| 10年前、5年前では考えられないようなクルマが当たり前になっている現在。ユーザーはそんなクルマに何を求めているのか? |
 |
| 日本人のクルマ選びはまともになってきた |
編集部●気を取り直して、さっそくお話に移っていきたいと思います。まず、現在のマーケットでどんなクルマに人気があるのか? ユーザーがどんなことを求めているのか?をお聞きしたいのですが。
森野●やっぱり今は、ミニバン人気が高いよね。あとコンパクト。圧倒的じゃない、この2つが。
森口●たしかに。そこが多い。でもね、ちょっと視点を変えると、ある意味すごくまともになったなと思わない? 日本人のクルマ選びって。
森野●あ〜、そうだね。
森口●昔はデカイほどいいとか、上司がクラウンだからマークIIとか、そういう自分の使用目的とは全然関係ないところでクルマ選びがされてたでしょ。それが今は、ミニバンだってそういう使い方をするから買ってるわけでしょ。だから道具としてまっとうな選び方をするようになってきたんじゃないかな。
森野●そうだね。デカイとか高級とか、そういうなかで階段を上っていくっていうのかな。「いつかはクラウン」じゃないけどさ。
竹岡●それがガラッと変わったのはあるよね。
森野●フィットがバカ売れしたってのが象徴的で、上から降りてきたんだよね。ダウンサイジングって考え方に違和感を覚えなくなった感じ。
森口●昔はそれが屈辱的って言ったらおおげさだけど、あんまり考えられなかったじゃない。
森野●昔は下にっていうのがなかったよね。上にあがるのが当たり前で。リタイヤすると別だけど、とりあえずサラリーマン社会にいる間は、つねに上を目指して頑張るみたいにね。
森口●そうだよね、給料もだんだん上がっていくわけだし。
森野●バブルが崩壊したり、年功序列の考え方が薄れていって、クルマというものを違う視点で見れるようになってきたのかな。ステータスとかじゃなくって。もちろんそういう人もいるだろうけど、それ以上に家族構成とか使い方とか考えて、フィットでいいじゃん、軽でいいじゃんってね。そこがまともになったということじゃない。
竹岡●そういうのってあるよね。
森野●今売れてるクルマはというと、ちょっと前ほど勢いはなくなったけど、コンパクトカーは相変わらずベスト10のなかに3〜4台はつねに入ってるでしょ。昔はそれがマークIIとかクラウンだった時代があって、結局何を求めていたかっていうと、豪華さとかステータスとかでしょ。「ついにオレもここまで来たか〜!」ってね。実際、室内は狭かったし、フィットのほうが全然広い。 |
 |
| 悲しいことにクルマにのめり込む人が減っている |
竹岡●そうよね。でも、クルマを選ぶことがまともになってきたのと逆に、クルマにこだわらない、興味がない人も増えてない? 昔はクルマが好きな若い子って多かったけど、今はクルマが好きなんじゃなくて、クルマがもたらしてくれる何かが好きっていうのかな。クルマを『道具』として選ぶ人が増えたと思わない? 昔はスペックおたくみたいな人がたくさんいたでしょ。そんな人って、今じゃあんまりいないよね。
森野●のめり込む人がものすごく減ったよね。
竹岡●スペックにこだわる人ってスーパーセダン買うようなオジサマばっかり。
森野●引きずってるんだよね、昔を。オレ達40代前半っていうと、FRのスポーティカーが元気な時代で、身近なところだとホットハッチだよね。そんな環境で育った世代と今の若い子じゃあ全然違うよね。マーチとかヴィッツとかフィットとかスイフトとか、けっこう小さくて値段もそこそこで面白いクルマってあるけれども、乗ってるのは若い子じゃないんだよね。なかなか若い子がそこにいかないんだよ。ドライビングそのものに興味持ってないんだよね。
竹岡●そうそう、持ってる子が少ない。
森口●加速だコーナリングだって概念がほとんどないんじゃないかな。
森野●読者のみなさんには語弊があるかもしれないけど、今の若い子って運転がヘタになってるよね。
竹岡●そうよね。ここ10年でも走行会とかに来る人はすごく減ったでしょ。それを見てもわかるけど、走ることに興味がなくなってる感じがするの。
森野●でも、おかしいよ。だってカタログ見ると、280馬力っていうクルマがたくさんあって、昔じゃ考えられないような走行性能持ったクルマが簡単に手に入るようになってるでしょ。楽しいでしょ、走るの。
竹岡●でも、使う場所ないよね。
森口●まぁ、実際スポーツ系のクルマは減ってるわけだし。メーカーのラインアップを見ればよくわかるってことだよね。今何が流行ってるか。 |
|