クルマのお役立ち情報[2017.05.18 UP]

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インテリジェントドライブのススメ 写真●内藤敬仁

今日、エコカーに乗るということは、もはや特別なことではなくなっている。国産車でいえば、ハイブリッドやクリーンディーゼルといったモデルが、販売台数の上位をほぼ独占する状況だ。「エコドライブ」とは、エコカーを購入して、燃料消費を少なくする運転のコツをつかめれば、ある程度実践できるものである。ところが、「インテリジェントドライブ」となると、話はそう単純ではない。クルマは言うまでもなく、移動する道具として日常の生活を便利にしてくれる存在だ。しかし、我々はクルマに対してそれ以上のものを期待している。ただ燃費がいいだけのクルマに乗っても、それはインテリジェントとは言えない。エコでありながら、ダイナミックなパフォーマンスや優れたユーティリティ、スタイリッシュな造形などによって、ひとの心を豊かにし、充実したクルマ生活を可能にしてくれるクルマこそが、真にインテリジェントな存在なのだ。今回は、そんなインテリジェントドライブにスポットを当て、次世代の輸入車エコモデルの実力をご紹介しよう!

Chapter1 EV

EV界の風雲児がみせる魅力はそのパフォーマンスに止まらない
TESLA MODEL X

テスラ モデルX テスラ モデルX

カリフォルニアの気鋭ベンチャー企業として注目されるテスラが、快進撃を続けている。当初厳しい目で見ていたクルマユーザーたちも、認識を急速に改めている。それを決定的にするSUVがいま登場した!

文●九島辰也 写真●内藤敬仁、澤田和久

EVユーザーの裾野を大きく広げるSUV

 テスラモーターズのモデルXが売れている。アメリカ、とくに西海岸での人気は高く、パシフィックコーストハイウェイでもよく見かける。そもそもシリコンバレーをホームとする自動車メーカーでもあり、カリフォルニア州を中心としたリベラルな層に受け入れられているようだ。

 売れる理由は揃っている。なんたってSUV大国アメリカにおけるテスラ初のSUVであり、スタイリングも奇をてらうことなく洗練されている。スタイリッシュなトレンドを持つSUVマーケットをうまい具合に察知したデザインだ。

 でもって当然EVなのだからこの上ない。アメリカは州によって環境に対する意識の違いは大きいが、前述したカリフォルニア州など、意識の高いエリアでは絶好の話題になるのは言うまでもない。さらにファルコンウィングドアなど興味を誘うギミック的なモノもおもしろい。もちろん、単なるギミックではなく、実用性、さらには安全性も備えている。まぁ、単純にクルマ自体の新しさを強調する面でもいいアイテムといえるだろう。

 個人的に感心したのは、そんなモデルXの走りである。どうしてもテクノロジーに寄りがちなEVの解説だが、モデルXは乗って楽しいクルマに仕上がっているのだ。具体的にはハンドリングがいい。少しばかりワインディングを試したが、その動きのよさは予想以上で、ステアリングに対してキビキビと向きを変えコーナーを駆け抜ける。モデルSよりも車重は増えているのにだ。

 その理由のひとつは、EVは重いものをいちばん下に敷き詰めるため重心が低いというメリット。この場合の重いものとはリチウムイオンバッテリーのことだが、エンジンを含め重心が高くなりがちな内燃機関よりも有利なのは一目瞭然だ。

 さらにいうと、テスラの開発陣自体がクルマづくりに慣れてきたと思われる。ロードスターから3モデルを世に出し、さらにモデル3なるコンパクトカーを開発中なのだから、そうなるのも当然のこと。モデルSのバージョンアップの際にその進化は窺い知れたが、ここへきて一気に花開いたといった感じだ。いまの技術力でもういちどロードスターを開発してもらいたいほどである・・・。

 モデルXの航続距離はカタログ上565kmとなる。不十分なインフラと一回の充電での走行距離に「難あり」とされるEVの近視眼的な常識を打ち破る数値だ。もちろん、道路環境や運転の仕方によって数字は変わるが、200kmにも満たないEVたちとは別モノといえる。

