何の変哲もない、トヨタ・ディーラーの建物。その敷地の奥に「RVパーク」という看板を掲げた4WDパーツショップがある。隣にはオフロードコースも……。
今回のランドクルーザー特集をまとめるにあたり、ぜひお話をうかがってみたかった半田俊雄さんは、ランクル乗りの間では知る人ぞ知る存在。この「RVパーク」の店長さんを務めている。
「RVパークは群馬トヨタのアンテナショップとして、16年前にオープンしたんです。当時のカーディーラーというと、それが保安基準に適合した改造でも、少しでもクルマをいじってあったら点検・整備しない、という風潮があった。
でも、それは違う。合法的でちゃんと乗れるクルマへと改造するなら、それはいいんじゃないか、そんなショップを作りたい、ってことでね。ちょうど当時の群馬トヨタの社長がランクル40に乗っていたから、私と社長でいっしょにプランニングを進めていったんです。
そう、4WDの実力を試すために、オフロードコースも絶対に造っておきたかった」
ディーラーの運営する4WDカスタマイズショップは、たちまちユーザーの間(それも全国の!)で有名になる。車検に適合するパーツしか扱わないという確実性、ディーラーがバックにあるという信頼性などもあり、多くのランクル乗り、ハイラックスサーフ乗りらが、RVパークにサポートを求めたのだ。
そして、その中心にいつもいるのが半田店長だった。必然的に、ユーザーにとっては“カリスマ”的な存在に思えてくる……。
もちろん半田さんがこれほどまでにユーザーたちの信頼を集めたのは、豊富な経験に裏打ちされた、たしかなノウハウを持っていたからにほかならない。
「私はもともとエンジニアでして。学生時代にラリーやダートトライアルをかじっていて、それでクラウンやセンチュリーをいじってみたい、ということで群馬トヨタに入社したんです。しかし、実際に現場に携わってみると、ランクルというクルマが面白くてね。
昭和52年(1977年)当時の40系は4輪ドラムブレーキが片効きしたり、雨漏りやきしみ音がするのも当たり前でしたが、それを直すのが楽しかったんです」
そうして“半田青年”は、ついにランクルを購入してしまう。BJ41という、40系の中期モデルだ。
「車両価格は180万円だったかな。同時期のクラウンが130万円だったから、かなりの高級車を買う感覚でしたね」
ランクルに乗ると仲間ができた。4駆ショップで出会ったり、いっしょに林道や海岸(当時はまだ走れた)に出かけたり。また数多くのオフロードイベントに参加したり。そしてそれは、“ランクル”というクルマのすばらしさに気づく過程でもあった。
「ランクルは、自分の行動範囲を大きく広げてくれた。それは山の中や海岸も安心して走れるという物理的な意味でもそうだけど、また人と人とのつながりを広げてくれた、という意味でも。いろいろな意味で“冒険ができる”、ランクルってそんなクルマなんだと思うよね」
しかし最近は、“ランクルに乗って冒険を……”なんてユーザーが減ったようにも思うのだが?
「ランクルは、何もオフロードを走るだけじゃない。エアロパーツで着飾っても、市街地をランナバウトしてもしっくりくる。
まさにオールマイティで、乗っている人の心をさまざまなカタチで豊かにしてくれる……そうであればいいんじゃないかな」
ランドクルーザーの93%は海外で販売されるが、ときに、“ニッポン仕様”のランクルが登場する。
「そうではなく、世界で通用するスペックを持たせた、あくまでタフで、オーバースペックなくらいの力をニッポン仕様にも持たせてほしい……」
最後に半田さんは、これからのランドクルーザーというクルマに望む切実な声を聞かせてくれた。