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更新日:2020.10.10 / 掲載日:2020.10.10

日産 フェアレディZ/2008年~2020年

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、日産
(掲載されている内容はグー本誌 2020年10月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年9月調べ。


長い歴史を持ち、日産を代表するスポーツカーでもあるフェアレディZ。新型が見えてきた今、その魅力と中古車市場での状況を探ろう。

2008年式 日産 フェアレディZ バージョンST(7速AT) ●全長×全幅×全高:4250×1845×1315mm ●ホイールベース:2550mm ●トレッド前/後:1540/1565mm ●車両重量:1530kg ●エンジン:V6DOHC ●排気量:3696cc ●最高出力:336ps/7000rpm ●最大トルク:37.2kgm/5200rpm ●サスペンション前:ダブルウィッシュボーン/後:マルチリンク ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前:245/40R19/後:275/35R19 ●中古車参考価格帯:150万円~480万円(08年~20年 ※全グレード)

たっぷり楽しめるのは今のうちだけ!?

工藤●永遠のクルマ好き少年にとっては、何歳になってもスポーツカーは憧れの対象だね。今回紹介するのは、長い歴史を持つ日産のスポーツカー「フェアレディZ」。やっぱりいいよ。触れるたびにワクワクする。
編集部●Z34型と呼ばれるこのモデルは現行型ですが、デビューしたのは2008年末のことですから、もう12年近く前ですね。
工藤●たしかに長く作り続けているのは事実だけど、とはいえ廃止されるよりはずっといい。たくさん売れるクルマではないものの、継続していることに日産の心意気を感じるね。いずれにしろ、今では貴重な存在となったスポーツカーだ。
編集部●後席のない2シーターっていうのがまたいいです。
工藤●今の時代はクルマにもどんどん合理化が求められて、実用性の高いクルマが好まれる。そんななか、実用性とは対極をいくパッケージのスポーツカーは貴重。こういうクルマが生き残っていることに感謝すべきだね。ハイブリッドでもなく、コンベンショナルな大排気量ガソリンエンジンとしているのも王道だし、その大パワーを後輪だけで受け止めるのもオトコらしい。
編集部●Zといえば過去のモデルはグランドツーリングカー的だったり、バブル期のZ32なんかはラグジュアリー方向へ振ったこともありました。でもこのZ34は真剣にピュアスポーツカーとして開発されましたよね。
工藤●そうそう、デビュー当時ターゲットとしていたのはポルシェのミッドシップスポーツカーケイマン。「やっぱりスポーツカーは走りを磨かないと」と日産も気合を入れて開発したんだ。車体が先代よりも短いのも運動性能向上のためだし。

[モデルヒストリー]

2008年12月:フルモデルチェンジ

 先代に比べてホイールベースや全長を短縮し、運動性能を高めるために車体をコンパクト化。そこで従来モデルよりも排気量を200ccアップし、高出力化したエンジンを組み合わせる。

2009年10月:ロードスターを追加

 電動ソフトトップを組み合わせたオープンモデルを追加。Z34は当初(標準ボディ)からオープンモデルを考慮した設計が施されたことで、従来のZ33型オープンに対して剛性アップと軽量化を実現。

2012年7月:マイナーチェンジ

 フロントバンパーの形状が変更され、左右にLEDデイライトを組み込んだデザインへ。新デザインのアルミホイールや赤いブレーキキャリパーを採用したほか、一部仕様のサスペンションを高性能化。

2013年6月:NISMOを追加

 空力性能を高めたスタイリングを採用するとともに、標準タイプに対して19馬力アップの355馬力とした高出力エンジン、そして専用サスペンションを組み合わせた高性能バージョンが追加された。

ComingSoon! ターボエンジンを搭載しさらなる高性能を実現

 ついに、次期型のフェアレディZが姿を見せた。日産は2020年9月に、オンライン発表会にて新型フェアレディZのプロトタイプを公開。デザインはフロントが初代S30型をイメージさせるレトロモダンなもので、エンジンは「スカイライン400R」に積むターボ付きで400馬力を超える。

[インテリア]狭くて閉塞的だけどそこが魅力でもある

運転に集中できるよう、ドライバーの手の届く範囲にスイッチを配置したコックピット。専用設計のハンドルにはパドルも備わる。

 後席のない2人乗りで、用意された空間は最小限。着座位置は低く、頭上も広いスペースが用意されているとは言い難いのも事実だ。広さ自慢のミニバンや軽ハイトワゴンに比べるとまるでカプセルホテルのような空間だけど、それが魅力。なぜならスポーツカーでしか味わえない感覚だから。
工藤’sコメント「低く座るドライビングポジションや包まれ感のある雰囲気はスポーツカーならでは」

