中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.28 / 掲載日:2009.09.20
ダイハツ エッセ 中古車購入チェックポイント
ダイハツ エッセ中古車購入チェックポイント
参考車両:VS メモリアルエディション
初年度登録:2007年11月
■全体のチェックポイント
軽自動車はユーザー層が幅広いが、エッセは新車価格が安いこともあって日常の足として使われることが多い。外観は、細かい傷にとらわれず、修理跡やダメージの痕跡に注意しよう。室内も、傷や染みなどの有無を念入りに調べるが、簡単な修復で済むか、修理や交換が必要か、ダメージの程度を見極めたい。また、エンジンや走行に関わる部分の整備状態もしっかり確認しよう。車両の良否を判断するには、どのようなユーザーがどのように使っていたかも鍵になるだろう。
1.全体の雰囲気から探る
やや離れた位置から車両の周囲をひと巡りして、全体の様子を観察しよう。外装部品の立て付けや塗装面の状態など、外観に異常がないかチェック。
前面は、バンパー/ボンネット/ヘッドライトなどが並んでいるバランスと、左右対称になっていることを確認。後面も同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)などのバランスを見る。
前後とも、左右ライトの片方だけを交換している場合は、その側の車体部を修理している疑いがある。
ナンバープレートの傷や変形、修正跡なども車体部のダメージを推察するヒントになる。後部は封印の傷(剥がした形跡=フェンダー交換)が注意ポイントだ。
2.角度を変えると見つかる
2.角度を変えると見つかる
車体まわりを探る時は、見る角度を変えながらチェックすると、プレスラインや立て付けの微妙なずれや狂いも確認しやすい。
斜め方向から透かして見れば、浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)なども見落とすことがない。
しわが寄っているのは、衝撃を受けたダメージ痕か、板金修理跡だ。塗装面の色艶が違っている部分も、傷の補修程度の場合もあるが、板金修理跡の可能性もある。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、エンジンと周辺の部品をチェックしよう。オイルの滲みや汚れ(漏れの兆候)にも注意。できれば、冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
周囲と比べて新しい、交換が疑える部品があれば、単なる消耗か、故障などか、それとも外部から影響を受けたのか。整備記録も調べて、交換した理由を探ってみよう。
4.車体内側の鉄板部を確認
エンジンルーム内は、左右フェンダー側のインナーパネルや室内側のダッシュパネルなど、車体内側の鉄板を必ずチェック。溶接、シーラー、塗装(色は新車時から外板色とは異なっている)などの状態を調べて、修理や交換の形跡がないか確かめよう。大きなダメージを受けると走行に支障が生じる、車体の骨格ともなっている部分を修理/交換している車両は、修復歴車になっているはずだ。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面を調べたら、裏面に修理跡などがないかも確認しよう。表と裏のパネルを張り合わせている接合部(特に先端部周辺)に注意するが、裏面の塗装色は新車時から表面とは違っているので、修理で塗装しているかどうかは慎重に判断したいところだ。
大きな損傷を負うと、交換することもある。取り付けネジ脱着の形跡と、ヒンジの修整や交換にも注意しよう。ボンネットを修理/交換していれば、車体部も詳しく調べる必要がある。
6.前部の必須チェックポイント
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートを調べよう。車体前部に大きな衝撃を受けると影響が及びやすく、修理/交換する確率が高い。外観をきれいに直していても、ラジエターサポートで車体にダメージを受けているのがわかることもある。
左右フェンダーとの接続部、フロントグリルやヘッドライトなど、関連部品や周囲の状態に異常がないかも確かめよう。
7.取り付け状態を確認
7.取り付け状態を確認
フロントフェンダーに損傷を負うと、外して修理、あるいは交換することもある。取り付けネジを脱着した形跡がないかチェック。ブラケット(フェンダーを支えている金具)やサイドフレームの状態にも注意。
フロントフェンダーは、車体構成上は重要な補強部材とはなっていないので、修理しても修復歴にはならない。しかし、外して修理/交換しているとなれば、大きな衝撃を受けていると考えられるので、インナーパネルやサイドフレームなど、車体の骨格部分にダメージが及んでいないかを詳しく調べる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けをチェックする時は、例えば前部側面では、バンパー、ヘッドライト、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、どれかにダメージを受けてずれているか、あるいは修理している可能性がある。
