新車試乗レポート
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2013.05.16

キャデラック ATS 試乗レポート

キャデラック ATS

黄金期のアメリカを象徴する高級車ブランドが、保守的なイメージからスポーティ路線への転換で世界中を驚かせたのも過去のこと。このATSは今日のキャデラックの完成度の高さを証明する。

新世代キャデラックの熟成ぶりを見せつける

 一度植え付けられたイメージはなかなか払拭できない・・・。新しいキャデラックに乗るたびそんなことを実感する。90年代からずっとウォッチングしてきた身としては、悲しい現実だ。いまだにキャデラックに試乗したという話をすると、「相変わらず、乗り心地はフワフワしているの?」と聞かれる。もうずいぶん前からそんなクルマつくってないのに・・・。

 ATSはメチャメチャいいクルマだ。それは乗ってすぐにわかった。稀に少し乗っただけでクルマの善し悪しがわかるのか?という質問を投げられるが、それはケースバイケース。ただ、このクルマに関しては自信を持っていえる。“いいクルマ”であると。

 具体的にはまず2つ挙げられる。高いボディ剛性と気持ちのいいハンドリングだ。これは現在、日本車を含め各メーカーが必死に取り組んでいる部分。とくにドイツ車はここに関して一日の長があるが、ATSはそれに負けないクオリティを持っている。いってしまえば、ドイツ車の中でもトップブランドの屋台骨となるモデルに匹敵する仕上がりを見せる。自社のホームページで「ニュルブルクリンクで8分28秒09!」と大きくアピールしたくなるのもわからなくない。

 言わずもがなだが、キャデラックの開発は初代CTS以降ドイツのサーキット、ニュルブルクリンクで行なわれている。荒れた路面や急激な勾配、高速&タイトコーナーが備わるそこで、テストを繰り返し行なってきたのだ。なので、現行CTSも走りはかなりいい。個人的には申し分ない出来映えと思っている。が、ATSはさらにその上をいく。各部は締め付けられ、さらに一体感のある動きを実現した。

 その理由は新しく設計されたモノコック型フレームに基づく。昨年のデトロイトモーターショーでお披露目されたものだ。超高張力鋼板とアルミの複合フレームで、まさに適材適所といった素材の分配が行なわれる。もちろん、オールアルミ構造には劣るのだろうが、クルマの価格帯を鑑みれば、かなり大胆なことをしでかしたといえる。先日のNYショーで新型CTSを拝見してきたが、そいつもまたこのフレームを上手に利用していた。

キャデラック ATS

 では走った印象だが、2Lターボというキャデラックの歴史上ありえないダウンサイジングされたエンジンが、こいつには積まれる。これには賛否両論あるだろうが、そんなことはどうでもいい。ジャガーXJにも同排気量はあるし、かつてトレンドセッターだったキャデラックには当然のことだ。

 しかも、このレスポンスがかなりいい。スッと自然な感じでクルマを前へ押しやるところはなかなかジェントル。でもって、高回転でグッとスポーツテイストが顔を出す。6速ATもじつにスマートだ。ただ、パドルシフトがなかったのは残念。こうなるとその存在が必要となる。

 ステアリングは街中では軽く、高速ではしっとりとしたフィールが出てくる。この辺のチューニングはドイツ車系を意識したのではと感じた。積極的に左右に振っていっても希薄なところは見受けられない。

 それから驚いたのは静粛性。スポーティになってもそこはアメリカを代表する高級車。フロントピラーの風切り音もフロアに入ってくるロードノイズもうまく処理した。この点は彼らの意地かもしれない。

 といったATS。案ずるより産むが易しって感じで、いちど試乗して体感してみてはいかがだろうか?

文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ GMフリーダイヤル
0120-711-276

Detail Check

キャデラック ATS

  • コックピット

    キャデラック ATS(コックピット)

  • コックピット

    まるで宝石を散りばめたようなブルーの液晶が鮮やかなメーター。ピアノブラックとのコントラスが高級車であることを感じさせてくれる。自慢のキュー(CUE)システムはスマホには対応するが、カーナビには対応できていないのが少々残念。

  • インテリア

    キャデラック ATS(インテリア)

  • インテリア

    グレードはエントリーのラグジュアリーと上級のプレミアムが設定される。どちらもレザーシートは標準。5席ともヘッドレスト完備で、大きなバックレストが体を包み込む。

  • エンジン

    キャデラック ATS(エンジン)

  • エンジン

    燃焼効率を高めた直噴式の2L直4ターボ。この排気量で276馬力を絞り出すのは見事だ。

主要諸元:キャデラック ATS プレミアム(6速AT)

全長×全幅×全高4680×1805×1415mm
ホイールベース2775mm
トレッド前/後1515/1530mm
車両重量1580kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1998cc
最高出力276ps/5500rpm
最大トルク35.9kg m/1700-5500rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前後Vディスク
タイヤサイズ前/後225/40RF18・255/35RF18

全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2013年2月・2013年3月)

ATS ラグジュアリー(6速AT)439万円
ATS プレミアム(6速AT)499万円

Body Color

 セーブル ブラック ラジアント シルバー クリスタル レッド
 □ホワイト ダイヤモンド ブラック ダイヤモンド

ニュルのタイムは8分28秒09!ATSは本格スポーツセダンだ

  • キャデラック ATS

  •  ATSの開発はドイツのニュルブルクリンクで行なわれた。ポルシェBMW、メルセデス、さらにタイヤメーカーもテストを繰り返す場所だ。というのも、ここは通常のサーキットよりも路面状態が悪く、コーナーごとででその状態が異なる。それだけクルマを走らすには過酷なのだが、ATSはそこで好タイムを残した。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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