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温故知新、それとも復古主義? 
今年のモーターショーでなぜか目立った観音開き
 私は日本の文化のなかで、観音開きという方式は「戸」ではなく「扉」や「門」に使われるものと考えている。寺を訪ねてみても、山門は観音開きだが、本堂に入る戸はほとんどが引き戸である。本堂に入る戸が観音開きの寺は、かなり大きく荘厳な様相を呈している寺で、その観音開きの戸は、もはや戸というサイズではないことが多い。
 八つぁん、熊さんの住む長屋は当然引き戸。お城だって城内は普通の場所には観音開きはもちろん、蝶番がついているような場所は滅多に出会わない。唯一、引き戸が使われないのは土蔵くらいだろう。
 さて、今回の東京モーターショーを見てみると、なにやら観音開きのドアを採用するクルマが多数出品されていた。クルマのドアといえば、前方に蝶番を付けたタイプのドアが一般的だが、これがショーモデルとなると一気にさまざまなタイプのドアを採用したクルマが登場する。まあ、見た目のインパクトということを考えれば、ドアに特徴を持たせるのは、順当な手法と言えるだろう。
 クルマのボディがフレームを使っていた時代は、比較的ドアの形状には自由度があった。しかし、モノコックボディとなってからは、ボディ剛性を確保するために普通のドアしか使えない状況が続いた。しかし技術は進歩する。
 新しい技術はミニバンで両側スライドドアを採用することを可能にし、センターピラーのない観音開きのドアを可能にした。これはボディ剛性が確保できたというほかに、衝突時などにドアが開放しない安全性も確認できたからだ。
 なにしろ観音開きの自動車用ドアは、英語ではSuicide door(自殺ドア)とも呼ばれるのだ。こんな形式のドアは危なくて仕方ない……とその昔、まさに走る棺桶というレッテルを張られたわけである。
 このところ、観音開きドアが流行ってきたのは、乗降性を向上させることが目的。いわゆるユニバーサルデザイン志向である。
 しかも日本人に刷り込まれた記憶のなかでは、観音開きは荘厳で贅沢なイメージがある。これはショーモデルとしてはピッタリ。
 しかし、風土や狭い道路事情を考えたら、やっぱり長屋形式の引き戸が日本で使うクルマにはマッチするのではないだろうか?……などと改めて考えてしまうのだった。
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●次期シルビアとも言われる日産のフォーリア。RX-7が4ドア化され、RX-8になったように、シルビアも4ドア化されてしまうのか?と思うとちょっと悲しい気持ちになる(01)。●ミニのコンセプトトウキョウというモデル。こちらはリヤハッチが観音開きを採用(02)。●ルノーのコンセプトカー、エジェウス。このクルマもフロントシートが回転して乗降性をアップするなど、まさにユニバーサル化をねらったモデル(03)。ホンダが犬を乗せるために開発したW.O.Wコンセプト。このドアの開き方こそ、日本の風土に合ったものという感じ。問題は衝突時の救出の容易さだ(04)。●プジョー1007はスライドドア1枚で勝負(05)。●日本車の観音開きと言えば、初代クラウンは忘れられない存在(06)。
TEXT:諸星陽一
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●観音開きという用語は、観音菩薩が納められている厨子の扉が真ん中から開く左右に形式を取っていることが語源。仏壇開き……と呼ぶと、なんとなく自殺ドアと似たイメージになる。
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