スバルは1966年にスバル1000という同社初となる小型車を発売した。この際に採用された4気筒エンジンが、スバル初の水平対向エンジン。以来、スバルはコア技術としてこの水平対向エンジンにこだわったクルマ造りをしている。
水平対向エンジンは、向かい合うピストンを連結するクランクピンが180度ずれている。このため片側が上死点なら向かい側も上死点となり、互いに振動を打ち消すという効果をもたらす。V型エンジンのバンク角を180度としたものを水平対向と思いがちだが、これは似て非なるもの。V型の場合は片側が上死点なら向かい側は下死点となるレイアウトだ。
水平対向エンジンのメリットは振動面だけではない。直列エンジンやV型エンジンに比べて、圧倒的に重心を低くすることができるのだ。デメリットとしては、ストロークを伸ばすとエンジンの外寸幅が広がってしまうことがあるが、現在のクルマのサイズと排気量の関係を見れば大きな問題ではない。
スバル1000の時代は、水平対向+FFという組み合わせで、高いユーティリティ性をねらっていた。現在は4WD方式を組み合わせることで、左右対称の駆動系レイアウト(スバルではシンメトリカルAWDと呼ぶ)を生み出し、それによりハンドリング特性を高めることを重視している。
クルマは前後の重量配分も大切だが、左右も同様に重要。左右で重量が大きく異なれば、ハンドリングにも影響が出るのは必須だ。この左右対象の恩恵は、受けていてもなかなか気づきにくい。しかし、水平対向エンジンの重心の低さは、つねに感じ取れるだけのリニア感を持っている。
コーナーにクルマを進入させ、クルマがロールを始めたときからどっしりとした感覚をもたらす。さらにロールが最大となり踏ん張っているような状況では、タイヤが路面から離れようとしない安定感がある。もっとも恩恵を感じるのはロールが収まる際だ。重心が低いスバル車はロールがスムーズに収まり、揺り返しが少ない。高い位置に重心がないので、振り子のような動きを起こさないのだ。
コーナリング中の安定感はもちろん、ブレーキング時の安定感も高く、ノーズダイブなどが起きにくい。つまり、重心の低さは、あらゆる力からクルマを安定させ、フラットな姿勢を維持することに役立っているのだ。