アルファロメオ(以下アルファと省略)は、いにしえの名車にちなんだネーミング復活や継承も多く、GTは60年代からの定番。GTVのVは「より速い」を意味するベローチェ(Veloce)の頭文字でGTの上級にあたるアルファ伝統の命名法だ。
最近147、156のラインアップで復活したGTAはさらに最上級にも匹敵するモデル名である。
「あなたが通勤に使っているクルマは、チャンピオンマシンそのものです」というキャッチコピーが使われていた60年代の元祖GTAとその前史から話を始めてみよう。
1910年に創立して以来1960年ころまで、アルファは今のフェラーリのようにレース車両製造と参戦、そのエンジンをベースにした少量の高額な市販車をカロッツェリア数社と協力して製造するのが主なスタイルのメーカーだった。
戦前は、エンツォ・フェラーリがアルファのレース部門のひとつを率いていたことからも、だいたいその実力とスタンスが理解できるだろう。
一般的なクルマメーカーに脱皮したのは、1954年のジュリエッタから。本格的に大量生産がブレイクしたのは、1962〜3年のジュリアシリーズ発売からだ。
が、大量生産と引き替えにレース活動を縮小していたわけではない。
モータースポーツと名の付くものにはほとんどエントリーを欠かさなかった。現在でいえば、F1からGT選手権、ツーリングカー、WRCといったブロードぶりである。なかでもツーリングカーに関しては、これも今も変わらないが、執念ともいえるほどの熱の入れようだった。
先にあげたジュリアシリーズでは、63年に軽量化とエンジン強化をはかったセダンボディのジュリアTIスーパーを引っ提げてヨーロッパやアメリカのツーリングカーレースに参戦する。コルチナ・ロータス、BMW2000TIなどと同じく「羊の皮を被った狼」の一群である。
が、ホイールベースが長く鈍重なTIスーパーは、ライバルたちにどうしても勝てない。
そこで、一矢報いるためにアルファが打ち出した策が、63年にデビューしたジュリアのクーペバージョン、ジュリアスプリントGTをコンペティショナルモデルに仕立て上げて参戦することだった。
106馬力1.6Lツインカムで180km/hまで引っ張る実力をさらに高めるために、アルファはボディ外板のほとんどをスチールからアルミに替えて大幅なダイエットを施す。
その結果、重量はストックよりも130kg軽い820kgまで下げられたといわれている。
エンジンも排気量は同じまま、大口径キャブなどの吸気系の強化、ツインプラグ化などにより115馬力にまでパワーアップされた。
そのモデルが、65年デビューのジュリアスプリントGTA。今日、147、156にラインアップされるGTAの元祖は、ここから始まった。「A」はイタリア語で「軽い」を表すアレッジェリータ(Alleggerita)から採られている。今もその意味あいは変わっていない。
ツインプラグ化はこのGTAが初めてではないが、これも今日までアルファのトレードマークとなっているところは興味深い。 |