新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2017.11.08

【試乗レポート】ほとんど電気自動車! ステップワゴンのハイブリッドは乗ればわかる凄いヤツ

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

 本当にこれがマイナーチェンジなの?と驚くほどの変貌ぶりを遂げた新型ステップワゴンスパーダ。注目なのは今回追加投入されたスパーダハイブリッドで、なんとハイブリッドシステムとして「SPORT HYBRID i-MMD」が採用されているのだ。

ステップワゴンスパーダ ハイブリッド G・EX Honda SENSING

 ホンダは現在、3つのハイブリッドシステムを持っていて、車種によってそれぞれを使い分けている。まず、フリードなどに搭載されている1.5L i-VTECエンジンにモーターを組み合わせた小型車用の「Sport Hybrid i-DCD」、2L i-VTECエンジンに駆動用と発電用の2つのモーターを組み合わせる「SPORT HYBRID i-MMD」、そしてNSXやレジェンド用の3モーター式の「SPORT HYBRID SH-AWD」だ。

 「SPORT HYBRID i-MMD」の特徴は、エンジンとモーターのいいとこ取りにある。もちろん、ハイブリッドカーというのは、エンジンとモーターを使い分けるのだが、これはさらに考え方を進め、より電気自動車的なシステムになっているのだ。
 モーターのいいところは、加速のよさや静かさ。だがしかし、モーターだけでクルマを走らせるには大きなバッテリーが必要で、高速での巡行もじつは苦手だったりする。そこで、エンジンを使って走りながら充電することでバッテリーの容量をコンパクトに収め、さらにモーターが苦手とする高速走行では、モーターをお休みさせて、エンジンだけの力で走らせようというのが「SPORT HYBRID i-MMD」の考え方。
 だから、ステップワゴンスパーダ ハイブリッドは、街中で電池容量が十分あるときはモーターだけで走行。バッテリーの容量が少なくなったり強い加速が必要なときになるとエンジンが動いて発電し、バッテリーに充電したり、モーターに電力を送る。ほとんどEVのように走れてしまうのだが、ピュアEVのように充電のために停車する必要もないというのは心強い。

 「SPORT HYBRID i-MMD」は性能は高いが、そのぶんメカニズムが複雑なため、これまではアコードやオデッセイといったホンダの上級モデルにのみ採用されていた。しかし、ホンダは、車体まわりを専用設計してまで、ステップワゴンに「SPORT HYBRID i-MMD」を採用した。その理由をエンジニアに尋ねると、燃費だけでなく、走りの性能でもライバルに負けたくなかったからだという。

ライバルの2倍のパワー! 高性能モーターによる力強く、滑らかな走り

 事実、走り出せばすぐにその能力は実感できる。スパーダ ハイブリッドは、ライバルたちに比べてなにしろ速いのだ。
 ガソリン仕様に比べて車重は100kg以上重くなっているものの、スパーダ ハイブリッドに採用されているモーターの最大トルクは32.1kgmで、パワーも184馬力とライバルの倍近い数値を記録する高性能ぶり。
 発進時からグイグイと車体を前に進めるモーターならではの加速感と車内の静かさは、まさにガソリン車と別物。重い部品が床下に集中していることと、車体が強化されていることがあいまって、まるでひとクラス上のクルマに乗っているような感覚が味わえる。この力強さと静かさは、体験したらきっと誰でも気に入るだろう。
 車重が重くなったことで、乗り心地やコーナーに不安があるのではという心配もあったが、乗り心地はガソリンよりもむしろしっとりしているし、山道で車体を左右に振りまわしてみてもまったく不安なし。むしろ、モーターならではのグイグイと車体を押し進める力強さに惚れ込んでしまった。それでいながら燃費性能はクラストップレベルの25km/L(JC08モード)で、より実燃費に近いと言われるWLTCモードでも20km/Lと優秀だ。

 そして、荷室空間や室内の広さがハイブリッド化によって犠牲になっていないのも嬉しいところ。厳密に言えば室内高が20mm減少しているのだが、印象としての広さ感は変わらないし、3列めのシートを左右に分割して床下収納できる「マジックシート」も健在だ。唯一、運転席と助手席の間にセンターコンソールトレイが追加されてウォークスルーではなくなってしまったが、「G・EX」や「G」グレードでは、ここに充電用USBジャックが備わり、逆に利便性が高められている。
 また、マイナーチェンジによって全車に安全運転支援システム「Honda SENSING」が標準装備となっているが、スパーダ ハイブリッドについてはさらに渋滞追従機能も付与されているのも見逃せない。

 今回のマイナーチェンジでスパーダのフロントマスクが一新されたが、その印象から受ける以上の力強さと上質さをスパーダ ハイブリッドに感じることができた。330万480円からと、このクラスのミニバンとしては高価ではあるものの、それだけの違いはしっかりと用意されているというのが結論だ。

ホンダ ステップワゴンスパーダ ハイブリッド G・EX Honda SENSING(CVT)
全長×全幅×全高 4760×1695×1840mm
ホイールベース 2890mm
トレッド前/後 1470/1485mm
車両重量 1820kg
エンジン 直列4気筒DOHC+モーター
総排気量 1993cc
エンジン最高出力 145ps/6200rpm
エンジン最大トルク 17.8kgm/4000rpm
モーター最高出力 184ps/5000-6000rpm
モーター最大トルク 32.1kgm/2000rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 205/60R16

販売価格 330万480円~355万9680円(ハイブリッドのみ)

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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