日本では2代目にあたる現行GSが登場したのは2012年。実質のお披露目となった「スピンドルグリル」の採用で話題をまいたが、全体のフォルムはコンサバな印象もあり、レクサスが目論むほどのインパクトを市場に与えることはかなわなかった。ゆえに、15年秋のマイチェンは大規模なものになった。 迫力を増したスピンドルグリルや、眼光鋭いヘッドライトだけを見ると、まるでフルチェンジのようにも思える変身ぶりだ。大胆なスタイルをウリにする最新レクサス車のなかに入っても、このルックスなら融け込める。でも、注目すべきは内外装のリニューアルだけではない。 販売台数は限られているが、走りの象徴であるGS Fの新規投入は、GSのイメージ全体を「スポーティ」、「プレミアム」方向へと引っ張り上げる最良の策だと言っていい。メカニズムはRC Fから引き継ぐものだが、IS Fの生産終了のあと絶えていたセダンの「Fモデル」が復活したという事実は、レクサスにとって大きな意味のあることだ。 最高速や発進加速といった数値では、ツインターボ採用のメルセデスAMG・E63やBMW・M5に分がある。だが、操るおもしろさや官能性に関しては、勝るとも劣らない魅力をGS Fは備えている。ハイチューンの自然吸気5LV8が生む速さと快感は、一度味わったら病みつきになる際立った魅力だ。 待望の「Fモデル」投入は大成功。群雄割拠の高級サルーン界にあって、「レクサスGSここにあり!」の存在感を、強く主張することができた。