また、修理や交換で塗装すると、色調が微妙に違うことがある。隙間を境に、隣り合うパネルの色が合っているかもチェックしよう。
9.縁の部分にも注意
9.縁の部分にも注意
フェンダーは、膨らみがついているホイールアーチ(タイヤを囲んでいる部分)に傷を付けることも多い。傷を見つけたら、凹みを伴っていないか確かめよう。
鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェック。修理跡があれば、傷や凹みの補修か、板金修理か。受けたダメージの大きさと修理の範囲を確かめよう。
10.下端部に注意
10.下端部に注意
車体側面は、ドア下にあるサイドシル(車体の前後方向に通っている梁)も要チェックポイント。側面部だけでなく、下も覗いて、損傷や歪み、修理跡などがないか調べよう。
特に下端の鉄板の接合部に注意。仕上げが粗くなっているので判断しにくいが、スポット溶接に乱れがあれば、修理/交換していると考えられる。
11.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理、あるいは交換することもある。取り付けネジを脱着していないかチェックしよう。
ただし、ドアの立て付けを調整をするためにネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア本体をはじめ、サイドシルやピラーなど、周辺部の状態も調べて判断する必要がある。
12.リアフェンダーをチェック
リアドアを開けて、開口部を見てみよう。乗り降りによって擦り傷や引っ掻きを付けたり、シートベルトの金具を挟み込んで傷を付けてしまうこともある。マスキング跡が残っていれば、リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理している。
フューエルリッド(給油口のカバー)も開けて、内部にマスキング跡や修理跡がないか確認。リッドの取り付け状態にも注意しよう。
13.テールゲートをチェック
13.テールゲートをチェック
テールゲートを閉めた状態を見て、立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。左右の片方だけに隙間の異常箇所があれば、その部分の車体部を修理している。
テールゲートの開閉動作も確かめよう。跳ね上げ時にゆるみがあったり、下がってくるようなら、開閉を補助しているダンパーロッドがへたっている。閉まり具合が悪い場合は、テールゲートのずれだけなら調整で直ることもあるが、車体の歪みにも注意したい。
14.開口部の状態を確かめる
テールゲートの取り付けネジ脱着や、ヒンジおよび周辺に歪みや修理跡などがないかチェック。
開口部の左右にある鉄板の接合部も、溶接やシーラー、塗装の状態などを手がかりに、修理/交換の形跡がないか調べよう。下部は、室内側のパネルをチェック。コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態も確かめよう。
後方から強い衝撃を受けると、キャビン(室内)やルーフの前部にまで波及することもある。修理/交換の形跡があれば、ダメージが及んだ範囲も探る必要がある。
15.床下もチェック
15.床下もチェック
フレーム(骨格部)やメンバー(補強部材)など、鉄板部に歪みや修理跡などはないか。マフラーなどの床下の部品類、ステー(支え金具)やアーム類などに損傷や修理跡、交換の形跡などがないかチェックしよう。
油汚れや滲み(オイルやグリスなどの漏れの兆候)、ゴム部品の劣化(割れなど)にも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないが、腐食の進行状態を確認しておきたい。
16.減り具合と減り方を確認
16.減り具合と減り方を確認
タイヤは、スリップサインを目安に、残り溝の深さをまず点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。
溝が十分に残っていても、減り方も調べよう。接地面の内側だけとか、外側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。偏摩耗は、車体前部インナーパネルが変形して生じることもあるので要注意。
17.不具合の兆候を察知する
17.不具合の兆候を察知する
エンジンをかけてみよう。スムーズに始動しない場合は、バッテリーの状態がよくなかったり、電気系統、あるいは燃料系統など、さまざまな不良要因が考えられる。
アイドリング回転(アクセルペダルを踏んでいない状態)が安定していることも確認。実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。エンジン回転中に異音が聞こえたり、大きな振動が出ているようなら、なんらかのトラブルを抱えている可能性がある。
異常や疑問を感じたら、販売店にチェックしてもらおう。
