日産の経営状態がまだ深刻だった2000年秋に登場した初代T30系エクストレイルは、世界中で予想を超える大ヒットを記録!「リバイバルプラン」が生んだ成功作として、日産を元気づけるモデルとなった。
なら、RAV4やCR-Vの後追いモデルと軽視されることもあったエクストレイルは、なぜファンの心を引きつけたのか?横置きFFのプラットフォームを流用した2L級SUVという基本はライバルと同様だったが、より機能性に特化することでコスパを高めたのが最大の勝因。そして、あえてゴツさを表現した直線基調のスタイルも、本物指向のファンの心を射止める要因になった。
日本市場を見れば、時代はまだスノボに代表されるウインタースポーツが華やかだったころ。RVブームはまだ続いていて、若者たちは「使えるSUV」を欲していた。でも、バブルの崩壊で所得はダウン。そこに、値打ち感のある「200万円」のプライスタグをつけてエクストレイルが登場したのだから、大きな注目を集めたのは当然だろう。
とくに光っていたのは基本性能の高さ。優れた居住性、大きなラゲッジ、そして雪道も安心の電制カップリング式4駆のオールモード4×4・・・と、エクストレイルには仲間とアウトドアレジャーを楽しむための必要十分条件が揃っていた。そう、安い価格がウリのSUVだが、けっして安モノではなかったのだ。
で、その価値をさらに高めたのは、新発想が生んだアイテムの数々。どろんこ、びしょびしょのスポーツギアも遠慮なく積み込めるウォッシャブルラゲッジボード採用の荷室や、撥水加工を施したシートが、ライバルたちに差をつけるカギとなった。
エクストレイルが「タフギア」のキャラクターを確立させたのは、頼りになるタフな4駆メカと、汚れを気にせず使い倒せるタフなラゲッジがあったからこそ。そのコンセプトは、内容を進化させるカタチで2代目、3代目にも踏襲されている。
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