 そしていまアメリカで話題となっているのが、テスラの誇るオートパイロットシステム。技術的な詳細は省くが、8台のサラウンドカメラと12個の超音波センサーを駆使してクルマを自動的に安全に走らせる。

 もちろん、各メーカーが競って開発を進めているのは言わずもがなだが、テスラはかなり前から積極的にそれを進めている。創始者イーロン・マスク氏はEVとオートパイロットの親和性が高いことをはじめからビジョンとして思い描いていたのだろうか。考え方としては、EVのパワーをアップデートするように、オートパイロット技術も随時アップデートできるように仕組まれている。

 というのがモデルXの素性だ。テスラに関しては、話題が尽きないので、ニュースを追いかける必要があるだろう。そして、バリューフォーマネーのモデル3が登場することで、テスラがEVの新たなデフォルトとなる日も近いだろう。

Profile
自動車ジャーナリスト 九島辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも、アメリカ、ドイツ、イギリスと、各国のクルマを乗り継ぐ。

テスラ モデルX

ルーフのガラス面積は非常に大きく、室内は明るく快適だ。センターコンソールのインフォメーションディスプレイは、モデルSでもお馴染みの巨大画面で、シンプルなコクピットによく映える。

テスラ モデルX

3列シートのレイアウトで、2列目が2席か3席で仕様が選べるようになっている。写真は2席のタイプで定員6名となる。どの席に座っても、居住性は申し分なく快適だ。

テスラ モデルX

大量のバッテリーを搭載するEVだが、積載性も上々。3列目シートを展開することで、驚くほど手軽に大きな荷物を積むことが可能。機能的なSUVだ。

テスラ モデルX

5mを上まわる全長、そして2mを超える横幅、高さもほぼ1.7mあるボディは、強烈な存在感を生む。そして、それは塊感のあるデザインによってさらに強調される。

テスラ モデル X 100D

全長×全幅 5037×2070mm
ホイールベース 2965mm
トレッド前/後 1661/1699mm
最大航続距離 565km(※100km/h・外気温20℃)
新車価格 1115万円〜1728万3000円(モデルX全グレード)

定番のモデルSも年々進化 ユーザーの輪を拡げている
TESLA MODEL S

テスラ モデルS テスラ モデルS

EV界きってのハイパフォーマンス

テスラ モデルS

 モデルXの登場で若干端へ追いやられた感のあるモデルSだが、このクルマもインテリジェントドライブを感じさせる一台であることは間違いない。テスラブランドの第二弾だが、オリジナルモデルとしては第一作。チカラの入れ様はハンパない。

 なので、ご承知のとおり、随時その性能はバージョンアップされる。グレード名の2桁数字がパワーを指数化していたが、ついに3桁に突入した。今後さらにその数字が増えて行くことは容易に想像がつく。

 そのP100Dのパフォーマンスは、0ー100km加速2.7秒。これはスーパーカーレベルの数値で、EVパワーの底力を感じざるを得ない。“D”、すなわち前後にモーターを用いて4WDになったことで、そのパワーを余すことなく、路面に伝えることが可能となった。

 また、航続距離613km(欧州基準値)というのも注目ポイント。市販車EVとして、はじめて600km超えを実現した。これはすごい!

 そんなモデルSだが、このクルマのインテリジェンスを感じる部分はほかにもある。EVとしてのスペースの有効利用。フロントのラゲッジもそうだし、三列目の後ろ向き2名掛けシートもそう。内燃機関を持つクルマでは絶対マネできないワザで、既成概念を壊すアイデアだ。

文●九島辰也 写真●テスラモーターズジャパン

テスラ モデルS

室内でひときわ目立つ大型のタッチスクリーンは、テスラのトレードマークだ。新たにGoogleマップを使用することにより、使い勝手が格段に向上している。室内にはラグジュアリーモデルの風格が漂う。

テスラ モデルS

多くのカメラとセンサーが備えられたテスラモデルSは、インターネットを経由してオートパイロットのバージョンアップが可能だ。よって、購入してからも愛車が進化し続けるということになる!

