ツーリングワゴンが人気を集めた理由。それはなにも、オシャレで小粋な存在感だけではない。クルマの本能とも言うべき「走り」についても特化させた存在だったからだ。
そのきっかけとなったクルマは、やはりレガシィ。それ以前のワゴン(そしてバン)といえば、あくまでセダンの付属的な存在。大きなラゲッジさえあればそれでよく、走行性能はというとあまり重視されることはなかった。エンジンにしても、セダンより非力な格下のものが搭載されていたり……。
しかしレガシィ・ツーリングワゴンは、ターボエンジンや先進の4WDシステムなど、当時WRCで活躍していたセダンと同等のスペックを携え、一躍ツーリングワゴン人気の主役になった。他メーカーのワゴンたちもそれに追随し、次々と「スポーティ」なツーリングワゴンを世に送り出してきた。
胸のすく走り、官能的なスピード領域、そしてそれを自分の意のままに操るドライビングプレジャー。スポーティカーや一部セダンだけのものとされてきた、そんな快楽の世界に、ツーリングワゴンでも浸れることができるようになったわけである。
 ワゴン&ミニバンブームと呼ばれる時期を経て、今やミニバンのほうがマーケットを席巻しつつある。しかし「走らせる快楽」を堪能できるのは、ツーリングワゴンのほうだ。
家族や仲間、同乗者が快適に過ごせる居住性、余裕のあるラゲッジ、そしてクルマの本質的な部分である走り。ワゴンほどマルチなクルマは、ほかにないのである。 |