第三世代スカイライン再検証
検証2 V35スカイラインに見る FRスポーツのDNA
300GT FMパッケージが生み出した
抜群の運動能力と優れた居住性
 冒頭でも述べたように、スカイラインは先代モデルでV6エンジンを搭載し、フロントミッドシップレイアウトであるFMパッケージを採用した。これこそ、スカイラインが新たな道を歩み始めた第一歩となったのだ。
 自動車メーカーにとって、豊富な車種展開とそれに伴うエンジンラインアップの多さは、商品力を強化するうえで非常に大切な項目となる。
 しかし、それは同時にコストの増大につながる。ただでさえ、日本の自動車メーカーは同じクラスのクルマで、FFとFRを造るというコストのかかる作業を行っている。これもユーザーの嗜好に合わせるためだが、コスト面ではけっして楽な話ではない。
 1990年代、日産はLクラス用のパワーユニットとして、直列とV型の2種の6気筒エンジンを有していた。しかし、車種整理を進め、効率化をはかるには、同クラスのエンジンで直列とV型という2つのレイアウトは不要だ。結果、直列エンジンは姿を消し、V型エンジンにその座を譲る。
 なんだV6はコストダウンのためか……という声が聞こえてきそうだが、コストダウンというのは全体的な話のことで、6気筒エンジンにかぎって言えば、直6にかけていたコストをV6にも傾けることが可能となるので、よりパフォーマンスの高いエンジンを造ることができるようになるわけだ。
 話を少し前に戻す。なぜ、日産は直6ではなくV6を選んだかだ。それはV6のほうが汎用性が高いからにほかならない。ボルボは直6でFFを成立させているが、それはまれなことで、汎用性ということではV6のほうが圧倒的に優れいてる。
 また同排気量で考えれば、直6よりもV6のほうがエンジンを軽量化できるほか、エンジン全長やクランクシャフト長を短くできる。さらに汎用性が高まることは、エンジンの上級化を可能にする。エンジンの軽量化はクルマそのものの運動性能の向上や燃費のアップにつながる。
 そしてエンジン全長の短縮化はフロントミッドシップを可能にした。これこそがFMパッケージである。もし、日産がスカイラインのエンジンとして伝統の直6にこだわり続けたら、FMパッケージは完成していないだろう。
 さらに注目しておきたいのが、クランクシャフト長。クランクシャフトは短いほうがエンジンの高回転化を楽にする。1分間に何千回転もの高速回転を強いられるクランクシャフトは、少しのゆがみが回転ブレを発生させる。そしてシャフト長が長ければ長いほどゆがみが出やすい。
 先代スカイラインに搭載されたVQ型エンジンでは、まだ高回転化は行われなかったが、現行用HRタイプのVQでは高回転化がはかられた。
 新世代となったスカイラインのファーストジェネレーション、V35型はその功績とともに、たしかな実力を秘めたモデルである。
エンジン&駆動系 室 内
300GT
シャシー&サスペンション 外 観
室 内
300GT 独立したセンターコンソールは、太くしっかりとした形状。適度なタイト感が持たされているフロントシートまわり。
300GT 前後シートピッチは現行モデルとほぼ同一。ゆったりとした室内空間を得られる。
300GT ステアリングはチルト&テレスコピック機構を持ち、的確なドライビングポジションを得られる。
300GT センターコンソールの頂上からポップアップするナビパネル。左右どちらの席からも見やすい。
300GT リヤのセンターアームレストはたっぷりしたデザイン。アームレストスルーも付く。
 
外 観
300GT 空気の流れをスムーズにすることは、燃費や騒音にも大きく関係してくる重要項目。
300GT フロア下の走行風の流れも計算されつくされ、フロント・ゼロリフトを実現している。
エンジン&駆動系
300GT スカイラインを新たな世界へと導いたVQ型エンジン。クルマ全体の運動性能は格段にアップした。
300GT ATは2.5L車が4速、3L車は5速。トロコイド式のエクストロイドCVT採用車も用意された。
300GT 現行モデルのように完全な左右対称ではないものの、ほぼ左右を対象にレイアウトできるのもV6ならでは。
 
シャシー&サスペンション
300GT FMプラットフォームがもたらす。理想的な前後重量配分が、走りを高めてくれる。
300GT 上がセダン、下がクーペ。ボディデザインは異なるが、基本レイアウトが同一なのがよくわかる。
300GT サスペンションは前後ともマルチリンクを採用。高い路面追従性を誇る。
 
■平成13年式 300GT (5AT)主要諸元
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全長×全幅×全高 4675×1750×1470mm
ホイールベース 2850mm
トレッド前/後 1500/1505mm
最小回転半径 5.5m
車両重量 1490kg
乗車定員 5名
エンジン型式 VQ30DD
種類・シリンダー数 V6DOHC
総排気量 2987cc
最高出力 260ps/6400rpm
最大トルク 33.0kgm/4800rpm
使用燃料/タンク容量 無鉛プレミア/80L
10・15モード燃費 11.6km/L
サスペンション前後 マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 215/55R17
新車価格 325万円(消費税別)
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