ドライバー正面はタコメーターを中央としたスポーツカーらしいメーター配置。インパネ上部中央にはZの伝統といえる3連メーターが鎮座する。

フィットしてしっかり体を保持してくれる設計のシートで、上級仕様は本革でコーディネートされる。トランクスペースは浅くてスペース的には広くないが、中型スーツケースを積めるだけの空間は備わる。

[メカニズム]磨きこまれた本格的な設計が自慢

 高い走行性能を掲げてデビューしたZ34型フェアレディZだけに、採用されたメカニズムは本格派だ。車体の基本設計は先代モデル(Z33型)をベースとしているが、曲がる性能を高めるためにホイールベースを100mmも短縮し全長もコンパクト化。エンジンは排気量3.7Lの「VQ37HR」を搭載。
工藤’sコメント「ボディを小さくして高めたコーナリング性能が自慢。トランスミッションはMTを選べるのがうれしい!」

  • トランスミッションは7速ATと6速MT。MTはシフトダウン時のエンジン回転数を自動で合わせる機構も搭載。

  • 先代モデルと基本設計を共用するが、大部分が新たに作られている。アルミニウムなどを多く使うことで軽量設計としつつ大幅に強化された。

  • 欧州ライバルを超えることを目標に磨きこまれたサスペンション。サーキットやワインディングロードで真価を発揮する。

  • 自然吸気にこだわり、低回転域から大トルクを発生。気持ちよく盛り上がる高回転の特性も魅力。アクセルを踏んだときの感じも心地いい。

Zのようなスポーツカーは欲しくなったら買い時だ!

編集部●考えてみると、フェアレディZにライバルは不在ですよね。
工藤●メーカーを代表する2シーター後輪駆動スポーツカーという意味では、トヨタ・スープラも気になる存在。だけどスープラは、2002年にA80型の生産を終了してから昨年復活するまでお休みしていた。だからZ34型のライバルにはあたらない。この先もスープラ(の6気筒モデル)はZに比べて価格が高いから、競合し合うことはないんじゃないかな。そう考えても、フェアレディZは本当に貴重な存在。スポーツカーがビジネス的に難しくなり、これからは環境性能もさらに求められる。古典的なスポーツカーに乗っていられるのも時間の問題だから、今のうちに楽しんでおかないと。
編集部●ところで中古車は、グーネットで検索すると200台以上見つかるので数は豊富です。100万円を切る車両も見かけますが、年式を考えると相場は高めといえます。
工藤●スポーツカーは供給に対して需要が多いから、相場は高めの傾向。しかもMTはATより高めだね。
編集部●スポーツカーあるあるですね。中古車としては買い時が難しいと。
工藤●こういうクルマって、ある程度まで中古車の値段が下がっても、突然価格が上昇し始めて、そのうちに上がりっぱなしになる。だから欲しい時が買い時、なんだよね。

[インプレッション]後ろから蹴られるような加速感

適度に狭い室内空間が特別なクルマであることを感じさせる。低い着座位置は峠道で曲がることを楽しむのに最適だ。

 まさに「いいものは色あせない」。デビューから長い時間が経っているけれど、ひとたび走り出せばそれを感じさせない。短いボディのおかげもあり、走り出すと車体四隅のタイヤの位置が手に取るように伝わってきて、クルマとの一体感が高く感じられる。旋回性能を重視して作られたクルマだけあって、ハンドリングのキビキビ感はさすがだし、アクセルを踏むと後ろから蹴られるようなハイパワー後輪駆動車ならではの感覚も味わい深い。
工藤’sコメント「ハイパワー後輪駆動車ならではの味わいが魅力。楽しすぎる!」

[マーケットデータ]

  • 年式
    どの年式も流通している状況だが、特に多いのはデビュー翌年の2009年式で、3割を占めている。

  • グレード
    上のデータはクーペのみを集計したもの。最も多いグレードは、最上級の「バージョンST」である。

  • 走行距離
    デビューから10年以上経過しているが、3万km未満の物件がおよそ3割も流通しているのはうれしい。

工藤貴宏が注目するフェアレディZ「ココが○」

その1:もはや天然記念物。今では貴重な専用設計
その2:希少な大排気量の自然吸気エンジンを搭載
その3:ATが主流のなか、MTでも運転を楽しめる

プロフィール:自動車ライター 工藤貴宏

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

取材協力:カーチス千葉店

千葉県にある大規模な中古車販売店
500台もの展示スペースに、良質な中古車がたくさん揃うカーチス千葉店。お気に入りの1台が見つかる千葉の大型販売店だ。中古車販売・車買取はもちろん、車検や板金、ボディコーティングなどクルマに関することなら何でも相談してみよう。
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グーネットマガジン編集部

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