ディーゼルエンジンを搭載した乗用車というと、現在の日本では販売されている車種がかぎられています。排ガス規制が今ほど厳しくないころは、タフな走破性が求められるSUVや商用バンなどに搭載されていました。けれど、どれも振動が大きくて、乗り心地が悪いものばかりだったのを思い出します。ましてや黒くて目に染みるほどの排ガスは、いい印象であるハズがありません。そのような負のイメージが強いディーゼルエンジンが乗用車に搭載されていることは、今の若い世代の人たちにはピンとこないかもしれません。
けれど、クリーンディーゼルと呼ばれる最新のディーゼルエンジンの性能はスゴイのです。ということで、クリーンディーゼル技術においては第一人者のボッシュさんにお邪魔して、メルセデス・ベンツE320・CDIに試乗してきました。
このモデルは日本で市販されている数少ないディーゼル乗用車のひとつ。で、その実力はと言うとやっぱり感動ものでした。まず、プレミアムセダンとあって、快適性が損なわれていないか心配していましたが、お尻の下からプルプルとした振動が伝わってくることもありません。車内は静粛性が高く、ラグジュアリーなムードも維持されています。唯一ディーゼルだと感じさせるのは、車外でエンジン音を聞いたときと、給油時に軽油を頼むときくらい。
また、動力性能については低速からトルクに厚みがあり、登り坂から高速走行までの幅広い範囲で伸びのいい加速を見せてくれます。わずかなアクセル操作にも的確に反応する繊細さもしっかり備わっています。100q/hのエンジン回転数はわずか1600回転というだけあって、3Lで5L並みの力強さと2L並みの燃費というのも納得です。
そう言えば、以前、本誌でもおなじみのジャーナリスト、竹岡圭さんとペアを組んで、このクルマでエコラリーに参加したことがありました。そのときは燃費走行に徹して走り続けたところ、18.3q/Lという驚きの数字を叩き出したのです。
二酸化炭素排出量が少なく、環境にも優しい、なおかつ胸のすくような動力性能を備えたクリーンディーゼル車。積極的に走りを楽しむ欧州で支持されるのもうなずけます。日本でももっと増えたらいいのになぁ。