は後を追うような形となった。長時間のレース故ブレーキローターが10時間も持たないと予想され、エンジンブレーキを巧みに駆使しブレーキに負荷をかけない走り心がけていた。トラブル無く44周目を迎え、最初のピットインとなった。ドライバーを藤井選手から内田選手へ交代、タイヤ交換と給油を行い再びコースに降り立った。ここで、89号車のフェラーリが給油のみのピットイン戦法を行い、1号車の前に躍り出た。60周目、1号車と777号車の3位争いが勃発した。熱いデッドヒートを繰り返していたが、ブレーキを労わる走行スタイルのため思うようにペースを上げられず、3位を譲る形となった。79周目、予定通りの二度目のピットインが行われ、平峰選手に交代。レースは好調と思われた。しかし、下位クラスの車両と接触、フロント左カナードを失った。105周目にオイルフラッグが振られセーフティーカーが入る事になったが、1号車にとっては転機であり、前の車両との差が一気に縮まった。この後、内田選手の第4スティント、藤井選手の第5スティントとトラブルもなくドライビングできたと思っていた矢先、183周目、左リアタイヤのバーストにより緊急ピットインを行った。5位に下がったものの、運よく車両へのダメージは皆無であったため、すぐにコースへ復帰した。200周を超えたところで3号車が黄旗追い越しのためピットスルーペナルティが課せられ、その間に1号車が追い抜き4位へと浮上。ここから調子を戻し、その後のスティントを繰り返した。最終スティントを迎えたのは平峰選手。バーストの時に出来てしまったタイム差を引きずってしまい1位は難しいと考えられたが、最後の希望に賭けて諦めず尽力した。333周目、長かったレースに終止符を打った。結果、1号車は4位でチェッカーを受けた。
どんよりとした雰囲気でミーティングルームへと戻り、学生とドライバーと終礼を行っている最中、嬉しい知らせが来た。3位でゴールした89号車にペナルティがあったことが発覚し、滑り込みで3位へ浮上、なんと表彰台へ上ることができた。年間チャンピオンは苦難の道ではあるが、優勝を夢見て、次の最終戦へと進むこととなった。
POS. | No. | Car | Lap | Time | Gap |
---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ARN Ferrari488 GT3 | 335 | 10:00’25.556 | |
2 | 777 | D’station Porsche | 335 | 10:01’30.732 | 1’05.176 |
3 | 1 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 333 | 10:01’48.473 | 2Lap |
ポイントランキング
POS. | No. | Car | もてぎ | SUGO | 鈴鹿 | AP | 富士 | Total |
---|
1 | 8 | ARN Ferrari488 GT3 | 10.0 | 14.0 | 14.0 | 22.0 | 32.0 | 92.0 |
2 | 1 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 21.0 | 21.0 | 5.0 | 7.0 | 19.0 | 73.0 |
3 | 777 | D’station Porsche | 0.0 | 7.0 | 11.0 | 16.0 | 23.5 | 57.5 |
レースを終えて
藤井選手
「諦めないといいことがあることを今日実感した。」
「チームの人数が参戦チームの中でもおそらく最多で、チーム全員がいい結果を残したいとを想っているからこそ運が舞い降りてきたのではないか。」
「タイトルは厳しい道のりだが少し楽になったし、最近運がなかった中で運が回ってきてよかった。」
平峰選手
「終礼の途中で呼び出されたときは何かやってしまったかと思い少し怖かったが皆が運を持ってきてくれた。」
「4位という結果に満足し、頑張ったと思っていると表彰台に登れなかったかもしれないが、敵も一生懸命やっている中でも、うちのチームの方が頑張ったからこういう結果になった。」
「この運をキープしつつ今回以上に自分たちのできる準備をすれば岡山でいい結果を残せると信じている。」
内田選手
「3位ではあったが結果としては皆さんと表彰台の喜びを分かち合えて良かったと思う。」
「これだけのメカニックやドライバー、そして皆さん学生スタッフのいるチームってなかなかいない。そのチームが一生懸命戦ってミスもなく頑張ったが、4位だったのが悔しくて涙が出そうだった。だけど努力して準備してきた結果として運が舞い降りてきて表彰台に乗ることができた。」
「チャンピオンになるのは1%の可能性もしくは5%かもしれないが、可能性がある限り一生懸命頑張る。」
学生の活動の様子
STO活動
今年度からスタートセレモニーや車両ステッカーチェック、ドライバーズミーティング受付といったスーパー耐久の運営に関する仕事も活動の一つに加わった。学生は普段では体験できない活動に積極的に参加し、レース運営に貢献していた。
ドライバーサポート領域
今回学んだこと ドライバーサポートリーダー 学生コメント
今回の富士戦は10時間耐久という長丁場であったため、これまでは2人でドライバーサポートの仕事をしてきたが、今回初参加の一年生を3人含む4人で富士戦に挑んだ。4人でドライバーサポートの仕事をするのは初めてであり、一年生にどう仕事を割り振ればいいのかという課題があったが、一年生の飲み込みはとても早く、作業も円滑に行えた。
決勝では、ドライバー交代が約40周毎にあったため忙しかったが、それでも怪我などなく一生懸命に、楽しんで仕事を全うできた。
ドライバーサポートはとてもやりがいがあり、人と繋がることができる仕事なので来年以降もこの経験を継いでいってほしい。
次戦の第6戦は、10月14日(土)予選、10月15日(日)決勝の日程で、岡山国際サーキットで行われる。
レポート作成 日産横浜自動車大学校 学生広報部