こだわりのネーミングこそ名車の条件

HONDA LEGEND 伝説は自ら作り出すモノなのか? 4代目の、レジェンド
来るべき未来の高級車感を変えるストイックな伝説
 もし、ジェームズ・ボンドが日本に来たら、ぜひ新型レジェンドに乗っていただきたい。……いきなり妄想チックな結論だが、ほかにダンディな彼に似合う候補車があるかと問われれば苦渋の選択になりそうだ。
 その昔、『007は2度死ぬ』で来日したときはトヨタ2000GTにボンドは乗った。今なら、ソアラということになり、それも似合いそうだ。が、ブースロイド少佐(ボンドが所属するMI6の兵器開発部門「Q」のスタッフ)の手間を省く意味であえてレジェンドを勧めたい。
 何より、レジェンドは万能である。たとえば、SH・AWDシステム。駆動力を旋回能力にまで応用した自在制御システムのAWDは、生活4駆、スポーツ4駆の領域をカバー、いや超越した走行性能を発揮する。雨の高速だろうが雪道だろうが、速度や路面状況を問わず、いつでも最適な駆動配分により安定したドライブが楽しめる。
 このシステムに「Q」でさらに手を加えて、氷上を300馬力をフルに使いながらも華麗に疾走して追手の追従を振りきるボンドカー・レジェンドが画面に登場しても、奇想天外すぎることはない。
 そのほかにも、室内のこもり音を逆位相の音によって打ち消すノイズコントロールはシステムアップすれば美女との密話も見事打ち消すのではないかとか、HiDSシステムを改良してターゲットを自動的に追尾するようにできるのではないか、といった具合にボンドカー構想と妄想はどんどん広がっていく……。
 ヨタ話が過ぎた。
 レジェンドとは英語で「伝説」という意味である。本来は、このクルマの以前に名車に匹敵するホンダ車があって、それを引き継いだのがレジェンド、となるのだろうが、レジェンドは昭和60年代にホンダのフラッグシップサルーンとして新ブランドで登場した。
 ホンダがそれまでラインアップを持っていなかった高級車市場で「伝説となり語り継がれる性能のクルマ」という意気込みからそう名づけたのだろう、というのが好意的な解釈。しかし、いきなりの伝説登場とは恐れ入る。実際、初代から先代までは乗ってみれば走りはなかなかに素晴らしかったが、見た目は凡庸すぎるクルマだった。
 もともとホンダには、「協調(アコード)」、「市民(シビック)」、「生活(ライフ)」、「感嘆詞+偉大(ラグレイト)」といった、走りとはあまりイメージが接近していない抽象的なネーミングが多い。レジェンドもそれに近い。
 ところが、ネーミングに反してホンダのクルマに抱かれているイメージは、国境を越えてほとんど同じである。スポーティで都会的でテクノロジーも使い勝手もハイレベル、といったところだろうか。ローからハイエンドまで、ほとんど一貫してそう捉えられている。それゆえ、表面的な名前よりもそのクルマの根底を表す車名でも十分通用するし、しっくりくるのかもしれない。
 さて、レジェンド。先にも書いたように、ホンダテクノロジーのかたまりのようなこのクルマは、VIPカーでありながら、相当にドライバーよりの造りだ。
 従来の、ハンドリングやエンジンレスポンス、ドライビングフィールといった走りの価値基準だけでなく、そのクルマをチョイスするバックボーンに「走ることが楽しく、しかも熱くなれる」という新たな項目をVIPカーにもたらした。
 そんなダンディズムをくすぐる伝説となりうる、はずだ。
↑走り、安全性、乗り心地、居住性……ハイエンドサルーンに求められる要素に、機動性という新たな価値基準を盛り込んだテクノロジーのカタマリ。 ↑インパネには、国内でも最高度の曲げ木技術を有し世界的知名度も高い天童木工による手作りの本木目パネルも使われる。材質は天然のメープルウッド。 ↑オーディオには、雨や走行音などの室内のノイズをモニターで検知・補正してつねに聞きやすい音つくりをするボーズの5.1chサラウンドシステムを設定。
↑ボディ長はサイズダウンしたが、室内のゆとりはいささかも損なわれていない。AWDのためセンタートンネルは高いが、リヤシート足もとは窮屈ではない。 ↑高圧ガスを用いて成形する、アルミ高速ブローパネルをフロントフェンダーとトランクリッドに採用。プレス成形よりも10倍の強度があり、相乗効果として151kgの車重軽減に一役。 ↑夜間に認識しにくい歩行者の存在をいちはやく知らせることに主眼を置いたインテリジェント・ナイトビジョンシステム。メータークラスター上の専用モニターに表示される。
↑国産車初の300馬力、しかも環境基準4つ星のSOHC3.5L V6VTEC。排気音コントロールが巧みで、低速では静かに、回せばそれなりに快音を発してくれる。 ↑ドライバー志向VIPカーの証が、ステアリングスポーク後方に配置されたパドルシフト。位置、サイズともに操作しやすく、不要なときもジャマにならない。 ↑ステアリング右スポークにクルーズコントロール関係スイッチ。レーダー追尾で車間距離・速度を安全圏にコントロールするシステムは、感度や反応、処理も的確で、その完成度は高い。走って面白いレジェンドでも、つい常用したくなるほどだ。
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もうひとつのホンダの意気込み「NSX」
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 NSXはニュースポーツの頭文字NとS。そして未知数を表すXの3文字を組み合わせたネーミングである。
 その名のとおり、国産車初のビッグエンジンをミッドシップしたオールアルミボディのピュアスポーツとして、スポーツカー未知数の領域をオーナーに与えるべく平成2年にデビューしたクルマなのだ。
 つねに改良が続けられ、最近はエンジンフードにカーボンを用いたNSX-Rも追加されている。レジェンド同様300馬力オーバーの日も近いか?

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