新車試乗レポート
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.11.24

【試乗レポート】これぞ大人の妙味! 新しいメガーヌGTは見た目も走りもスマートだ

ルノー メガーヌGT

文と写真●ユニット・コンパス

 ルノーが元気だ。小型車のトゥインゴは本年の割り当て分を上まわる受注を集めているし、流行のSUVについても従来のキャプチャーに加えてカジャーも加わりラインアップが拡充。カングーオーナーのお祭りである「カングージャンボリー」は、いまや世界一の規模にまで盛り上がっている。その理由は、フランス流のデザイン、ライフスタイルをイメージできるモデル構成、そしてモータースポーツ部門であるルノー・スポールが牽引する走りのイメージと、輸入車ブランドのなかでもしっかりキャラが立っているからだ。
 そんなルノーのスポーティ路線を代表するモデルがメガーヌ。頂点のRSが日本に上陸するのは2018年となるが、いち早く上陸したメガーヌGTも、クルマ好きならばぜひチェックしてもらいたい力作となっている。

日本に導入されたのはスポーツグレードの「GT」

 メガーヌは1995年から販売されているCセグメントの小型実用車で、今回発売された新型は第4世代にあたるモデル。本国を中心に欧州では広く愛用されるベーシックカーだが、現行モデルは、GTと呼ばれるスポーティグレードのみが輸入されることになった。その理由は、選択と集中によってブランドイメージを先鋭化させることにある。メガーヌGTの開発を担当したのは、これまでメーガヌRSを手がけてきたルノー・スポールで、GTはRSに近いキャラクターが与えられている。ラインアップは、5ドアハッチバックの「GT」、ベーシックな「GT-Line」、ワゴンボディの「スポーツ・GTツアラー」の3モデル。「GT」は205馬力を発生する1.6Lターボエンジン、「GT-Line」は132馬力の1.2Lターボエンジンを搭載し、いずれもゲトラグ製7速デュアルクラッチトランスミッションの「7EDC」が組み合わせられる。

 試乗したのは5ドアハッチバックの「GT」。スタイリッシュなフロントマスクが乗り込む前から気持ちを昂ぶらせる。ヘッドライトやバンパーのディテールでワイドが強調されており、18インチホイールの迫力とも相まってスポーティなルックスだ。ハッチバックがエネルギッシュな凝縮感にあふれるのに対して、ワゴンボディの「ツアラーGT」はよりスリークで大人っぽい印象。どちらも甲乙付け難いよさがあり、販売の現場でもワゴンが想像以上に売れているという。確かに、スタイリッシュなワゴンはSUV人気のいま希少価値がある。

サイズアップにともなって一気にクラスアップしたインテリア

 アルカンターラで仕立てられたシートに身を預けると、立ち気味にデザインされたダッシュボードとラウンドした造形によって、包み込まれているようなクルマとの一体感を覚えた。一方、天井こそ低いものの、前席だけでなく後席に座っても膝前のスペースにはゆとりがあり、タイトでありながらも閉塞感はない。これは、Cセグメントの規範とも言えるゴルフの全長が約4.2mなのに対して、メガーヌGTでは約4.4mと大きいことも影響しているのだろう。インテリアのデザインテイストも、実用車というよりは上級セグメントのそれで、素材感もよく、まるでひとクラス上のクルマに乗っているような気持ちになる。各部にLEDを使ったイルミネーションが配置されているが、メーター照明と合わせて、車載コンピューターの設定によって色合いや発光の有無など含め細かく調整可能だ。

4輪操舵システムは効果絶大ながら自然なフィーリング

 太めのステアリングホイールを握り、アクセルに力を込める。最大出力205馬力を発生する1.6Lターボエンジンは力強く、デュアルクラッチトランスミッションならではの切れ味のいい変速とともに、車体をグイグイと加速させる。7段式のこのトランスミッションは、マルチシフトダウンというMTでいうところの「段飛ばし」的なシフトダウンにも対応。加速したい際や強目にエンジンブレーキをかけたいときに瞬時に応えてくれる優れものだ。
 乗り心地は引き締まっているものの、スピードが高まるにつれて姿勢が安定しフラット感が出てくるタイプ。18インチというCセグメントとしては大きなタイヤ・ホイールを履くことを考えれば納得できるレベルだろう。スポーティなテイストを好むドライバーにとっては、むしろこの乗り味は心地よいと感じられるかもしれない。
 サーキットを本領とするメガーヌRSに対してGTはあくまでもロードゴーイングスポーツ。すなわち、公道で安全になおかつ気持ちよく走れることを旨として開発されている。とはいえ、開発を担当したのは腕利きで知られるルノー・スポールであり、このGTにも「4CONTROL」というスペシャルアイテムを投入してきた。「4CONTROL」はクルマがコーナーで曲がる際に、前輪だけでなく後輪も動かす4輪操舵メカニズムで、街中では小まわり性能が向上し、ワインディングのようなシーンではハンドルのレスポンスがよくなったかのような動きを実現するもの。
 仕組みとしては、電子制御されたアクチュエーターが後輪のタイロッドを動かすというもので、車速とステアリング舵角に応じて切れ角と位相を制御している。低速(時速60km未満、スポーツモードでは時速80km未満)では後輪を前輪と逆方向に動かすことで回転半径を小さくし、高速走行時(時速60km以上、スポーツモードでは時速80km以上)では後輪を前輪と同じ方向に動かして車体の安定性を高めてくれる。
 たしかにステアリングに対する反応はクイックで、連続コーナーでも手首を返すような動きでヒラリヒラリと向きを変えてくれるし、街中ではステアリングをぐるぐると回さずとも狭い道に入っていけることが確認できた。この種のシステムではドライバーの意図とクルマの動きに齟齬が生じ、違和感を覚えるようなケースもあるが、今回のテストドライブではそういったことはなかった。ルノー・スポールとしても、そこには非常にこだわったということで、比較的シンプルな構造や制御としているのも、ナチュラルなフィーリングを大切にしたが故だ。

 メガーヌといえば、FF最速を競うRSに注目が集まるが、GTの使い切れる高性能とほどよいスポーティさは、RSとは別のキャラクターとして価値がある。たとえばRSをファミリーカーとして使うのには覚悟が必要だが、GTならばそれも可能。ハッチバックで334万円、ツアラーで354万円という価格も魅力的だ。そして、GTほど高性能が必要なく、グッドルッキングなスタイルに惹かれたというのなら、1.2Lターボの「GT-Line」という選択肢もある。こちらは263万円と価格はさらにお手頃。新しいメガーヌは、ルノーファンだけでなく、幅広い層にアピールする力の持ち主だ。やはり最近のルノーには勢いがある。

ルノー メガーヌGT(7速AT・7EDC)
全長×全幅×全高 4395×1815×1435mm
ホイールベース 2670mm
トレッド前/後 1575/1575mm
車両重量 1430kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1618cc
最高出力 205ps/6000rpm
最大トルク 28.6kgm/2400rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 225/40R18

販売価格 263万円~354万円(全グレード)

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ルノー メガーヌ スポーツ・GTツアラー

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グーネットマガジン編集部

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