テスラ モデルS P100D

全長×全幅 4979×1950mm
ホイールベース 2960mm
トレッド前/後 1662/1700mm
最大航続距離 572km(※100km/h・外気温20℃)
新車価格 865万円〜1704万1000円(モデルS全グレード)

インポートEV界の先駆者i3も実力アップ!
BMW i3

新たな魅力を手に入れたEV性能のリニューアル

BMW i3 ビー・エム・ダブリュー i3

 BMWのサブブランド「i(アイ)」シリーズも進化を続けている。先般ラインアップが増えることもアナウンスされたことからも目が離せない。

 その中核となる「i3」は昨年秋に大幅な改良を行った。一回の充電による走行距離が70%アップし、約400kmを実現している。JC08モードでも390kmだから、東京から名古屋の距離に匹敵する。

 さらに言うと、レンジエクステンダー用2気筒エンジンを搭載した場合、一気に500kmまでの走行が可能となる。すなわち大阪まで無充電でドライブできるというわけだ。

 これは「i3」を購入リストに入れていたひとには嬉しいニュースだが、個人的にはセンスアップしたインテリアに興味が募る。内装のデザインパッケージとして、アトリエ/ロッジ/スイートが選べるようになった。もちろん、中身は好み次第だが、EVもそういう時代に入ったということ。テクノロジーだけでなく、エモーショナルな部分にも言及する。100年の歴史を持つBMWならではのEVの進化もまた楽しみだ。

文●九島辰也、GooWORLD 写真●BMWジャパン

BMW i3

3タイプから選べるようになったインテリアデザインは、どれも質感が高く、なおかつ乗員が安らげる落ち着いたテイストになっている。

BMW i3

新たに追加されたプロトニック・ブルーは、クリーンなi3のイメージをさらに強調するボディカラーだ。

BMW i3

今回の改良により、リチウムイオンバッテリーの物理的なサイズを変更することなく、内部のエネルギー密度を高めることのみで、33kWhの大容量を実現している。

BMW i3 スイート レンジ・エクステンダー装備車

全長×全幅×全高 4010×1775×1550mm
ホイールベース 2570mm
トレッド前/後 1575/1540mm
車両重量 1420kg
エンジン(発電用) 直2DOHC
総排気量(発電用) 647cc
エンジン最高出力(発電用) 38ps/5000rpm
エンジン最大トルク(発電用) 5.7kg m/4500rpm
モーター最高出力 170ps/5200rpm
モーター最大トルク 25.5kg m/100-4800rpm
サスペンション前 ストラット
サスペンション後 マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤサイズ前 155/70R19
タイヤサイズ後 175/60R19
新車価格 499万円〜607万円(i3全グレード)

Column 欧州でのEV事情

 これまでEVに対しては、やや消極的な印象のあったヨーロッパの各国だが、2020年からの排ガス規制目標値が一層厳しさを増すことやテスラが富裕層を中心に好調な販売を見せていることなどから、これまでの姿勢を急速に転換している。

 フランスでは、CO2排出量の低いクルマへの乗り換えに対して、最大1万ユーロを支給するという政策が実施されている。EVに対して、大きな注目が集まっているという。一方のドイツも、2020年までに累計100万台のEV普及を目標に掲げている。ドイツ国内におけるEVの普及率は、2015年末の時点で全体のわずか0.11%に過ぎなかった。しかし、ここにきて国内の各ブランドはこぞってPHEVやEVへの積極的なスタンスを明らかにしている。

写真●GooWORLD

from FRANCE

from FRANCE

フランスで最近驚かされるのは、タクシーが次々とエコカーになっていること。とりわけ、長距離での移動が少ないパリ市内では、テスラの姿も多く目にするようになった。

from FRANCE

大気汚染対策で非エコカーへの規制が強まるパリ市内では、買い替えによるエコ化が進んでいる。

from GERMANY

from GERMANY

from GERMANY

EVの普及ではやや出遅れ感のあるドイツだったが、充電施設などのインフラ整備が急ピッチで進行している。

from GERMANY

都心部ではBMW i3の姿が多く見かけられる。強大なトルクを生かして快走する姿が印象的だ。

※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

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