18.装備機器類の機能を確認
18.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキ/バック/テールランプ、ワイパー、ホーン、ハザードなど、保安機器類が正常に作動することをまず確認。
電装機器や電動機構などは、スイッチをオン/オフするだけでなく、調整操作して機能を確かめよう。エアコンは温度調節や風量などを試してみるが、特に冷房の効き具合に注意。パワーウインドウの開閉やパワードアロック、室内ランプの点灯、キーレスエントリーなども、忘れずにチェックしよう。
19.オートマチックのチェック
19.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、セレクトレバーを操作して、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などがないか確認。
できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激しいとか、アクセルを踏んだ時に滑っているような感じがするなど、不具合の症状が出ていないかも確かめたい。異音の発生にも注意しよう。
20.隅まで細かくチェック
室内は、シートや内装材などに汚れや傷、穴あき、欠損などがないか。運転席の周辺だけでなく、後席やラゲッジスペースまでしっかりチェック。内装パネルやエアコンの通風口、収納ボックス、ポケットなど、樹脂部品の傷や破損などにも注意しよう。室内に染み付いた臭い(タバコ、芳香剤、飲食物、油脂、薬品など)は、ドアを開けた瞬間に嗅ぎ分けるのが目利き技だ。
■備え付けの書類をチェック
車両をチェックする際は、「車検証(自動車検査証)」で初年度登録年月日や型式などを確認。「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を調べよう。記録を見れば、過去にどのような整備を受けてきたのかがわかり、定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
また、「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付け機器などを装備している場合は、それらの使用説明書が揃っていることも確かめよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
● 2005年12月に新発売された、装備や仕立てをシンプルにして価格を安めに設定した軽自動車。2006年9月にD」のインテリアを一部変更。インスツルメントパネルをツートーンカラー化。2006年12月に一部改良。「カスタム」を新設定。2007年9月にダイハツ創立100周年記念特別仕様車「VS メモリアルエディション」を発売。2007年11月にお買い得特別仕様車「D セレクション」を発売。
仕様グレードは、ベーシックな「エコ」、ツートーンのインパネや助手席アシストグリップを追加した「D」、ドアアウターハンドルやドアミラーが外装と同色で、助手席のドアポケットとシートバックポケット、パワードアロック、キーレスエントリーなどを備えている「L」、ターンランプ内蔵電動格納式ドアミラー、スモークガラス、照明付きバニティミラー、リアヘッドレスト、3本スポークステアリングホイール、オートエアコンなどを装備した「X」の4タイプ。
「カスタム」は、エアロパーツやアルミホイールを装着した特装車で、派生モデルとして扱われている。
特別仕様車の「VS メモリアルエディション」は、Lをベースに、電動格納式カラードドアミラーやチルトステアリングが組み込まれて、ブラックの内装色を採用している。「D セレクション」は、Dをベースに、ブラックの内装、パワードアロック、スモークガラスなどを備えている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
エコ | DBA-L235S | 5MT | FF |
D | DBA-L235S | 3AT | FF |
CBA-L245S | 3AT | 4WD | L | DBA-L235S | 5MT | FF |
DBA-L235S | 3AT | FF | X | DBA-L235S | 4AT | FF |
CBA-L245S | 4AT | 4WD | カスタム | DBA-L235S | 5MT | FF |
DBA-L235S | 4AT | FF | |
CBA-L245S | 4AT | 4WD |
特別仕様車
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
VS メモリアルエディション | DBA-L235S | 5MT | FF |
DBA-L235S | 3AT | FF | |
CBA-L245S | 3AT | 4WD | D セレクション | DBA-L235S | 5MT | FF |
DBA-L235S | 3AT | FF | |
CBA-L245S | 3AT | 4WD |